ドイツの投資顧問会社StarCapitalは、世界株式長期投資に関するリサーチを随時ウェブで公開しています。
その一端である世界各国株式のCAPEは当ブログでも毎月紹介しています。

昨年末までのデータを用いてリサーチの一部が更新されていました。
日本の兼業個人長期投資家の役に立つ重要な点を拾って紹介します。

今回は「時価総額比例でないインデックス投資の可能性」についてです。

投資国ごとの割合を変えてみるとリターンも変わった!

①時価総額加重インデックス
いま一般的に奨励されている個人向けの長期投資手法は、「時価総額加重インデックス」商品への投資です。
それぞれの企業の時価総額に比例した割合で株式を保有する方法です。

たとえば全世界の株式に時価総額比例で分散投資しているiシェアーズETF(ACWI)の場合。
保有第1位のアップルは2.64%を占めています。
全世界の株式時価総額の中で、アップルの時価総額は2.64%を占めているということになります。

結果、これを国別にみると1位の米国が56.5%、以下日本が7.2%、英国が4.8%と続きます。

②ファンダメンタル・インデックス(スマートベータ)
これに対し、さまざまな指標を利用して企業の保有割合を一定のルールに基づき修正して保有するのがファンダメンタル・インデックス投資です。
スマートベータという言い方のほうがなじみ深いでしょうか。

たとえば保有する企業を配当を支払う企業に限定したうえで、配当利回りに基づき保有割合を修正するウィズダムツリー社の米国ETF(DEW)の場合、保有第1位は米国の電話・通信会社AT&Tで3.6%を占めます。
国別でみると1位の米国が56.2%、2位は英国で7.1%、3位が日本で4.3%に減ります。

ファンダメンタル・インデックスも、あくまでも企業の保有割合ありきで国別の割合はその結果であるという点では時価総額加重インデックスと同じです。

③国別の割合を変える「GDP加重投資」「等加重投資」
StarCapitalの発表したリサーチによると、運用成績の比較で、株式時価総額加重インデックス投資より「GDP加重投資」「等加重投資」の方がすぐれていたといいます。

StarCapital – RESEARCH IN CHARTS
独自のリサーチが豊富に公開されており、非常に参考になります。

リサーチ結果が1枚のPDFで公開されていました。
Outperformance of equal and GDP weighted country allocation


「GDP加重投資」とは、投資対象国の合計GDPに対する各国のGDPの割合に比例して各国の株式インデックスに投資するという方法です。

「等加重投資」とは、すべての投資対象国のインデックスに同じ割合で投資する方法です。
米国株式インデックスもキプロス株式インデックスも同じ割合で投資します。

先進国株・欧州株・新興国株・全世界株のすべての区分で、50年または31年の長期で「GDP加重投資」「等加重投資」が「時価総額加重インデックス投資」を上回っていました。
新興国株を除き等加重投資がトップでした。

年率リターンの差を投資結果で見るとこうなります。


年率1%、0.5%程度の違いでも、長期では積もり積もって大きな差になることがわかります。

「GDP加重投資」をする方法があるんです!

現時点では「等加重投資」を行う方法はありませんが、「GDP加重投資」に近い投資を行える投資信託があります。

世界経済インデックスファンドです。
国内ネット証券で購入できる、低コストのバランスファンドです。

預かり資産の半分を、全世界の株式に日本株(TOPIX)・先進国株(MSCI KOKUSAI)・新興国株(MSCI EMERGING)のマザーファンドを用いて投資します。
残り半分も日本・先進国・新興国の債券インデックスマザーファンドを用いて投資します。

この日本・先進国・新興国の株式および債券の配分に、GDPの割合を参照するわけです。


株式の実際の投資割合と時価総額加重・GDP加重を比べてみます。


GDP加重と完全に一致はしていないものの、時価総額からはかなり修正が効いていることがわかります。

時価総額加重インデックス・バランスファンドの代表格である「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」との比較です。


経費率はセゾン・バンガードが0.65%・世界経済インデックスが0.604%と、わずかながら世界経済インデックスがローコストに収まっています。

この10年は株式・債券いずれの運用成績においても、米国がそれ以外の国々を大きく上回りました。
同時に新興国株式が低迷を続けました。

GDP加重投資は時価総額加重に比べて米国の割合が少なく、新興国の割合が多くなるので、その分リターンで差をつけられたものと考えられます。

当ブログで呪文のように唱え続けている、米国株式は相当な割高にあるという現状にかんがみると、
今後10~15年の長期では世界経済インデックスが時価総額加重バランスファンドを上回る可能性が高いと思います。

世界経済インデックスファンドをコアに、お好みに応じて株式・債券の割合を調節することも可能です。
株式の割合を増やすなら「あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンド」等の割高株を減らせるファンドがおすすめです。

債券については、エビデンスのある投資手法を採用した投資信託が見当たりません。
現状では国内・国外いずれの債券も投資妙味が薄いので、低コストで平均格付けの高い債券ファンドに投資し、市場の動乱や金利の急騰に備えてリスクを低く抑えておくのが得策です。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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