米国著名投資家ハワード・マークスも「米国株式は最終段階にいる」と……のお話です。
いつもありがとうございます。

「投資の哲人」ハワード・マークス



米国の運用会社オークツリー・キャピタルは、景気や信用(お金の貸し借り)サイクルを利用した逆張り投資で知られます。
運用資産残高は約800億ドル(約6.2兆円)にのぼり、高利回り債(ハイイールド債)と不良債権(ディストレスト・デット)への投資を得意としています。

創業者のハワード・マークスは顧客向けレターを定期的に公開しており、それをまとめた書籍「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」は日本でも話題になりました。

オークツリー・キャピタルから本日届いた顧客向けレターより、ハワード・マークス最新の所信をご紹介します。

今回も、違わない

レターのタイトルは“This Time It’s Different”(今回は違う)です。
このフレーズはいにしえより、上昇相場の終わりにかけて株式市場関係者の口の端にのぼる祈りの言葉です。

相場上昇の勢いが衰えてきて、経済指標に陰りがみられ、PBRやPBRといった評価指標に基づく警戒メッセージが出てくるころ、それに対抗するようにあちこちから手を変え品を変え祈りの言葉が聞こえてきます。

ある時は「Qレシオ」。
またある時は「ニューエコノミー」。
浜の真砂は尽きるとも、世に「今回は違う」の種は尽きません。

ハワード・マークスはこのフレーズの初出を明らかにします。
1987年、投資運用業界の大物ジョン・テンプルトンが“This Time It’s Different”(今回は違う)と言った8日後、1日で株式市場が23%の下落に襲われた「ブラック・マンデー」がやってきました。
違わなかったのです。

「今回は違う」9重奏

レターは続けて、「今回は違う」の変奏フレーズを9つ列挙します。
これらの1つ1つを丁寧に否定していくのです。

・景気後退なんて来るはずがない。
・量的緩和が続けば市場は永遠に繁栄する。
・財政赤字は問題なく拡大していける。
・国債残高を気にする必要はない。
・金利はいつまでも低いままだ。
・イールドカーブの逆転が悪いことを示唆するとは限らない。
・企業と株式は利益がなくたって繁栄する。
・成長株投資は割安株投資を永久に上回る。

これらのフレーズは上昇相場のラストステージで聞かれる。
ラストステージで買う投資家は大きな過ちを犯すかもしれない。
歴史に学ぶべきだ。
ハワード・マークスはこう言います。

「お客さん、そろそろ手前ども逆張りファンドの仕込み時がやってきますから、お金を用意して待っていてくださいね~」
言い換えれば、こういうことです。

ただし、9フレーズのうち財政支出についてはMMT(modern monetary theory, 現代貨幣理論)を引いて詳しく論じています。
MMTによれば歳出を拡大する余地はまだまだあるという見解も理解できるものの、確信は持てていない様子です。

MMTはこの数カ月、日本でも大きな注目を集めています。
この論説がめちゃめちゃわかりやすいので、おすすめです。
消費税は引き上げられるか?――現代金融理論と「反緊縮」の経済学 中里透 / マクロ経済学・財政運営

じゃあ、僕らの投資をどうしよう?



ハワード・マークスは、かといってすぐにでも景気後退、下落相場がやってくるといっているわけではありません。
永遠に上がり続ける相場はないよ、巻き戻ったときに困らないようにしておくといいよと言っているわけです。

50%のマイナスを食らったら、そこから100%上がらないと元通りにはなりません。
一時的に、「期待を下げる」ことを行動に移すのがよさそうです。

長期では株式がもっとも富を増やす力があるのは間違いありませんが、その「長期」とは、事実上「永遠」の意味です。
人間の人生はその意味での「長期」ではありません。

ここで下落相場の可能性を織り込む方法は3つです。

①現金化する
②債券投資にスイッチする
③下落相場に抵抗性のある株式に乗り換える

「①現金化」はもっとも手軽で、いざ下落相場がやって来た時に機動的に買いに入ることができる強みがあります。
「②債券投資」は①現金化に近い方法ですが、少しでも増える方法で運用を継続したい場合にお勧めです。
僕は「②債券投資」を採用しています。

「③下落相場に抵抗性のある株式」に乗り換える方法があります。
借金が少なく収益が安定している、堅実経営の企業は景気が悪化した際にも株価の下落が比較的少なく抑えられます。

こうした銘柄に投資することを「クオリティ投資」といいます。
クオリティへの逃避 ファクター投資を理解する

投資信託では「配当貴族指数」に連動するファンドを通じてクオリティ投資が行えます。
SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン
SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン
SMT 欧州株配当貴族インデックス・オープン

配当貴族指数への投資については、以前に詳しく紹介しました。
長期で有利な等金額投資、はじめるならこの4本

「最小分散」(低ボラティリティ)投資や、「生活必需品セクター」への投資は下落相場への抵抗性があるといわれていますが、目下いずれもかなり割高になっており、頼りになるかは若干の疑問があります。
配当貴族ファンドへの投資のほうが現状ではよいと思います。

まとめ

運用資産残高約800億ドル(約6.2兆円)を誇る、米国の運用会社オークツリー・キャピタルを率いる著名投資家のハワード・マークスの顧客向けレターが届きました。
現在の相場に警鐘を鳴らしています。

レターのタイトルは“This Time It’s Different”(今回は違う)です。
このフレーズはいにしえより、上昇相場の終わりにかけて株式市場関係者の口の端にのぼる祈りの言葉です。

「今回は違う」の変奏フレーズを9つ列挙し、1つ1つを丁寧に否定します。
・景気後退なんて来るはずがない。
・量的緩和が続けば市場は永遠に繁栄する。
・財政赤字は問題なく拡大していける。
・国債残高を気にする必要はない。
・金利はいつまでも低いままだ。
・イールドカーブの逆転が悪いことを示唆するとは限らない。
・企業と株式は利益がなくたって繁栄する。
・成長株投資は割安株投資を永久に上回る。

これらのフレーズは上昇相場のラストステージで聞かれる。
ラストステージで買う投資家は大きな過ちを犯すかもしれない。
歴史に学ぶべきだ、といいます。

ここで下落相場の可能性を織り込む方法は3つです。

①現金化する
②債券投資にスイッチする
③下落相場に抵抗性のある株式に乗り換える

「①現金化」はもっとも手軽で、いざ下落相場がやって来た時に機動的に買いに入ることができる強みがあります。
「②債券投資」は①現金化に近い方法ですが、少しでも増える方法で運用を継続したい場合にお勧めです。

「③下落相場に抵抗性のある株式」に乗り換える方法があります。
借金が少なく収益が安定している、堅実経営の企業は景気が悪化した際にも株価の下落が比較的少なく抑えられます。

こうした銘柄に投資することを「クオリティ投資」といいます。
投資信託では「配当貴族指数」に連動するファンドを通じてクオリティ投資が行えます。
SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン
SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン
SMT 欧州株配当貴族インデックス・オープン

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

(参考文献)

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