「よい企業を永久保有することが好き」というバフェットイズムを実際にやってみるには……というお話です。
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少数の株式銘柄を購入し、10年間一切売り買いせず配当を再投資し続ける投資法

いまをさかのぼること35年、米国の権威ある投資学会誌“The Journal of Portfolio Management”に「コーヒー缶ポートフォリオ」というタイトルのエッセイが掲載されました。

The Coffee Can portfolio
「受動的にアクティブ運用を行う方が、アクティブに受動的(インデックス)運用を行うよりずっと儲けられる」という副題がついています。

この奇妙な副題つきのエッセイは、近年でも折にふれて参照され、投資エキスパートの関心を惹きつけています。
The Coffee Can Portfolio(NASDAQウェブサイト)
The Delicate Art Of Balancing Diversification And Concentration(投資情報サイトSeeking Alpha)

何でも、少数の株式銘柄を購入し、10年間一切売り買いせず配当を再投資し続けるという投資法だというのです。
これだけのことが、「投資法」に値するのでしょうか?

運用するな、売買するな

むかしむかし、米国では貴重品をコーヒー缶に入れ、固く封をして物置に隠し数十年も保管することがあったといいます。
日本でも長持ちやつづらを用いて同じようなことをしていました。

この方法に倣い、「厳選に厳選を重ねた株を買って、コーヒー缶に入れたと思って10年間放置し続ける」手法がコーヒー缶ポートフォリオです。
“Buy and Forget”とよばれることもあります。

「売り買いをしない」という意味でインデックスファンドのバイアンドホールドと同様に受動的であり、「銘柄を厳選する」という意味でアクティブである、というのがエッセイの副題の意味です。

コーヒー缶ポートフォリオの核となる主張は以下の2点です。

①運用・売買執行コストを限りなく少なくする。
②リバランスによって伸びる株の芽を摘んでしまわないようにする。

 

①運用・売買執行コストを限りなく少なくする
アクティブファンドでは、マネージャーのリサーチフィーと売買執行コストがかかります。
年間2~2.5%程度が運用資産から抜き取られていきます。

このコストが高収益に貢献しているかというと、大半のアクティブファンドがインデックスファンドに勝てていないという事実があります。
その中には、仮に運用コストが同等であればインデックスファンドに勝てているものも多いのです。

そこで、投資家が自前でポートフォリオを構築してなにもせず保有すれば、信託報酬・売買執行コストを回避できその分も複利を働かせられるというのが、コーヒー缶ポートフォリオのアクティブファンドに対する優越性である。
かようにエッセイは説きます。

エッセイの著者は、米国の大手運用会社キャピタルのファンドマネージャーです。
インサイダーからの「告発」であり、信ぴょう性が高まります。

②リバランスによって伸びる株の芽を摘んでしまわないようにする
将来の成長が期待される革新的な企業に投資する場合は、6か月後より、たとえば5年後という長期間のほうが投資判断を確実に行うことができる。

エッセイにあるこの考え方にのっとれば、長期絶対保有を前提とすれば銘柄を厳選することで勝ち目が出てくるということになります。

この場合、定期的にリバランスや売り買いを行っていては、大きく伸びる企業の芽を事前に摘んでしまうことになりかねません。

加えて、僕らは「大きな富を作るには『集中』しなければならない」ということをウォーレン・バフェットから学ぶことができます。

適切な調査とアップサイド・ダウンサイドのリスクを明確に理解できているなら、集中投資は必ずしも無謀ではないとバフェットは説きます。

異常なリターンは限りなく分散の利いたインデックスからは生まれない。
異常なリターンは異常なポートフォリオから生まれる。

コーヒー缶ポートフォリオは、「勝つ企業に厳選投資し信じ続ける」という、まさに受動的でありながらアクティブな手法ということになります。

「1回限りのアクティブな決断」が一番の問題

しかしながら、コーヒー缶ポートフォリオには未解決の大きな問題があります。

受動的にアクティブ運用を行う方が、アクティブに受動的(インデックス)運用を行うよりずっと儲けられる。

この、最初に決断する必要がある「アクティブ運用」を自分でやる方法がエッセイには書いていないのです。
投資アドバイザーにお金を払ってポートフォリオを組んでもらうという話になっています。

