株式と並んで金融投資の中核をなす資産が債券です。

満期まで持つことを前提とすれば、収益は購入時点で確定する。

この特徴は「満期がなく収益は売るまで確定できない」株式と対をなすもので、そのおかげで値動きも株式のカウンターをとります。

債券固有の収益を取ることでポートフォリオの資産を右肩上がりに成長させながら、大きく値を上下させる株式のヘッジができるわけです。

ところが近年、日本を含む主に先進国で国債の金利が消滅し、マイナスに突入する事態が発生しています。

満期まで持つことを前提とすれば、損失が購入時点で確定する。
こんな様相を呈しています。

株式のヘッジ機能は生きていますが、債券を持ちきりでは損失になるケースがあります。
長期で資産形成を行う兼業個人投資家にとっては、債券ファンドを持つ意味合いが劇的に薄れてしまいました。

債券投資でリスクをとっても割に合わない時代

現状は、近年債券投資の成績が極めて良好だったことの裏返しといえます。



上のグラフは、米国の機関投資家向け投資情報ブログ“Disciplined Systematic Global Macro Views”に掲載された記事からの引用です。

The “Golden Age” of bond maturity premium unlikely to continue
債券満期プレミアムの「黄金時代」は続きそうにない

世界各国の長期国債の利回りと、短期国債を同期間分買いつないでいった時に得られる利回りの比較、つまり「満期プレミアム」をグラフで表しています。
薄い青が1900~2018年の119年間の平均、濃い青が1982~2018年の平均です。

一般に、長期国債買い切りのほうが短期国債の数珠繋ぎより高い利回りが得られます。

短期国債の買いつなぎであれば、債券投資の旗色が悪くなった時にいつでも逃げ出すことが可能ですが、長期国債の保有者はマイナスを背負い込むことになります。
その見返りとして当初の利回りが高い、つまり「満期プレミアム」が乗っているわけです。

棒グラフが上に伸びていれば満期プレミアムがプラスであることを示します。
世界中のほぼすべての調査対象国で満期プレミアムは確認できますが、濃い青、つまり1982~2018年に得られたプレミアムは、119年の平均より一様に、はるかに大きかったことがよくわかります。

これは1982~2018年の期間では長期国債の収益が大きかった、つまりは「債券価格が大きく上昇した」=「債券の金利が大きく下落した」結果です。

記事のタイトルは「債券満期プレミアムの『黄金時代』は続きそうにない」。

つまり、グラフで見るような圧倒的な長期国債投資の高収益の果てに複数の先進国で国債の金利がマイナスに突っ込んでしまいました。

この現象は、債券投資がおそらく「行き止まり」に突き当たったことを示しており、この先国債の価格が上昇していくことは望めそうにないと言っているわけです。

 今は勝者であっても、後に敗者になるかもしれない
 時代は変わりつつある

まるでボブ・ディランの、あの歌のようです。

国債投資の代替手段はこれ!



金利がどこまでもマイナスを掘り進むことはできないので、そこに行き当たれば反転するしかありません。
反転すれば、債券投資の出血は長く続きます。

兼業個人投資家にとって債券ファンドを利用しにくい時期が始まっています。
マイナスリターンの可能性が強い資産に、信託報酬を払って投資する意味は極めて薄いです。

僕たちはこれから、株式の下落をヘッジしてポートフォリオを安定させる方法をどのように求めればよいのでしょうか?

① 現金・個人向け国債
債券のように株式のカウンターになるわけではありませんが、現金は市場がどう動こうと減ることがありません。

普通預金に入れておけば通常程度のインフレによる目減りは防げます。
信託報酬を払う必要もありません。
第1に検討すべき穏当な選択肢です。

個人向け国債も元本保証で、変動型であればインフレに連れて金利が上がっていくので普通預金と同様に考えてOKです。

② 短期債券ファンド
価格変動リスク、つまりマイナスになる可能性もありますが、損失の幅は限定的です。
短期の社債などに多く投資し、わずかではありますが収益を狙うことも可能です。

ニッセイ日本インカムオープン(年1回決算型)
おすすめファンドです。
以前、当ブログでも詳しく記事にしました。
個人向け国債より使える! 安全運用にうってつけの投資信託「ニッセイ日本インカムオープン(年1回決算型)」

③ ラダー型債券ファンド
1年ごとに投資する国債の年限を入れ替えていくファンドです。
よほど急激な金利上昇でなければ、プレミアムを取りながらある程度は損失を限定することが可能です。

日本超長期国債ファンド
残存期間が11~20年程度の国債を投資対象とし、その投資金額が各残存期間ごとにほぼ同程度となるように運用を行います。

④ ゴールド価格に連動する投資信託・ETF
株式のヘッジ資産として有効です。
債券のように株式へのカウンターとなるというより、経済ショックや地政学的な不穏、スタグフレーションの際などに価格が上昇し、長期的に株式と異なる値動きを示します。

株式や債券と異なり、それ自体が収益を生まないことで長期保有には向かないとされていましたが、債券が固有の収益性を失っている今、相対的にゴールドの魅力が増しています。

長期的にポートフォリオの一角を占めるなら
SPDR® ゴールド ミニシェアーズ トラスト(GLDM)
短・中期的なヘッジ機能を期待するなら、為替ヘッジのある
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)
がおすすめです。

世界中の株式と債券に投資して資産の分散は万全……とはいかない時代になってきました。
自分の性格や投資期間・目的に合わせた、賢い分散を追求していきましょう!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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