命綱をしっかり締めて、人のいない水たまりへ飛び込め! というお話です。
いつもありがとうございます。

不確実な時期に投資することは、すべてが確実と思われるときに投資するより、ほぼ常に大きな利益が得られる



Investing In Uncertain Times…
米国の投資情報サイト“Seeking Alpha”に掲載された、バリュー投資アドバイザーによる記事です。

「不確実な時期に投資することは、すべてが確実と思われるときに投資するより、ほぼ常に大きな利益が得られる」

自前の投資を行っている方にはすっと腑に落ちるであろう表現です。
しかし、「不確実な時期とは?」「何に投資してもよいのか?」など、実際の投資にどう生かすかを考え出すと、なかなか深いものがあります。

記事の内容を吟味しつつ、「個人の兼業投資家」に活かせる示唆を引き出してみたいと思います。

人の行く裏に道あり「低リスク・高不確実性」

不確実な時期に投資することは、すべてが確実と思われるときに投資するより、ほぼ常に大きな利益が得られる。

筋道で理解するとこういうことです。

①投資家は、日常生活を送るほとんどの人と同じように、疑問や不確実性を好まない。だから、コストを払って疑問や不確実性を避けようとする。
②そのコストは、安心感を得るために皆が殺到している人気株式を高値掴みしたりすることで、のちに負うことになる。


著者ははっきり書いていませんが、一般の投資家が不確実性から逃避することによって、不確実な時期に投資する者が安く買えることになるので、大きな利益が得られるわけです。

そのうえで、著者は「不確実な時期に投資する」ことについて、別の書籍から引いた、2つの視点を組み合わせたアプローチで考えていきます。

それが「リスク」と「不確実性」です。

「リスク」と「不確実性」をうまく切り分けたうえで組み合わせた場合分けで考えれば、この2つの視点を混同する投資家の右往左往から利益を得ることができます。

高リスク・低不確実性
高リスク・高不確実性
低リスク・低不確実性
低リスク・高不確実性

このうち「低リスク・低不確実性」は皆が好む投資で、高値掴みになるので避けます。

そして、「低リスク・高不確実性」に集中すれば、勝つときは勝ち、負けてもそんなに損はしない!と著者は説いています。

なんだかぼんやりしていますが、それは記事の中に「リスク」と「不確実性」の意味が説明されていないからです。
わかりやすく解説していきます。

「不確実性」を極める

①「不確実性に投資しないコスト」とは?
不確実から逃避し安心感を得る投資家の行動として、著者は「人気株式に向かう」ことをあげています。

1970年代前半、米国株式市場で“Nifty-Fifty”という言葉が流行しました。
優良企業50銘柄をパッケージした呼び名で、これらの株を買っておけば一生安泰というふれこみでした。

しかし、ベトナム戦争を経た米国経済はスタグフレーション(成長なきインフレーション)に苦しみました。
市場平均をはるかに上回る評価まで買い上げられていたニフティフィフティ銘柄は、期待外れの汚名を着せられる羽目になったのです。

近年絶好調の米国株式も、その実は高成長のIT株式に引っ張られています。

リーマンショックの底である2009年3月6日を起点とした場合、S&P500インデックスファンドは5.41倍となっていますが、IT企業ETFのFDN(First Trust DJ Internet ETF)は11.5倍に成長しています。

FDNのPERは28.34倍で、市場平均の1.6倍にもなっています。
不確実性を避け安心感を得る、典型的な投資行動が見てとれます。
この勢いがいつまで続くのか……というところです。

そして日本における「安心は善・不確実は悪」ドグマを考えるにあたっては、まず銀行預金と、掛け捨てでない保険商品について取り上げる必要があります。

将来の安全を担保するお金の置き場として、銀行預金・保険商品は2大ポピュラー商品です。

銀行預金に生活費以上の大きな金額をおいておくことは、減らないという意味では究極の安心です。
ただし、これは「投資に回すことで増える可能性」を放棄するという、見えないコストを払ったうえで得られている安心感です。

保険も同じです。
元金保証の保険商品であれば、減ることはありませんが約束される利益はほんの少し。

保険会社は徴収した保険金を運用する大手機関投資家ですが、安全性重視の運用であることに加え、会社を運営するためのコストが大きいので、顧客に還元できる収益はほんのわずかになってしまいます。

銀行預金・保険商品を利用することは、「自前の投資で期待できる収益」をあきらめるというコストを支払っていることと同義なのです。

②「リスク」と「不確実性」の区別とは?
投資情報サイトに掲載された記事なので完全にはしょられていますが、この用語の使い方は「ナイトの不確実性」という経済学の重要な考え方を引っ張っています。

ケインズと同時期、20世紀前半に活躍した米国の経済学者フランク・ナイトは、「リスク」と「不確実性」の定義を峻別しました。

リスクとは確率を見積もれる事象。
不確実性は、発生確率が不明で計算できない事象。


わかりやすく言えば、原因やその影響の推測がつけられるものはリスクです。
起きるかどうかもわからない、影響も見積もれない災厄が不確実性ということになります。

たとえば、通常の景気循環はリスクです。
景気後退が企業収益に与える影響などもリスクに入ります。
正確性はおくとして、一応は確率や規模を計算して見積もることが可能です。

