ひとくふう新興国株式ファンドは、新興国株式に投資するスマートベータ投資信託です。
不穏な雰囲気での逃げ場には使えそうですが、長期で持つにはどうだろう?
のお話しです。
いつもありがとうございます。

成長途上の新興国スマートベータ投信

ひとくふう新興国株式ファンドは、新興国株式に投資するスマートベータ投資信託です。

アクティブファンドですが、運用方針が明確で準じるファクターが明示されているため、ここではスマートベータ投資商品として扱います。
運用資産額は5260万円と、まだまだ成長途上といった趣です。

新興国株式に投資する商品としては、インデックスファンドを除けば低廉な信託報酬です。
新興国株式インデックスファンドの中でもっともすぐれた商品である「楽天・新興国株式インデックス・ファンド」の信託報酬は0.25%。
実質的な年間経費で比較し、スマートベータがそれを上回る成績をあげられるかどうか、徹底的に検証します。

運用方針

異なる特性を有するETFを効果的に組み合わせることにより、「リスク調整後リターン」を高める運用を目指します。

具体的には、新興国株式に投資する米国ETFから、折々の市場環境にマッチしたものを選んで投資します。
たとえば「新興国株式の下落が予想される時期」に「低ボラティリティ」ETFに投資して、もくろみ通り市場が下げれば相対的に低リスク・高リターンの投資となります。
あるはい、新興国株式がどん底にある時期に「小型バリュー」ETFに投資して、もくろみ通り市場が急回復すれば、相対的に市場と同程度のリスクで高リターンの投資となります。

このように、市場環境に合わせて投資するETFを変更する「スタイルローテーション」型の投資信託といえます。
数理モデルを用いて、「リスク調整後リターン」が最大化するよう投資するETFを選択と割合の算出を行っています。

当ファンドが投資するETFから注目株をあげてみます。
いずれも日本のネット証券会社からは投資できない商品です。

インベスコDWAエマージング・マーケッツ・モメンタムETF(PIE)は、一定期間株価の上昇が継続している「勢い(モメンタム)にのっている株」に投資します。
モメンタムは以前に解説した「ファクター投資」の一角をなすもので、「一定の期間(3~12カ月)上昇した株式はその後も上昇の勢いが続きやすい」効果です。
過去の勝ち組は好調を維持しやすいというわけです。

根拠としてはおもに、「投資家の非合理性」があげられています。
投資家は「自信過剰で、出来事を自分に有利に解釈し、自分が理解した現象はそのまま続くと思い込むくせ」があり、その影響がモメンタム(勢い)を与えているという解釈です。

コロンビア・エマージング・マーケット・コンシューマーETF(ECON)は、新興国中間層の興隆を背景とした「消費関連セクター」に投資します。
大陸系の方々の「爆買い」を思い起こせば、新興国中間層が消費を大きく増やしていることが理解できます。

消費関連セクターとは、一般消費財(自動車など)・通信(通信会社など)・IT・生活必需品(食品など)が該当します。
先進国を大きく凌駕する新興国の1人当たりGDPの伸びは、ECONに含まれる株式の売り上げアップに直結しています。


青:バンガード新興国株式ETF
橙:インベスコDWAエマージング・マーケッツ・モメンタムETF(PIE)
黄緑:コロンビア・エマージング・マーケット・コンシューマーETF(ECON)

コロンビア・エマージング・マーケット・コンシューマーETFが提供された2014年9月以降の運用成績です。
いずれのETFも、青の新興国株式平均とは異なる値動きをしていることがわかります。
うまく投資タイミングをとらえることができれば、この投資信託は成功です。

スタイルローテーション



状況に応じて、かなり柔軟にスタイルを入れ替えていることがわかります。
本年1月からのリバウンド相場では市場平均に後れを取り、4カ月弱で7%ほど劣後しました。

運用商品(ETF)のラインナップ的に、バリューファクターや低ボラティリティファクターが効きにくい相場、つまり銘柄の物色より市場平均が思惑で買い上げられる相場には弱そうです。
市場平均を持ったところで、信託報酬の分コスト負けしてしまうからです。
スタイルローテーションはなかなか難しい戦略であることがわかります。

最小分散、高配当といった下落相場のプロテクションとなるETFを多く組み入れる傾向があります。
先行きに不安のある時期には一向に値します。

コスト

期間が異なるため完全一致の比較とはなりませんが、
ひとくふう:1.026%(~2019.3.4)
楽天新興国:0.320%(~2018.7.17)
年間で0.7%程度のコスト差があります。

まとめ

ひとくふう新興国株式ファンドは、新興国株式に投資するスマートベータ投資信託です。
新興国株式に投資する米国ETFから、数理モデルを用いて「リスク調整後リターン」が最大化するよう投資するETFの選択と割合の算出を行っています。
市場環境に合わせて投資するETFを変更する「スタイルローテーション」型の投資信託です。

日本の証券会社からは投資できないETFにも投資できる点を活かして、マクロ経済分析で先々の相場を予測できれば市場平均よりも良い成績を収めることが可能です。
ただし、実際の運用成績は現状では市場平均に及んでいません。
数理モデルは過去の相場データを用いて組んだものであり実際には予測はむずかしいこと、コストが高いことなどがその理由です。

おまかせの長期保有には不安が残りますが、日本では投資できない下落のプロテクションになるETFを組み入れることが多いので、先行きに不安のある時期には一考に値する商品です。

お相手は、人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

(参考文献)
モメンタムに乗る ファクター投資を理解する

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