株式・債券・ゴールドは常道の組み合わせ、それに面白戦略の安定ファンドも使えますよ!のお話です。
いつもありがとうございます。

曇り空が1,2年続きそうなこの時代に

2015年半ばからの約1年、そして2018年。
ぐずぐずしながらずるずる株価が切り下がっていく。
長期投資では、そんな時期を繰り返し経験します。

リーマンショックの、背筋を伝う冷たい汗の恐怖はまだ記憶に新しいところ。
そして、中国経済の不安や割高圏にある米国株式の動向を踏まえ、楽観論と悲観論が激しく入り混じる今日この頃です。
株だけでなく債券も割高で逃げ場がない、という意味の“everything bubble”という言葉もしばしば耳にします。

転ばぬ先の杖、分散投資先を徹底調査しました。

国内債券:NOUMRA-BPIがベストとは限らない

株式と債券はシーソーの両端のようなもの。
株式に暗雲が立ち込めれば、資金は国債に逃げます。

日本国債は国家財政への懸念をよそに、長期間安定的な収益を稼ぎ出してきました。
株式とは逆相関の関係にあり、非常に相性の良い資産です。

国内債券への投資は、日本の債券市場全体の動向を表す「NOUMRA-BPI」に連動するインデックスファンドが低コストでポピュラーです。
ただし、NOMURA-BPIは株式と組み合わせる投資対象としてはベストではないと考えます。

NOMURA-BPIは「市場全体の動向を示す」指標であるため、残存年数の少ない債券や社債なども含まれます。
株式のカウンターとしては、長期国債のほうがより逆相関が強く、かつ長期リターンが高いので望ましいです。

日本超長期国債ファンド
残存期間が11~20年程度の国債を投資対象とし、その投資金額が各残存期間毎にほぼ同程度となるように運用を行います(ラダー型運用)。
信託報酬は0.162%と低水準で、NOMURA-BPI連動のファンドと遜色ありません。
これまでは毎年、基準価額の1%ほどの分配が出ていたのが唯一の欠点です。

ヘッジ付き外債:スタグフが怖いなら


赤:国内債券インデックス(NOMURA-BPI)投資信託
青:FTSE世界国債インデックス(除く日本・ヘッジあり)投資信託

外国債券は為替ヘッジをかけると、リターンは国内債券同等になります。
上の図でも、10年間年の長期ではおおよそ運用成績が等しくなっています。
その間、外国債券のほうが若干激しい値動きを示しています。

長期国債ファンド一本で行ってもよさそうですが、悪性の金利上昇(スタグフレーション)が心配な向きはヘッジ付きの外国債券に分散してもよいかもしれません。

ひとくふう世界国債ファンド(為替ヘッジあり)
投資対象は日本を含むFTSE世界国債インデックスに含まれる国の国債です。
ポートフォリオに設定した目標リスクの範囲内で期待収益が高い(高利回りの)国債に投資します。
必然的に長期国債が多くなります。
信託報酬は0.27%と低水準で、これ一本で株式との相関係数が低い世界国債ポートフォリオを完結できます。

ゴールド:株式と逆相関を示すが、ボラティリティが大きい

ゴールドは世界の政治経済情勢が不透明になったときの逃げ場になる資産です。
「有事の金」という言葉があります。
著名ヘッジファンド「ブリッジウォーター」を運営するレイ・ダリオが一般投資家向けに公開した「オールウェザーポートフォリオ」にも、ゴールドは7.5%含まれています。

ただし、金価格は実需とは切り離されており、完全に市場の思惑のみで動いています。
株式や債券と異なり価値を生み出す資産ではありません。
あくまでも株価下落のヘッジ目的に、10%程度の保有が合理的というのが通り相場です。
あまり多く保有すると、株式のリターンを打ち消してしまいかねません。

SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジあり)
為替の影響を除き、金への需要のみで株式のヘッジとするには「為替ヘッジあり」が適しています。
ゴールドのスポット価格に連動する投資信託は複数ありますが、信託報酬は0.27%と最も低水準の商品です。

コモディティ:近年いいとこなし、かつコスト高

コモディティファンドは、貴金属や食糧、燃料といった「商品」のスポット価格から構成される指数に連動します。
信託報酬が1%を切る商品は、「eMAXISプラス コモディティインデックス」「SMTAMコモディティ・オープン」です。

コモディティの価格は実需と思惑の掛け算になりますが、価値を生み出す資産ではないという点はゴールドと同じです。
ゴールドの価格もコモディティインデックスに含まれています。

また、コモディティインデックスは先物取引をつなげていく(ロールオーバー)コストが発生するため、指数低下の圧が常にかかっています。
コンタンゴとよばれる現象です。
元来、長期投資には向きません。

また、複数の商品価格から組成される指数であり、ファンドの提供元は指数に連動するための先物売買を日常的に行っていかなくてはなりません。
株式インデックスよりもはるかに手間とコストがかかります。
そのため、投資信託の信託報酬も高くなっています。
おまけに近年の商品価格はぱっとしません。
相場の先行きを見通すにも各商品に特有の知識と世界経済情勢の理解が必要で、難解です。

