10年に1度の危機が臭ってきたら、この投資信託を思い出してほしい……というお話です。
いつもありがとうございます。

市場の動揺が続く時期に注目の投資信託



8月に入り世界の株式市場が動揺しています。
この先、本格的に景気後退を織り込みに行くのかが懸念されている状況です。

米国トランプ大統領の補佐官から、早急に0.75%~1%の利下げが必要との催促が聞かれました。
ただの株価対策なのか、それとも何か来たるべき恐ろしいものが見えているのか、中国関係で思い切ったことをやろうとしているのか……憶測は尽きません。

当ブログでは先月、不安定な時期の投資についての記事を2つアップしました。
「現金は神」ではない 「不安な時期」の資産配分の考え方
「低ボラティリティ投資」+「債券投資」の組み合わせで心おだやか~に高収益を狙う!

今回は後者、「低ボラティリティ投資」+「債券投資」の組み合わせで注目すべき投資信託をご紹介します。

低ボラティリテETF+為替フルヘッジ=低リスク

全世界低ボラティリティ株式ポートフォリオ50%と、全世界債券ポートフォリオ50%を組み合わせたうえで為替をフルヘッジ。

株式を50%含み、リターンを求めつつリスクをできるだけ取り除いた投資信託が国内ネット証券で取り扱い開始となりました。

Yjamライト!
アストマックス投信が提供する投資信託です。

米国上場のETFである“iShares Edge MSCI Min Vol Global ETF(ACWV)”“Vanguard Total Bond Market ETF (BND)”“Vanguard Total International Bond ETF (BNDX)”に投資します。
信託報酬は0.67%、経費率は年率換算で0.81%と非常に低い水準です。

時価総額比例ETFで為替ヘッジなしのライバル商品「楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)」の信託報酬が0.25%、経費率が0.57%なので、年間の総経費でもわずか0.24%の差です。

低ボラティリティETFに投資できること、為替フルヘッジであることを勘案すれば非常に優秀な商品といえます。

続いて実際の商品性を深掘りしていきます。

長期での為替ヘッジの影響は?

①金利がすり減っていく世界で
この商品はまだ運用開始から間がないので、過去の成績をライバル商品と比較することはできません。

そこで、商品性の評価を
①為替ヘッジの影響
②低ボラティリティETFの影響
に分けて検討していきます。

2001年10月17日に運用開始となった長寿インデックスファンドシリーズがあります。

日本以外先進国株式・日本以外先進国債券のインデックスファンドで、それぞれ為替ヘッジあり・なしが用意されています。
この4ファンドの成績から為替ヘッジの影響を考えます。



このような傾向が見てとれます。

①リターンはヘッジなしのほうが優位。
②リスクはヘッジありのほうが優位。
③リスク比リターン(シャープレシオ)ではヘッジありが優位。


ヘッジあり・なしでそれぞれ株式と債券を50%ずつ組み合わせて、20年・10年・5年の運用シミュレーションを行いました。
算出には「ファンドの海」さんのアセットアロケーション分析を利用させていただきました。



長期持ちきりの運用成績では、圧倒的にヘッジなしに分があります。
リスクが低いことが売りになるはずのヘッジありは、5年での元本割れ確率すらヘッジありに負けてしまうようです。

Yjamライト!はフルヘッジの商品です。
今回の検討からは、なるべく不穏な時期に限って用いるのがよい商品といえます。
長期投資ではヘッジなしのファンドに負ける可能性が高くなります。


蛇足ですが……
表を眺めた印象では、債券はヘッジありにするとリターンも大きく減ってしまっていますが、株式をヘッジありにしてもリスクの減少のわりにリターンの減少は大きくありません。

株式のみヘッジありとし、債券はヘッジなしの組み合わせが運用効率はもっともよくなりそうな印象です。

低ボラティリティの影響を徹底検証!

