普段から80点、いざという時には150点が出せる、頼りになる相棒的な存在のお話です。
いつもありがとうございます。

東証の一隅を照らす「NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETN」

野村アセットより、NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETNという商品が提供されています。

設定は2017年3月で2年以上が経過していますが、出来高は非常に低調。
過去最大に取引があった日でも、売買金額は1億円強という閑散ぶりです。
東証の一隅をひっそりと占めています。

しかし、ここにきてこの商品が急に輝きを帯びてきました。
商品性と将来性を徹底解析していきます。

「低ベータ」とは何か?

この商品の特徴をひと言で言えば、
「日本株式の動きをとらえつつ、値動きが穏やかである」
ということになります。

この特徴を実現する性質が「低ベータ」です。
ベータが、低いのです。
専門用語ですが、ざっくりと説明していきます。

①低ベータとは「ミネラル麦茶」のことである
ベータとは、ある株式銘柄の「市場リスク」への感応度のことをいいます。

日本の株式を時価総額比例の割合で持つポートフォリオ(市場平均)の値動きの幅を「市場リスク」といいます。

市場平均と全く同じ値動きをする銘柄があれば、そのベータ値は「1」です。
市場平均より激しく動く銘柄は「高ベータ」、穏やかな値動きの銘柄は「低ベータ」となります。

たとえば「石垣食品」は代表的な低ベータ銘柄です。

日本の株式市場がどう動こうと、麦茶が好きな人や松島トモ子のファンはミネラル麦茶を飲むのです。

そして、ほとんどの株式市場の参加者はミネラル麦茶にも松島トモ子にも関心がないのです。

こうして石垣食品は投資家に放置されたまま、日本株式のジェットコースターぶりを脇で眺める、孤高の低ベータ銘柄なのです。

②NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETNとは「ナマケモノの集まり」である
値動きがミネラル麦茶のようにまろやかな銘柄ばかりを集めているので、自然と低ベータポートフォリオも市場平均に比べ値動きがマイルドになります。

たとえば、市場平均を「霊長類の集まり」と考えてみましょう。
人間、ゴリラ、サル、チンパンジーと、霊長類にはさまざまな種類の動物がいます。
動きが活発なものもいればおとなしいものもいます。

仮に霊長類の集まりを、ある平野に放ったとします。
彼らを自由にさせれば、時間が経つにつれて行動範囲はどんどん広がっていきます。
「散らばり」が大きくなるわけです。

今度は、霊長類の集まりの中から「ナマケモノ」だけを抜き出して、平野に放ってみましょう。
当然ですが、ナマケモノなのでなかなか動きません。
時間が経っても、さまざまな霊長類の集まりに比べて「散らばり」はずっと小さいでしょう。

投資運用の世界では、結果の散らばりを「リスク」といいます。
NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETNとは「ナマケモノの集まり」であり、市場平均より低リスクなポートフォリオになるわけです。

NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETNの特徴は?

①商品・連動する指数の特徴
低ベータ50ETNは東証に上場しているETNです。
経費率は0.85%とやや割高。
ETNなので分配金はありませんが、保有銘柄の配当から支払う税金を考慮した価格になっています。

「野村日本株低ベータ・セレクト50」指数に連動した値付けが確保されています。
「野村日本株低ベータ・セレクト50」指数は時価総額加重株価指数ですが、5%のウェイト上限があり、特定の株式の値動きに左右されないよう配慮されています。。

市場連動性等を表す3つのスコア(市場ベータ、為替ベータ、銘柄固有リスク)に基づいた指標値が低い50銘柄で構成されます。

市場リスクへの感応度が低いことに加え、為替への感応度が低いこと、市場リスクを取り除いた後の各銘柄の株価リターンの散らばりが小さいことも求められます。
結果、市場平均に比べ「日本株安・円高」のリスクを低減することができるポートフォリオとなっているのです。

②ポートフォリオの評価

R/N Total:Russell/Nomuraトータル指数
R/N Large:Russell/Nomura大型株指数
R/N Large Value:Russell/Nomura大型バリュー株指数

「野村日本株低ベータ・セレクト50」指数は、トータル指数との比較ではPER・PBR・配当利回りのいずれも高めになっています。

業績安定が見込まれ、投資家からの期待も安定している成長(グロース)株に近い特徴を示しながら、安定銘柄ならではの高配当でもあります。
安心して長期保有できるポートフォリオです。

③リスク・リターンの評価

「野村日本株低ベータ・セレクト50」指数は、比較対象であるTOPIXに比べ、リスクがかなり低くリターンの高い、非常に優秀な指数です。
今後もバックテスト同様にうまくいくなら万々歳なのですが……。

