男だけが面白がる「ダークナイト」もクリスチャン・ベールだったなぁ……「世紀の空売り」もそうだろうなぁ……。
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「世紀の空売り」サブプライムバブル崩壊から巨額の利益を上げたマイケル・バリー

‘Big Short’ investor Michael Burry predicted the housing crisis. Now he’s calling passive investment a ‘bubble.’

米国の投資家のマイケル・バリーは、2008年のサブプライムバブル崩壊の前に、住宅ローン証券を空売りし巨額の利益を得たことで有名になりました。

「ライアーズ・ポーカー」などで知られる作家マイケル・ルイスのベストセラー本「世紀の空売り」で大きく取り上げられ、映画化された折には彼の役をクリスチャン・ベールが務めました。

サブプライムバブルの破裂を確信した売りポジションを取ってから、なかなか目論見が現実化せず、含み損が積み上がっていく過酷な現実。

その渦中で苦悩するクリスチャン・ベールの姿は、青年期の苦悩にも似た、正義と欲望のはざまで引き裂かれんとする自我を克明に映し出していました。
しかし、彼は勝ったのです。

そのマイケル・バリーが、全世界的にシェアを増大させ続けるインデックス投資に警鐘を鳴らしています。
彼の主張を要約すると2点。

①ETFやインデックス投信は大企業に集中しており、世界の小型株式は顧みられていない
②小型株式分野で積極的なマネージャーが少ないので、投資に値する妙味がある


納得できる点と、そうでない点が混在しているような……
考えていきます。

インデックス投資が「バブル」?

記事の中には「バブル」の定義が書いてありませんが、インデックス投信によって世界の大型株式全体がバブル化しているとまで言えるかどうかは疑問符が付きます。


Research AffiliatesのウェブサイトからCAPEの数値を引用しました。
()内の数値は過去のCAPEの中央値です。
()内の数値より低ければ、現状は少なくとも割高ではないといえます。

現状では、米国以外先進国・新興国は現状が中央値を下回っているので、バブルとはとうていいえません。
米国はバブルがおこっているといえるかどうか、微妙なところです。

マイケル・バリーは年季の入ったバリュー投資家なので、「評価や意思表示を帯びない資金」が増え続けることに我慢がならないのだろう……と思わせる節があります。
やつ当たり感があります。

小型バリュー株に妙味あり?

マイケル・バリーがかつて運営していたScion Capitalは、2000年~2008年の間に489.34%の純利益を記録しました。
同時期のS&P 500が約3%の収益にすぎなかったのと比較すると、驚異的な成績です。

彼はベンジャミン・グレアム流バリュー投資の真剣な信者であり、過去に「私の株式銘柄選別は、すべてグレアムの『安全域』の概念に基づいている」と述べています。

常に安全を確保して投資する。
ファンダメンタル分析を行う。
地味で目立たない産業の過小評価された素晴らしい株に注目する。
ポートフォリオを慎重に管理する。

このような投資スタイルだからこそ、インデックス投資の普及によって「評価や意思表示を帯びない資金」が増え続けることに我慢がならないのだろうと思わされます。

それを逆手にとってのことか、彼は「小型バリュー株投資に妙味あり」として、米国・韓国の小型株3社に大きく賭けようとしているといいます。

彼の主張を検証していきます。
サブプライムバブルが破裂してから現在までの、米国の大型株・小型株のチャートを描いてみました。
青がS&P500、オレンジが米国小型株指数のラッセル2000です。


大型株がバブっているなら青線が天上に舞い上がっているはずなのですがまったくそんなことはありません。
評価指標を確認します。


リアルタイムの評価指標を見るとさほどの過熱感はないのですが、CAPEの値はかなりすっ飛んでいました。

米国小型株のCAPE 54.1の姿が、現状の指標ではこのように特に過熱感なく表されるのだとすれば、指標上の少々の割引は見て取れるものの、小型バリュー株もまだ手を出しにくい感がぬぐえません。


米国以外先進株の評価です。
日本では「米国以外先進国小型バリュー株」に投資できる低コスト投資商品がないので、WisdomTreeの欧州小型株ETF(DFE)、日本小型株ETF(DFJ)を参照しました。

金利もセクター分布も異なるので雑駁な比較となりますが、大型株も小型株も、米国以外先進国は米国に比べかなりの割安です。

インデックス投資がバブらせているとは到底言えない姿ですが、小型バリュー株の投資妙味は見てとれます。

DEF, DFJとも非常に魅力的な水準です。
ただしそれは単にバリュー株が人気がなく、いつプライシングの見直しが入るかもわからないという雰囲気が織り込まれているからとも言えます。

個人的にはこつこつ拾っていってもよいと思える水準です。


新興国の評価です。
インデックス投資がバブらせているとは到底言えず、投資妙味のある水準であることが一目瞭然です。

特にPEGレシオの低さが目につきます。
昨年来、リスクオフの雰囲気がどうにも払しょくされない中で、成長が見込まれる新興国にすら資金を投入できない市場のもどかしさが表れているかのようです。

日本で投資する場合、海外株式はインデックス投資に勝てるアクティブ投資信託がほとんどありません。
このことは以前記事にしました。
海外株式インデックスはほぼ常勝、それでも凌駕する方法とは?

なので、小型バリュー株(配当株)に特化した海外ETF(DFE, DGSなど)を利用して行いましょう。
国内の小型バリュー株投資については、スパークス等の投資信託を利用したり、自分でスクリーニングしてミニ株投資を行ってもよいと思います。

まとめ

サブプライムバブル崩壊に際しての大きな賭けに勝ったことで知られる著名バリュー投資家・マイケル・バリーが、インデックス投資の普及で世界の株式市場がバブル化しているという警鐘を鳴らしています。

インデックス投資によって大型株の高騰が進み、小型株が置き去りにされているというのです。

評価指標で確認する限りは、インデックスによるバブルが生じている場所は確認できませんでした。
米国がその匂い程度はありますが、米国以外先進国・新興国ではその片鱗もありません。

一方、小型バリュー株に妙味ありという主張はうなずけるものがあります。
欧州・日本・新興国の小型バリュー株は格安領域にあります。

いまからコツコツ拾うもよし、米国株式の崩落のあり/なしを確信した時点で大きく買いに入るもよしというところです。

(参考文献)
Scion asset management – What are they investing in Right Now?

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