株価下落ヘッジのためだけであれば、ゴールドを10%程度保有するのであれば、コモディティ投資は省略してもかまいません。

ヘッジファンド:一長一短

ヘッジファンドと一言に言っても、あまたの手法があり商品があります。
国内の投資信託で利用できる代表的な手法をあげてみます。

①CTA運用ファンド
CTA(Commodity Trading Advisor)が運用するファンドに投資する投資信託をいいます。商品・債券・為替・株価指数等の先物を投資対象とし、コンピュータを駆使したアルゴリズム取引で絶対収益(相場が上昇しても下落しても利益を得る)ことを目標としています。
株式との相関は低くなり、分散には適しています。

かつては英国のマン・グループが名を知られており、日本でもマンAHLという商品に投資する外国籍の投資信託が提供されています。
しかし、近年ではアルゴリズム取引を活用するライバルが増えたせいか、CTA運用ファンドの成績は芳しくありません。

国内投資信託では楽天グローバル・プレミア・ファンド(ロボット自動運用型)がありますが、やはり運用成績は芳しくありません。
マン・グループのファンドに投資する商品です。

②株式ロング・ショート
有望な銘柄を買い、同時にその銘柄が所属する市場の株価指数先物を売ることで、銘柄の「有望さ」だけをリターンとして取り出すことができます。
株式ロング・ショート戦略をかいつまんで言うとこういうことです。

有望な銘柄を多く発掘できれば、株式ポートフォリオをただ保有することに比べ低リスクで安定的な収益を得ることができますが、一方で上げ相場の利益は取り逃がすことになります。

また、株式の「買い」部分からの収益を得るため、どうしても株式ポートフォリオと値動きが似てきます。
同じ形の波がマイルドになるというイメージです。
債券投資ほどの「逆相関」は得られません。

スパークス・日本株・ロング・ショート・ファンド
スパークス・アセットの商品です。
コストは高いものの、比較的低リスクに安定的な収益をあげてきました。

バランス:注目の商品を発掘!

日本の投資信託・ETFのうち、バランスファンドに分類される商品は859件あります(2019年5月31日現在)。

基本的には、株式・債券・REIT・コモディティといった資産を組み合わせるものです。
株式ポートフォリオに債券やゴールドのファンドを導入することは、自前のバランスファンドを組成する作業です。
バランスファンドを購入するよりは、自分の裁量で債券・ゴールドファンドを購入したほうが、わずかですが低コストで済みます。

ここで、特徴のあるバランスファンドを1つご紹介します。
ファイン・ブレンド(資産成長型)
投資対象は、日本長期国債・海外高金利債券・世界高配当株式・世界REIT、ゴールドの5資産です。
日本長期国債・海外高金利債券・世界高配当株式で、代表的なインデックスを超える収益を目指します。

そして、各資産の基準価額への影響度合いが5資産の間で概ね均等になるような資産配分戦略(ファイン・ブレンド戦略)を用いて、特定の資産が基準価額に与える影響を低減するとうたわれています。
これはどういうことなのでしょうか。

5資産のうち「日本長期国債・海外高金利債券」を低リスク資産、「世界高配当株式・世界REIT・ゴールド」を高リスク資産と分けることができます。
仮に、5資産を均等割合で保有すると、この投資信託の値動きは「世界高配当株式・世界REIT・ゴールド」のいずれか、または複数にほぼ左右されてしまうことになります。
5資産に分散した意味が、実際にはあまりないという言い方ができます。

ここで、5資産それぞれの値動きが等しくなるような割合で保有する「ファイン・ブレンド戦略」が出てきます。
各資産に由来する「リスク」が均等になる割合で保有するわけです。
一般的には「リスク・パリティ」とよばれるリスク管理手法です。
通常、「日本長期国債・海外高金利債券」は多く「世界高配当株式・世界REIT・ゴールド」は少なくなり、そのうえで市場動向によっての調整が加えられます。

※ファイン・ブレンド(資産成長型)交付目論見書より

もともと値動きを相殺し合う関係にある5資産を、さらに相殺の働きが大きくなるように組み合わせることになりますから、日々の基準価額から描かれるチャートは非常に穏やかになっています。


青:ファイン・ブレンド(資産成長型)
緑:TOPIX
赤:国内債券インデックスファンド

国内債券インデックスファンドほどの平滑さではないものの、値動きを抑えて安定的な収益をあげてきたことが見てとれます。
設定以来、年率3.0%のリターンをあげています。

・経済情勢が不穏になったときの避難先
・こどもの学資など、あまりリスクを取りたくない資金の積み立て先として
・すでに十分な資産を持っている場合の保全的な運用

このような目的に適しています。
信託報酬1.45%を支払って余りある、非常に優秀なファンドです。

まとめ

株式ポートフォリオの下落をヘッジするための分散先としては、
・日本長期国債
・ヘッジ付き長期外債
・ゴールド
が適しています。
それぞれ低コストの商品をピックアップしました。

コモディティファンドやヘッジファンドは、高コスト・成績不振・先の見通しが難解・分散効果が薄いといった理由で、株価下落のヘッジにはあまり役立ちそうもありません。

「ファイン・ブレンド(資産成長型)」は、日本長期国債・海外高金利債券・世界高配当株式・世界REIT、ゴールドの5資産に分散投資し、年率3%の収益を安定的に上げてきた商品です。
商品性がユニーク・堅実で、年率3%程度の安定運用がフィットする資金の置き場としては非常に優秀です。

お相手は、人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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