それが2008年~2009年の金融危機に至ると、その渦中での投資は「不確実性への投資」そのものになります。

いま世界経済がどのような状況にあるのか。
どのひもを引っ張ったらどのピースが動くのか。
それによってS&P500はどう動くのか。
「需要が消えた世界」がどうなっていくのか。

震えながら投資をした者が勝ったのです。

経済危機のほか、このような事象が不確実性にあたります。
・戦争、米中新冷戦
・新たなテクノロジーの席捲とその余波
・特定の企業や業界を変えうるルール・土壌の急激な変化

「低リスク・高不確実性」投資はこうやって行う!

「低リスク・高不確実性」に集中すれば、勝つときは勝ち、負けてもそんなに損はしない!と著者は説いていました。

このうち、不確実性については詳しく解説しました。
経済危機や戦争、米中新冷戦のさなかで皆が船から逃げ出しているときに、コツコツと投資を進めていけばよいわけです。

当ブログで案内している「CAPE」や「世界株式市場の温度表」を参考に、濃淡をつけて買い進めていくとさらにリターンの向上が見込めます。

もう一方の「低リスク」については、当ブログでかねてから紹介してきた「クオリティ株式」がそれにあたります。

収益の継続性や財務(借入が少ない)にすぐれる企業がクオリティ銘柄にあたります。
値動きは比較的マイルド(低リスク)で、長期の成績は市場平均を上回る現象が観察されてきました。

不確実性のきな臭さが漂う中で、十分に割安になったクオリティ株式に投資する商品を買い進めていけば、市場平均に比べ損失はある程度限定されながらも、長期では大きな収益が見込めます。

クオリティ投資についてはこれらの記事で詳しく紹介しました。
徹底攻略・新興国株式の長期投資 インデックス投資を超えて
徹底解析! SMT日本株配当貴族インデックス・オープンは「よい企業をお安く」投信業界のオーケーストア
長期で有利な等金額投資、はじめるならこの4本

これらの「配当貴族シリーズ」投資信託がおすすめです。
SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族
SMT欧州株配当貴族インデックス・オープン

まとめ

「不確実な時期に投資することは、すべてが確実と思われるときに投資するより、ほぼ常に大きな利益が得られる」
米国の投資情報サイトに寄稿された記事の一節です。

著者は、「リスク」と「不確実性」をうまく切り分けたうえで組み合わせた場合分けで考えれば、この2つの視点を混同する投資家の右往左往から利益を得ることができるといいます。

高リスク・低不確実性
高リスク・高不確実性
低リスク・低不確実性
低リスク・高不確実性

このうち「低リスク・低不確実性」は皆が好む投資で、高値掴みになるので避けます。

そして、「低リスク・高不確実性」に集中すれば、勝つときは勝ち、負けてもそんなに損はしない!と著者は説いています。

「リスク」と「不確実性」の峻別は、20世紀前半に活躍した米国の経済学者フランク・ナイトによるものです。
今日では「ナイトの不確実性」と呼びならわされています。

リスクとは確率を見積もれる事象。
不確実性は、発生確率が不明で計算できない事象。

わかりやすく言えば、原因やその影響の推測がつけられるものはリスクです。
起きるかどうかもわからない、影響も見積もれない災厄が不確実性ということになります。

2008年~2009年、金融危機の渦中での投資は「不確実性への投資」そのものでした。
震えながら投資をした者が勝ったのです。

今後も経済危機や戦争、米中新冷戦のさなかで皆が船から逃げ出しているときに、コツコツと投資を進めていけばよいわけです。
当ブログで案内している「CAPE」や「世界株式市場の温度表」を参考に、濃淡をつけて買い進めていくとさらにリターンの向上が見込めます。

もう一方の「低リスク」については、当ブログでかねてから紹介してきた「クオリティ株式」がそれにあたります。

クオリティ投資についてはこれらの記事で詳しく紹介しました。
徹底攻略・新興国株式の長期投資 インデックス投資を超えて
徹底解析! SMT日本株配当貴族インデックス・オープンは「よい企業をお安く」投信業界のオーケーストア
長期で有利な等金額投資、はじめるならこの4本

不確実性のきな臭さが漂う中で、十分に割安になったクオリティ株式に投資する商品を買い進めていけば、市場平均に比べ損失はある程度限定されながらも、長期では大きな収益が見込めます。

これらの「配当貴族シリーズ」投資信託がおすすめです。
SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族
SMT欧州株配当貴族インデックス・オープン

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

(参考文献)

質問・感想お待ちしています! こちらからお願いします
LINE@に登録をお願いします。ブログの更新をお知らせします。直接ご連絡もしていただけます。
※感想やご質問は、今後の記事でご紹介させていただく場合があります。

★お金のこと、お仕事のこと、投資のこと、気軽にご相談にいらしてください。下の「ご相談メニュー」をご覧ください。
ごあいさつ
プロフィール
ご相談メニュー