投資で開ける未来もありますが、かといってあてにしすぎても将来困るかもしれません……というお話です。
いつもありがとうございます。
投資の「期待リターン」の決まり方
株式や債券などの投資にどれだけの収益(リターン)を期待してよいものか。
これは結構な難問です。
誰も未来のことを予言することはできません。
ただ、そう言っていてもらちが明かないので、資産の「期待リターン」を推定する方法は経済学やファイナンスの学術研究でさまざまに開発されてきました。
過去、長期間のデータを使う方法。
経済成長率・インフレ率・リスクに見合った報酬などを予想して足し合わせる方法。
過去のデータに経済・企業収益等の予想を加味して算出する方法。
いろいろありますが、結局はこれが一番正しいというものはありません。
結果、複数の大手機関投資家が投資を行う前提としている数値が公開されていく中で、なんとなくの数値に収れんしていきます。
株式の期待リターンが5~7%。
国債の期待リターンが1~2%。
大体こんなところです。
期待リターンと「妥当な期待リターン」の関係とは?
「株式の期待リターンを6%とし、毎月5万円を20年間積立投資すると、元本1200万円の積立金が2340万円になります」
と、こんな感じの説明をご覧になったことがあると思います。
これは、株式の期待リターンがそのままめでたく実現した場合の試算です。
まず第一に、未来のことなので期待リターンがそのまま実現するとは限りません。
株式や債券といった資産の価格は「上下動しながら、長期的には右肩上がりになる」という想定で僕たちは投資をします。
その上下動の幅を「リスク」といいます。
たとえば20年後の未来を想定する場合に、「1年ごとの価格の上下動の幅、つまりリスクが20年分積み上がっていく」というふうに考えてみます。
ひたすら上昇方向にリスクが積み上がり、大儲けする場合。
ひたすら下落方向にリスクが積み上がり、大損する場合。
この、大成功と大失敗の間に無数のシナリオが想定できます。
20年間の運用成果には大きなばらつきが起こりうることが想像できるかと思います。
期待リターンがプラスであっても、リスクがある以上、20年間の投資結果に幅をもたせて想定しないと「妥当な期待」にはならないということなのです。
投資結果の想定に幅をもたせ、結果を確率でとらえていく方法に「シミュレーション」があります。
期待リターンとリスク、資産間の相性(相関係数)を使って、ランダムに投資結果(シナリオ)を無数に生成することで、その結果を確率でとらえることができます。
モンテカルロ・シミュレーションという方法です。
期待リターン●%、リスク▲%の資産で■年間運用した場合、50%の確率でいくらになり、30%の確率でいくらになり、元本割れの確率が○%ある。
こんなふうに運用結果を想定することができるのです。
明治安田アセットマネジメントの「ロボアド」でシミュレーションしてみました!
明治安田アセットマネジメントが提供する「ファンドサーチ ロボアド&シミュレーション」では、さまざまな資産の期待リターン・リスクのデータが用意されています。
これを使って、複数の資産で組んだポートフォリオの運用成果をシミュレーションすることができます。
「リスク・リターン分析」の画面に飛び、「資産構成を入力」の右の項目で「想定値」を選びます。
続いて「一覧で入力」をクリックします。
すると、国内株式/海外株式/国内債券/海外債券/国内REIT/海外REITの6資産の割合(金額)を入力する画面が出ます。
入力し終わると、ポートフォリオの期待リターンとリスクが表示されます。
続いて「投資シミュレーション」に移り、前の画面で得られた金額、リターン(年率)、リスク(年率)を入力します。
投資期間は任意の数値を入力できますが、今回は20年にしておきます。
「計算」をクリックするとシミュレーション結果が表示されます。
シミュレーション結果の中では、「下位30%の場合」と「元本割れとなる可能性」を見ておくと、「妥当な期待」が持てます。
「下位30%」=おおかた、このくらいの期待は持てる。
「元本割れとなる可能性」=20年間の長期投資で最悪の結果がこの程度の確率で起こりうる。
この辺りの数値に納得して投資結果を見積もれば、将来設計をより現実的に行うことができるようになります。。
「妥当な期待」が実現できる資産配分を求めてみた!
