スペインの株式が割安に傾いており、魅力が増しています。
スペイン株式投資はひと手間かけていきましょう!
のおはなしです。
ありがとうございます。

投資手段

①投資信託
スペイン株式のみに投資する投資信託はありません。

スペイン株式を含む投資信託は少数ありますが、もっともスペイン株式の比率が高い「ピクテ・ヨーロピアン・オープン」でもその割合は14%にすぎません。
スペイン株式の割安タイミングを活かせる投資信託はありません。

②ETF
ネット・大手を問わず、国内証券会社はスペイン株式市場に投資できるETFを扱っていません。
日本語で開設できる海外証券会社に「インタラクティブ・ブローカーズ証券」「サクソバンク証券」があり、どちらもiShares MSCI Spain ETF(EWP)を扱っています。

③CFD
インタラクティブ・ブローカーズ証券・サクソバンク証券ともに、スペイン株式市場を代表する指数であるIBEX35指数に「CFD」というしくみを利用して投資することができます。

指数/投資手段の比較

iShares MSCI Spain指数とIBEX35指数、およびETFとCFDをそれぞれ比較検討していきます。

●指数の比較
iShares MSCI Spain指数はETF(EWP)、IBEX35指数はCFDを利用した投資となります。
まずは指数同士を比較します。

iShares MSCI Spain指数は21銘柄で構成され、上位10銘柄が71.8%を占めます。
このなかでは最大銘柄であるBANCO SANTANDERや、ZARAを展開するINDITEXが日本でも知られています。
過去の成績は上の表のとおりですが、円建て10年の年率換算では4.1%となり、iShares MSCI Japanの7.8%に比べふるいません。

IBEX35指数は、マドリード証券取引所に上場する株式のうち流動性上位35社で構成される時価総額加重型指数です。

両指数のポートフォリオのうち60%強が共通しているため、運用成績には「本来は」さほどの違いは出ません。

ただし海外ETFの運用成績には為替が影響しますが、CFDは為替の影響がないという大きな違いがあります。

●ETFとCFDの比較:手数料・税金
スペイン株式のETF・CFDが購入できる2社のうち、サクソバンク証券は近日中に特定口座の導入が予定されています。
一般口座でETFを購入すると確定申告が必要になるので、趣味や副業として長期投資を行うには特定口座を利用したETFによる投資が楽です。
以降はサクソバンク証券を例にとって説明していきます。
※サクソバンク証券との利害関係は一切ありません。

サクソバンク証券で海外ETFを購入する場合、売買手数料が0.2%(最低手数料5ドル)、為替手数料が0.2%かかります。
保有している間の手数料はかかりません。

サクソバンク証券のCFDでIBEX35指数に投資する場合、取引手数料はかかりません。
ただし、CFDの取引手数料は「買い価格」と「売り価格」の差額(スプレッド)に含まれ、見えなくなっているだけといえます。

価格調整額というコストを払うケースが発生することもあります。
これはCFDが先物を乗り換えていく仕組みをバックグラウンドとしていることによるものです。

先物取引は入金したお金で原資産を買うわけではなく、取引の相手方が「借金」をして原資産に連動させる作業を行うため、その借金の金利をこちらが負担する必要があります。
金利負担分は先物価格に含まれており、それを背景にCFDの価格や価格調整額が決まります。
したがって、CFDの長期保有は金利コストの分ETFの保有に比べて費用がかかるというわけです。

また、CFDは「サクソバンク証券を相手にした権利の売買契約」であるため、市場で流通する流動性の大きいETFに比べ、価格が恣意的に動く可能性がないとはいえません。
何らかのショックに際して、流動性が一時的に枯渇した結果(例えば「売りばかり殺到する」など)、ETFに比べ一時的にスプレッドが大きくなる(=手数料が高くなる)可能性があります。

利益にかかる税金は、ETF・CFDともに20.315%であり、有利不利はありません。
ETFの損益は株式・投資信託などと通算できます。
CFDの損益は他の先物取引等と通算できます。
ETFとCFDの損益を通算することはできません。

●ETFとCFDの比較:為替の影響
為替の影響について説明します。
サクソバンク証券で購入できるiShares EWP ETFの価格はドル建てですが、実際のスペイン株式はユーロ建てです。
つまり、スペイン株式の値動きに「ドルを介した『ユーロ/円』の為替の動き」を掛け算したものがリアルな運用成績となります。

