信頼の低コストブランド「EXE-i」の小型株ファンドも、もしかしたら罠にはまってしまうかも……?のお話です。
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2つの代表的な米国小型株指数、その成績に大差がついた!

世界的に、小型株ポートフォリオは長期的に市場平均の成績を上回ってきたことが知られています。
「小型株効果」として、市場平均を上回る有力なファクターの1つに名を連ねています。

ところが、米国の著名な小型株指数である「Russell 2000」指数と「S&P Small Cap 600」指数を比較するとその成績には大きな差がみられます。


7 Ways To Beat The Market: Small Cap Updateより引用)
白:S&P Small Cap 600指数
黄:Russell 2000指数
橙:S&P 500指数

1994年~2019年の約25年間で、Russell 2000指数はS&P Small Cap 600を年率換算で1.68%下回り、大型株指数であるS&P 500指数をも0.82%下回っています。

米国小型株という同じ分野をカバーする指数でありながら、25年間を通じた成績で12.3倍 vs 8.3倍と、非常に大きな差がついてしまいました。

この理由は何なのでしょうか?

勝敗を分けた「収益性ファクター」

Russell 2000指数は市場関係者の間では非常に著名な、米国の小型株を代表する指数です。

米国小型株の強弱がRussell 2000の値動きを見て判断されたり、アクティブファンドの成績がRussell 2000指数との差で測られたりします。

米国小型株そのものと言っても過言ではありません。
米国株式の時価総額1000位以下、3000位以上の2000銘柄が含まれます。

一方のS&P Small Cap 600指数は、その構成手法がRussell 2000指数とはかなり異なります。

小型株に該当する時価総額要件に加え、流動性(取引のしやすさ)・セクターバランス、そして収益性が考慮されています。

直近の四半期と直近の1年の両方が黒字である企業だけが指数の対象になります。
収益性に難のある企業が除かれています。

これが、2つの指数の勝敗を分けた要因です。
小型株ポートフォリオは、ボロ株に足を引っ張られる可能性があるわけです。

小型株ファクターと収益性ファクターは相性がいい!

小型株ポートフォリオが長期的に市場平均を超えるという「小型株効果」は、常時表れているわけではありません。
市場平均に負ける時期もあれば勝つ時期もあります。

しかし、安定して小型株効果を「補強する」別の効果があります。
それが「収益性」です。


International Factor Portfolio: Complementing Premiumsより引用)
青:小型株ファクター
灰:収益性ファクター

小型株ファクターと収益性ファクターが、逆方向に動いている関係にあることが見てとれます。
相互補完関係にあるわけです。

小型株の中でも、収益性を考慮しないRussell 2000指数の強弱が灰色線にあたります。
収益性に難がない企業に限るS&P Small Cap 600指数は、灰色線の強弱を弱い青線の効果で緩和することになります。
結果、小型株単体より市場平均への安定的な優位性を持つことができるわけです。

EXE-i グローバル中小型株式ファンドは「ピュア・小型株ファンド」

EXE-i グローバル中小型株式ファンドは、低コストで全世界小型株式への分散投資ができる非常に優れた商品です。
僕もiDeCo口座で投資しています。

ところが……
この商品は、Russell 2000指数と同様、収益性を考慮していない指数に連動します。
「ピュア・小型株ファンド」なのです。


EXE-i グローバル中小型株式ファンドが投資する、米国小型株をカバーする「CRSP USスモールキャップ・インデックス」、米国以外全世界小型株をカバーする「FTSEグローバル・スモールキャップ(除く米国)インデックス」ともども、収益性は考慮されていません。

過去の成績が将来に直結するとは限りませんが、小型株効果一本やりで行けるのか……という不安が生じてきました。
僕はiDeCo口座で投資している分を、他のファンドにスイッチングします。

収益性が考慮された小型株投資商品はこれ!



①日本
SMT JPX日経中小型株インデックス・オープン
JPX日経中小型株指数に連動する投資信託です。
債務超過・営業赤字・最終赤字等、収益や資産の安定性で選別した銘柄を、「3年平均ROE」「3年累積営業利益」といった収益性指標を用いてランク付けしています。
優良中小型株が選別される投資信託です。

ウィズダムツリー日本小型株配当ファンド(DFJ)
日本の小型株のうち配当を支払う企業に投資する米国ETFです。
配当額の大きい企業の割合が大きくなります。
赤字決算で配当を支払う企業はさすがに少ないので、収益性の1つのめやすになります。
非常に分散が効いており、過去の運用成績も優秀です。

②米国
iシェアーズ・コア S&P 小型株 ETF(IJR)
バンガード S&Pスモールキャップ600 ETF(VIOO)
どちらも米国の小型株指数であるS&P Small Cap 600指数に連動する米国ETFです。
運用成績は、ほんのわずかですがVIOOのほうが良いです。

ウィズダムツリー 米国小型株配当ファンド(DES)
米国の小型株のうち配当を支払う企業に投資する米国ETFです。
配当額の大きい企業の割合が大きくなります。
赤字決算で配当を支払う企業はさすがに少ないので、収益性の1つのめやすになります。

ウィズダムツリー 米国小型株クオリティ配当成長ファンド(DGRS)
米国の小型株のうち、配当を支払う企業に投資する米国ETFです。
成長性と収益性(ROE・ROA)の2要素でランク付けをして選別された企業に、配当額に応じた割合で投資します。
DESより収益性ファクターが強いETFです。

③欧州
ウィズダムツリー 欧州小型株配当ファンド(DFE)
欧州の小型株のうち配当を支払う企業に投資する米国ETFです。
配当額の大きい企業の割合が大きくなります。
赤字決算で配当を支払う企業はさすがに少ないので、収益性の1つのめやすになります。

④新興国
ウィズダムツリー 新興国小型株配当型ファンド(DGS)
新興国の小型株のうち配当を支払う企業に投資する米国ETFです。
配当額の大きい企業の割合が大きくなります。
赤字決算で配当を支払う企業はさすがに少ないので、収益性の1つのめやすになります。

まとめ

世界的に、小型株式は長期的に市場平均の成績を上回ってきたことが知られています。

ところが、米国の著名な小型株指数である「Russell 2000」指数と「S&P Small Cap 600」指数を比較するとその成績には大きな差がみられます。
米国小型株という同じ分野をカバーする指数でありながら、25年間を通じた成績で12.3倍 vs 8.3倍と、非常に大きな差がついてしまいました。

勝敗を分けたのは、「収益性が考慮されているかどうか」です。
「S&P Small Cap 600」指数は、収益性に難のある企業が除かれています。
小型株ポートフォリオは、ボロ株に足を引っ張られる可能性があるわけです。

日本国内の投資商品でいうと、EXE-i グローバル中小型株式ファンドは、低コストで全世界小型株式への分散投資ができる非常に優れた商品です。

ところが、この商品はRussell 2000指数と同様、収益性を考慮していない指数に連動する「ピュア・小型株ファンド」です。

過去の成績が将来に直結するとは限りませんが、小型株効果一本やりで行けるのか……という不安が生じてきます。


これらの商品は、収益性要件が銘柄選別に含まれていたり、配当を支払う企業に限定することでボロ株を除く投資方針を採用しています。

小型株効果を安定的に得るには、このような商品の利用がおすすめです。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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