ツールを使って、実際に「妥当な期待」が実現できる資産配分を求めてみました。
まず、このツールが前提とする各資産の期待リターンとリスクはこの通りです。
想定の根拠は明らかになっていませんが、株式・REITの期待リターンがよく見かける数値よりやや高めになっていることから、ここ10年程度の長期上昇相場から算出されたものではないかと思われます。
これが将来の期待をはかるのに妥当な期待リターンかどうかまでは確かめようがないので、先に進みましょう。
まず国内株式/海外株式の最適な配分を求めます。
下位30%リターンは、元本100万円を20年間運用した場合の想定運用結果です。
半々の割合が、下位30%リターン・元本割れ確率ともどももっとも優秀です。
続いて国内REIT/海外REITの最適な配分を求めます。
こちらも半々の割合が、下位30%リターン・元本割れ確率ともどももっとも優秀です。
株式とREITを合わせて、最適な配分を求めます。
株式30/REIT 70がもっとも優秀ですが、実運用では株式ファンドにすぐれた商品が多いので、微差の株式50/REIT 50のリターン・リスクを採用します。
続いて国内債券/海外債券の最適な配分を求めます。
債券はリスク低減のための資産と割り切り、元本割れ確率が最も低くなる国内債券80/海外債券20のリターン・リスクを採用します。
これまでの結果を総合したものが上の表です。
これをどう解釈すればよいのでしょうか?
20年にわたる長期投資の結果がマイナスになるのは耐え難いことです。
元本割れ確率を「ほぼ皆無」である1%以内に抑えつつ最良の結果を求めるなら
株式15/債券70/REIT 30
の配分になります。
この場合、「妥当な期待」つまり下位30%のリターンは、年率2.35%での運用となります。
元金0から毎月5万円を20年間積立運用していくと、元本1200万円が1545万円になるくらいが「元本割れしない運用に対する妥当な期待」であるということです。
あるいは、株式とREITだけで運用して最大リターンを狙っても、20年間の長期投資であれば元本割れ確率は3.4%程度です。
1000回のうち966回は元本割れしないのです。
この数値を容認するなら、
株式50/REIT 50の「妥当な期待」は年率4.75%での運用となります。
元金0から毎月5万円を20年間積立運用していくと、元本1200万円が2024万円になるくらいが「積極運用に対する妥当な期待」ということになります。
まとめ
株式や債券などの投資にどれだけのリターンを期待してよいものか。
これは結構な難問です。
株式の期待リターンを6%とし、毎月5万円を20年間積立投資すると、元本1200万円の積立金が2340万円になります。
と、こんな感じの説明をご覧になったことがあると思います。
これは、株式の期待リターンがそのままめでたく実現した場合の試算です。
株式や債券といった資産の価格は「上下動しながら、長期的には右肩上がりになる」という想定で僕たちは投資をします。
その上下動の幅を「リスク」といいます。
たとえば20年後の未来を想定する場合に、「1年ごとの価格の上下動の幅、つまりリスクが20年分積み上がっていく」というふうに考えてみます。
ひたすら上昇方向にリスクが積み上がり、大儲けする場合。
ひたすら下落方向にリスクが積み上がり、大損する場合。
期待リターンがプラスであっても、リスクがある以上、20年間の投資結果に幅をもたせて想定しないと「妥当な期待」にはならないということなのです。
明治安田アセットマネジメントが提供する「ファンドサーチ ロボアド&シミュレーション」では、さまざまな資産の期待リターン・リスクのデータが用意されています。
これを使って、複数の資産で組んだポートフォリオの運用成果をシミュレーションすることができます。
20年にわたる長期投資の結果がマイナスになるのは耐え難いことです。
元本割れ確率を「ほぼ皆無」である1%以内に抑えつつ最良の結果を求めるなら
株式15/債券70/REIT 30
の配分になります。
この場合、「妥当な期待」つまり下位30%のリターンは、年率2.35%での運用となります。
元金0から毎月5万円を20年間積立運用していくと、元本1200万円が1545万円になるくらいが「元本割れしない運用に対する妥当な期待」であるということです。
あるいは、株式とREITだけで運用して最大リターンを狙っても、20年間の長期投資であれば元本割れ確率は3.4%程度です。
1000回のうち966回は元本割れしないのです。
この数値を容認するなら、
株式50/REIT 50の「妥当な期待」は年率4.75%での運用となります。
元金0から毎月5万円を20年間積立運用していくと、元本1200万円が2024万円になるくらいが「積極運用に対する妥当な期待」ということになります。
将来の計画を立てる際にはぜひ、「妥当な想定」をしてみましょう!
人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!
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