Yjamライト!が投資している“iShares Edge MSCI Min Vol Global ETF(ACWV)”は、2011年10月18日より提供が開始され、運用資産は約5000億円に及びます。

連動する指数はMSCI ACWI MINIMUM VOLATILITY (USD) INDEXです。
以降「最小分散インデックス」と表記します。
先進国・新興国問わず世界49か国の株式市場に上場されている大・中型株から、ボラティリティが最も少なくなる組み合わせになるよう構成されています。

最小分散インデックスはETFの提供以前、2005年から算出されているので、全世界株式市場平均インデックスとの比較を通じて、特徴を検討していきます。

①リターン・リスクの特徴


最大の特徴として、最小分散インデックスは市場平均を年率リターンで2.74%上回りました。
かなりのハイペースです。

ただしETFが組成されて以降、2012年~2018年の7年間の成績は最小分散9.01%・市場平均8.38%となり、差は0.63%に縮まりました。

運用商品組成後に市場平均との差が少なくなるのは、あらゆるファクターETFの宿命ともいえます。

実際、株式市場が不安定さをはらんでいる現況において、最小分散のPERは21.58倍・市場平均のPERは16.99倍です。
最小分散がかなり買われ、割高になっていることがわかります。

引き続き最小分散がリターンの面で市場平均を上回っていくかどうかは不透明です。
リスクコントロールの面ではうたい文句の通り、最小分散は優秀です。

②タイミングを見極めた乗り換えが必要?
本来、この商品の特性を最も生かすには、下落相場の直前で購入・底で市場平均またはバリューETF等に買い替えるのがベストです。
しかし、神のようにタイミングを取ることはだれにもできません。

そこで、当ETFが欲しくなるような「ビビり」の投資家を想定したシミュレーションを行いました。
きな臭くなった時期に最小分散を購入し、最大下落地点を過ぎても恐怖にとらわれ乗り換えられない、のろまな投資家の挙動を想定しています。

2005年~2018年にかけて、市場平均がマイナスになった4年につき、その前後1年を含む3年の成績を比較しました。
ACWIが市場平均、MINが最小分散です。



過去4回のマイナスイベントのいずれも、最小分散のほうが良い成績を収めました。
きな臭くなったら気軽に乗り換え、安心できるまでぐずぐず持っておいたとしても、市場平均には勝っています。

かなり使いやすいと感じられたのではないでしょうか?
Yjamライト!の商品性の核はここにあります。

まとめ

投資信託「Yjamライト!」が国内ネット証券で取り扱い開始となりました。

全世界低ボラティリティ株式ポートフォリオ50%と、全世界債券ポートフォリオ50%を組み合わせたうえで為替をフルヘッジ。
株式を50%含みリターンを求めつつ、リスクをできるだけ取り除いています。

信託報酬は0.67%、経費率は年率換算で0.81%と非常に低い水準です。

為替フルヘッジの影響を既存の投資信託を使って検討したところ、

①リターンはヘッジなしのほうが優位。
②リスクはヘッジありのほうが優位。
③リスク比リターン(シャープレシオ)ではヘッジありが優位。

でした。

この結果、長期持ちきりの運用成績では圧倒的にヘッジなしに分があります。
Yjamライト!はなるべく不穏な時期に限って用いるのがよい商品ということがわかりました。

Yjamライト!の株式部門である“iShares Edge MSCI Min Vol Global ETF(ACWV)”は、年率リターンでは市場平均ETFを0.63%ほど上回っています。

ただし近年の不安定な株式市場において、最小分散ETFはかなり買われ、割高になっています。
引き続き最小分散がリターンの面で市場平均を上回っていくかどうかは不透明です。
リスクコントロールの面ではうたい文句の通り、最小分散は優秀です。

低ボラティリティという特性を生かすにはタイミングを取って乗り換えることが必要ですが、実際には多少「ビビり」な投資家にも役立ちます。

過去のシミュレーションでは、きな臭くなったら気軽に乗り換え、安心できるまでぐずぐず持っておいても、市場平均の持ち切りには勝っていました。

できる限りマイナスの可能性を排除しつつ、株式のリターンはそれなりに享受したいという投資家に、Yjamライト!はおすすめの商品です。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

質問・感想お待ちしています! こちらからお願いします
LINE@に登録をお願いします。ブログの更新をお知らせします。直接ご連絡もしていただけます。
※感想やご質問は、今後の記事でご紹介させていただく場合があります。

★お金のこと、お仕事のこと、投資のこと、気軽にご相談にいらしてください。下の「ご相談メニュー」をご覧ください。
ごあいさつ
プロフィール
ご相談メニュー