④ETNとは何か?
ETNとは“exchange-traded note”の略です。
ETFが「ファンド」であることに比べ、ETNは「ノート」、つまり「証券」を売買しています。

「ファンド」は特定の指数に連動するよう、株式や債券などの資産を直接保有するポートフォリオそのものですが、「ノート」は違います。

特定の指数に連動させるところまでは同じですが、「ノート」は資産ポートフォリオそのものではありません。
「指数連動が保証された証券」が「ノート」の意味です。

指数連動、つまりその証券の価値を保証するのは発行元である「ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイ」です。
野村證券の子会社ですので、その信用力は本体と同一です。

仮に野村證券が倒産するようなことがあれば、このETNが紙くずになってしまうこともあり得ます。
過去に、リーマンブラザーズが設定したETNが紙くずになった事例があります。

ここは注意したい点ですが、ただし、現状では野村證券の倒産を心配するのは現実的ではありません。
格付け会社5社の評価では、いずれも債務支払い能力は良好とされる投資適格の格付けを得ています。

結局、買いなのか? 予想される今後の展開は?

実は、 低ベータ50ETNは目下の市場環境に非常にマッチした商品です。

この商品については、昨日の記事ですでにふれていました。
「現金は神」ではない 「不安な時期」の資産配分の考え方
世界経済に先行き不安があり方向感がない環境で、株式ポートフォリオのリスクを減らすのに役立つ商品としてご紹介しました。

実はこの商品がおすすめな理由はこれだけではありません。
先ほどさらっとふれた、「日本株安・円高」のリスクを低減することができるポートフォリオであるという点に最大の価値があります。

最近の世界株式に不安をよんでいる最大の論点が、米国の金利動向です。
米国経済にさまざまな黄信号がともっていることに加えて、再選を狙うトランプ大統領の圧力があって、FRBはこの7月にも金利低下にかじを切るものと目されています。
米国金利が下がっていけば、為替はドル安円高にふれていきます。

そして、これまでの経済の歴史にかんがみると、金利低下と株価の大規模下落はたびたびタイミングをそろえて起こっています。
リーマンショックも、ITバブル崩壊もそうでした。
米国株式が大きく崩れれば、連動性の高い日本株式は当然に連れ安になります。


マネックス証券ウェブサイト「米国株の金利動向が示す将来の動き」より引用)
 
こうした懸念のある中で、NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETNを持つことは大きな意味があります。

この商品で株価下落に耐え、落ち切ったところを見計らってバリューポートフォリオに乗り換えることができれば、大きなリターンが見込めます。

そして、仮に乗り換えがうまくいかなかったとしても嘆きあわてる必要はありません。

「野村日本株低ベータ・セレクト50」指数は、バックテストではありますが、2001年~2019年の長期で市場平均を上回っていました。
長期保有になってもかまわないと、大きくかまえてゆったりとタイミングをとっていけば問題ありません。

まとめ

NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETNは、
 ①市場リスクへの感応度が低いこと
 ②為替への感応度が低いこと
 ③市場リスクを取り除いた後の各銘柄の株価リターンの散らばりが小さいこと
以上を兼ね備えた銘柄で構成される「野村日本株低ベータ・セレクト50」指数と連動することを保証された商品です。

約19年間のバックテストでは、TOPIXより低リスクで高リターンが得られています。
しかし、実は目下の市場環境に非常にマッチした商品です。
「日本株安・円高」のリスクを低減することができるポートフォリオであるという点に最大の価値があります。

最近の世界株式に不安をよんでいる最大の論点が、米国の金利動向です。
米国金利が下がっていけば、為替はドル安円高にふれていきます。

そして、これまでの経済の歴史にかんがみると、金利低下と株価の大規模下落はたびたびタイミングをそろえて起こっています。
リーマンショックも、ITバブル崩壊もそうでした。
米国株式が大きく崩れれば、連動性が高い日本株式は当然に連れ安になります。

こうした懸念のある中で、NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETNを持つことは大きな意味があります。

この商品で株価下落に耐え、落ち切ったところを見計らってバリューポートフォリオに乗り換えることができれば、大きなリターンが見込めます。
そして、仮に乗り換えがうまくいかなかったとしても長期保有で問題ありません。
非常に使い勝手の良い商品です。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

質問・感想お待ちしています! こちらからお願いします
LINE@に登録をお願いします。ブログの更新をお知らせします。直接ご連絡もしていただけます。
※感想やご質問は、今後の記事でご紹介させていただく場合があります。

★お金のこと、お仕事のこと、投資のこと、気軽にご相談にいらしてください。下の「ご相談メニュー」をご覧ください。
ごあいさつ
プロフィール
ご相談メニュー