エッセイの掲載誌が研究者や実務家、機関投資家に読まれるものなので、自分で投資判断を行う個人投資家は想定されていなかったようです。

逆に言うと、それぞれが自分の判断で保有する銘柄を好きに決めればよいわけですが、こう書いている僕自身、個別銘柄の分析をやりたくないから投資信託・ETF投資に特化しているわけです。

そこで、銘柄選別の枠組みを既存の有力なファンドに頼ってみたいと思います。
頼りにできるファンドをピックアップします。

①One ETF 高配当日本株(1494)
TOPIXの構成銘柄のうち、10年以上にわたり毎年増配しているか、または安定した配当を維持している銘柄をピックアップする「S&P/JPX配当貴族指数」に連動するETFです。

安定配当を長年維持できる、質の高い経営が行われている企業の集まりです。
銘柄は「決算適時開示情報」から確認することができます。

この中から試しに、さらに①米国上場のクオリティETFであるIQLT, IQDF, IDHQのいずれかにも含まれている、②自己資本比率50%以上、③ROEの3条件を用いて、特に安全性と経営の質が高い5銘柄を抽出してみます。



②Van Eck Morningstar Wide Moat Focus ETF
日本でもおなじみの米国株式/ファンド情報サイト・モーニングスターのリサーチチームが算出する“Morningstar Global ex-US Moat Focus Index”に連動するETFです。

米国外企業のうち、「堀」(参入障壁)に守られ、継続的に競争力を持っていると評価された企業をピックアップしています。
「堀」という概念はウォーレン・バフェットが提唱したことで知られます。

この中から試しに、さらに①自己資本比率50%以上、②ROEの2条件を用いて、特に安全性と経営の質が高い5銘柄を抽出してみます。



③東証2部上場企業
東証2部指数は、TOPIXや日経平均に比べて長期でかなりの好成績をあげています。
以前に詳しく検討し記事をアップしました。
東証2部市場でのんびりガッツリ儲けよう!

自己資本比率や配当の有無・ROE等の指標を用いて、東証2部の中でも特に優良な企業をピックアップすることができます。

東証2部からは10銘柄を抽出し、計20銘柄からなるコーヒー缶ポートフォリオを、相場下落の機をとらえて開始する予定です。

まとめ

いまをさかのぼること35年、米国の権威ある投資学会誌“The Journal of Portfolio Management”に「コーヒー缶ポートフォリオ」というタイトルのエッセイが掲載されました。
「受動的にアクティブ運用を行う方が、アクティブに受動的(インデックス)運用を行うよりずっと儲けられる」という副題がついています。

少数の株式銘柄を購入し、10年間一切売り買いせず配当を再投資し続けるという投資法が、異常なリターンを生み出すというのです。

「売り買いをしない」という意味でインデックスファンドのバイアンドホールドと同様に受動的であり、「銘柄を厳選する」という意味でアクティブである、というのがエッセイの副題の意味です。

コーヒー缶ポートフォリオの核となる主張は以下の2点です。

①運用・売買執行コストを限りなく少なくする。
②リバランスによって伸びる株の芽を摘んでしまわないようにする。


異常なリターンは限りなく分散の利いたインデックスからは生まれない。
異常なリターンは異常なポートフォリオから生まれる。

コーヒー缶ポートフォリオは、「勝つ企業に厳選投資し信じ続ける」という、まさに受動的でありながらアクティブな手法ということになります。

銘柄選別の方法はエッセイには書いていないので、既存の有力なファンドに頼ってみたいと思います。

①One ETF 高配当日本株(1494)
②Van Eck Morningstar Wide Moat Focus ETF
③東証2部上場企業


これらの魅力的なファンドや市場から、財務や経営の質に優れた企業を少数選び抜き長期保有することで、「異常なポートフォリオから生まれる異常なリターン」の実現に近づくことができます。

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