一方のCFDは、IBEX35指数の先物を証券会社を通じてヴァーチャルに買っている「契約」です。
現物の証券を買っているわけではないので、為替が間に挟まることはありません。
(むずかしければ「為替が関係ない」と覚えるだけで大丈夫です)

簡単な例を挙げてみます。ある日のこと。
・スペイン株式市場は2%上昇した。
・その日発表された貿易統計で、為替が2%の円高ユーロ安になった。
この場合、それぞれの成績はこのようになります。
iShares EWP ETF :スペイン株式+2%×為替-2%=-0.04%
IBEX35指数CFD:スペイン株式+2%=+2%

長期では為替の帰趨を予想することはできないのでどちらでもよいといえばよいのですが、自分の予想で短期売買を行う可能性がある場合には注意を払う必要があります。

スペインの経済環境

スペイン経済の特徴を確認します。
投資を開始した後にモニタリングしていく必要のあるトピックです。

●ユーロ問題
共通通貨ユーロを使う国では、金融政策の自由がありません。
ある国の景気が悪い時に、その国単独の判断では金利の引き下げなどの金融政策で景気刺激を行うことができません。
公共事業や減税といった財政支出で景気を刺激することになります。

財政収支が悪化すると、長期金利が上がって螺旋階段を上るように財政負担が重くなります。
国債が償還されない(デフォルト)と思われればそれ以上の借金ができなくなり、経済危機となります。
2010年にギリシャに実際に起こったことです。
スペインも「PIIGS」とくくられ、一時は危機に足を踏み入れているとささやかれていました。

こうした危機が起こらないよう、ユーロ圏内の諸国には「健全財政」を志向する義務が課せられています。そのため、恒常的に緊縮財政に陥りやすい構造です。庶民の暮らしぶりに悪影響が出たり、失業率が高止まったりします。
近年話題になっている、西欧諸国における「反緊縮」にはこうした背景があるわけです。

「ドイツの一人勝ち」になりやすい構造がスペイン経済や政治にどのような影響を与えるか、継続的な目配りが必要です。

●観光立国
スペインは観光立国で、中でもイギリス・ドイツからの観光客が4割を占めます。
外国人観光客の数は、リーマンショックのさなかには大幅に減少したものの、その後は安定的に増加しています。
観光に悪影響を与える政情不安(反緊縮運動、地域独立運動など)や、イギリス・ドイツの景気への目配りが必要です。

●カタルーニャ地方の独立志向
スペインではカタルーニャ地方、バスク地方の独立志向が大きかったのですが、バスク地方では自治権の拡大が認められた結果、沈静化しています。
カタルーニャ地方はスペイン経済の1/5を占める富裕地域であり、中央政府としても自治権の拡大を認めることがむずかしいため、独立運動はくすぶり続けています。

●若年層の失業
15~24歳の失業率が、2019年で34.1%にのぼります。
全体の失業率も常に高く、2019年で14.25%(EU28か国は6.7%)にのぼります。
正規雇用優遇、解雇規制があるため人を雇いにくく、雇用が増えにくい構造です。
高い教育を受けた人材の流出が激しく、将来の国家戦略に影響が出かねない状況です。

いかに投資するか?

スペイン株式への投資にあたっては、日本から利用できる海外証券会社2社でiShares MSCI Spain ETF(EWP)と、IBEX35指数に連動するCFDへの投資が可能です。
サクソバンク証券では近いうちに特定口座の導入が予定されており、ETFでの運用が便利になりそうです。

ETFとCFDがそれぞれ連動する指数に大差はありませんが、為替の影響をどう考えるかが投資方法を選ぶ1つの基準になります。
また、CFDは少額で大きなポジションをとることができる(最大10倍のレバレッジ)ので資金効率がよいといえます。

レバレッジは借金ですから、失敗すれば大きな損失を生む可能性があります。利用には注意が必要です。

お相手は、人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

(参考文献)
「双発エンジン」を持つスペインの強みと弱み
債務危機からの回復過程のユーロ圏経済
ユーロ圏が機能するには「財政統合」が必須だ

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