人手不足は、幸せにする

世界に知られた歓楽街、欲望の底なし沼こと新宿歌舞伎町のほとりに僕の仕事場はあります。

夕方6時。このかいわいでは、仕上がり前の少し派手めな若い男性・女性とすれ違うこともしばしば。きっとご出勤の途中です。

お先です!がんばって!と心の中でつぶやきながら、この時間から働いて1時2時には帰れるとしたら、結構時間のゆうずうが利く仕事だな……などと考えたり。

生活費の補てんやお金を貯めるため、夜のお仕事と昼職や学校、ご家庭の切り盛りを両立される方も多いといいます。働く時間の自由と収入がともに得られる貴重な職場ですよね。

こうした仕事は、一般的な区分けとしては「非正規雇用」にあたります。
※夜職の場合、雇用でなく業務委託扱いにされることも多いですが、時給制・出勤日時が決まっている・指示を受けて働いているといった場合は、本来は雇用関係にあたります。

非正規雇用は、給料が時給計算だったり、契約期間が決まっていたり、派遣会社に紹介された勤務先で仕事をしたり、といった特徴があります。

このどれもが、一般に「正社員」といわれる正規雇用にはあてはまらないものです。

文字づらだけを見ると、なんだか正規が正しくて非正規が正しくないというような感じがしてしまいますが、もちろんそんなことはありません! 法律上は正規・非正規といった区別はなくて、全員が「労働者」ですから。

会社がおこなっている業務の内容に応じて、働き方や割り当てる仕事の区別をしているだけです。バッシュとハイヒールと安全靴の違いのような、活躍する場面に応じた区別に近いかなと。

実際、非正規雇用は給料をもらって働く人の約4割を占めています。堂々たるメジャープレイヤーです。

ちなみに僕は「個人事業主」という働き方で、石をどけると見つかるダンゴムシ程度の存在感しかないマイナープレイヤーなのですがそれはさておき。

最近では、「都合のよい時間に働きたい」という理由で非正規雇用を選ぶ人が増えてます。

人手不足を背景に、給料や厚生年金などの待遇改善が進んで、正規社員との格差が縮まってきていることが大きいそうです。

「正規雇用の仕事がないから」非正規で働いているという人もいまだ少なくはありませんが、かなり減ってきています。

非正規雇用という働き方にメリットを感じている人が増え、デメリットを感じている人が減っているということですね。

人手不足は、働く人を幸せにするんですよね。
これ、すっっっごく大事なことなので、後でくわしくお話ししたいと思います。

この記事はこんな人が書いてます。プロフィール

 

あなたは「メンバー」ですか?

さっき、僕は非正規雇用と正規雇用の待遇格差が縮まってきていると書きました。でも、実はそれってこの区別のオモテ面の話でしかなかったりします。というのも……

会社は、給料を払うのとは違うお金や手間を、従業員にかけています。
それは何だと思いますか?

健康保険、厚生年金、雇用保険、労災。正解です! 大事なしくみですよね。
福利厚生。手厚い会社もありますね、うらやましいかぎりです。

こんなところでしょうか?
それでは、もう1つだけ。

会社は、正規採用をするときには「長く働いてほしい人」を選んでその会社の「メンバー」として採用し、「教育」や「研修」をして育てていきます。

というわけで、僕からの答えは
「人材に対する『投資』」
です。

先輩やら上司やらその上の上司やらが、長い目で若手を見守り、評価し、育て方を考えつつ叱り、教える。これが職場での「教育」です。

会社が費用をもって、専門知識を身につける講習を受けたり、関連会社や取引先に一時的に移って仕事を学んだり。これが「研修」です。

海外に留学したり、社内で事業を起ち上げて経営できる会社もあったりします。ここまで行くと一般的な教育・研修の枠組みからは離れますが、これも人材に対する思い切った「投資」です。

非正規社員は、その会社の「メンバー」とはみなされず、投資を受ける機会が限られていることが多いです。

アルバイトや派遣で働いている方の多くは、働き始めるときに、職場の決まりごとや基本的なルール、作業マニュアルなどを一通り教わりますよね。

その後は、ある程度決まった枠の中で仕事をしていくことが多いと思います。現場でしっかり仕事を回していくイメージです。

一方、正社員は現場を回す業務以外の仕事も期待されていることが多いです。

現場を回す人たちの管理を担当したり、あたらしいビジネスを考えたり、効率化の工夫をしたり、会社全体の人事や経理といった「企画・運営」を手がけたり。

このような仕事で成果をあげるための投資を、正社員はさまざまな形で受けているわけです。

僕もサラリーマンをやっていたときは、一応メンバーでした。「日野メンバー」と言うとちょっとレアなアレですけれども。

※もちろん、すべての企業で正社員への投資が十分に行われているわけではありません。実はサラリーマン時代、僕は研修などというものを受けたことは一度もありません。
※非正規社員への投資を積極的におこなっている会社ももちろんあります。このへんのお話は次回に。

こんなふうに、非正規雇用と正規雇用では、能力を伸ばしていくという面で、お勤め先のとらえ方、お金や手間・時間のかけ方に大きな差が出ている可能性があるんです。
これが、非正規・正規の区別のウラ面です。

ここで僕はあなたに一度、想像してみてほしいと思っています。

よく考えると、わりと毎日同じだよな。
いつまで続けられるかな。
このままの給料で行っていいかなあ。
もしやめたら、自分には何が残るんだろう……
好き嫌いは別にして、尊敬できる人って職場には、いねーかぁ。

こんなふうに思うことは、ないでしょうか?


ピンチアウト(親指と人差し指を広げる操作)で大きくなります。

と、あなたにボールをぶん投げさせていただいたところで今回はここまでです。すっかり長くなりまして、これから5年の話にも、人手不足の話にもたどり着きませんでした。次回が本番です、また一緒に考えていきましょう。今回もお付き合いいただきありがとうございました。
Stay tuned

(参考文献)
「自由だから非正規」4割増 待遇改善も影響
「非正規雇用」の現状と課題
非正規雇用対策・若者雇用対策について

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