今年の6月、当ブログで「あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンド(愛称・てつさん)」という投資信託を詳しく紹介しました。
新興国を含む世界中の株式約9,600銘柄に分散投資する低コスト投資信託です。

「投資を科学するファンド」が市場平均に「世代交代」を迫る あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンド

クロウトならだれでも知ってる、あの「究極の長期投資ファンド」を自作しよう!

小型・割安・収益性という3つのファクターを勘案して保有する株式の割合を決める商品で、長期でバンガードやeMAXIS Slimシリーズに代表される市場平均ファンドの運用成績を超える期待を込めて紹介しました。

それから2カ月ほどたったある日、あおぞら投信株式会社のクライアントサービス部長を名乗る方から連絡が入りました。
僕に会いたいというのです。

もちろん期待を込めて記事を作成したものの、
・楽天・全世界株式インデックス・ファンドとのコスト差
・バンガードの全世界株式ETFに運用成績で負けている
という点を指摘していたため、どう思ってるんかな……と思いつつおそるおそる了承。

そして迎えた当日、大久保クライアントサービス部長は、なんと取締役会長様をお連れになっていたのでした。

ディメンショナル「預かり資産63兆円」の衝撃



あおぞら投信株式会社取締役会長・柳谷俊郎氏については、あおぞら投信のウェブサイトで動いている姿を見ることができます。
個人資産運用の新潮流 資産運用会社の哲学

あおぞら投信株式会社(以下「あおぞら投信」)はその名の通り、あおぞら銀行系列の運用会社です。

かつて、長期資金を専門的に企業に融通する「長期信用銀行」の一角をなしていた日本債券信用銀行が1998年に商号変更し、あおぞら銀行となりました。

柳谷さんは日本債券信用銀行で内外債券市場業務に長年従事し、続いて投資信託の企画・開発を経験したのち、2014年にあおぞら投信を設立しました。

来訪の目的をうかがったところ、まず僕がなぜ「てつさん」に目を付けたのか、という点をお知りになりたい様子でした。
ここで僕が「てつさん」を知るに至った経路を整理しておきます。

①株式市場研究の最先端とリテール商品の架け橋「ディメンショナル」
投資信託を通じて投資に関心を持ち、自分なりに理解を深めようとすると必ず手に取ることになるのが「ウォール街のランダム・ウォーカー」「敗者のゲーム」といったインデックス投資の教則本です。

現代ポートフォリオ理論、効率的市場仮説、CAPMといった投資の基礎理論は、その考え方は僕のような文系でも飲み込みやすいもの。
納得して、いわゆる市場平均のインデックス投信なりバンガードのETFなりをコツコツと買い付けていけば相応の、かつ合理的な運用成果が得られます。

ここで株式投資という営為そのものに興味がわいた方の中には、ウォーレン・バフェットやベンジャミン・グレアムといったグル(導師)の投資法を研究し、バリュー投資を追求する方も多くいます。

その方向で僕の関心を最も惹きつけたのが、米国の株式市場研究者ジェレミー・シーゲルによる書籍「株式投資(Stocks For the Long Run)」「株式投資の未来」でした。

株式市場を実証研究した結果、市場平均を上回る方法が存在する。
実証研究として発表されているということは、やり方が定義・公開されているということ。
そして誰がやっても同じ結果が出る、再現性があるということ。
これは、科学です。

バフェットやグレアムが多大な労力とアートを用いて実現してきたすばらしい運用成果を、科学の成果で労せず実現できる可能性があるわけです。

このような学術研究最先端の成果を実運用に活かす運用会社が、「てつさん」の運用を担当している「ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズ」なのです。

②「ディメンショナル」は何をしているのか?
英語の“dimensional”は「〇次元の」という意味の形容詞です。
たとえば“three-dimensional picture”で三次元の、つまり「立体映画」という意味になります。

株式のリターンを構成する要素をもっとも単純にとらえるなら、
・無リスク資産のリターン+リスクプレミアム
という分解になります。

この株式の「リスクプレミアム」を、複数のリスク要素に分解して書き表した経済学者のユージン・ファマは、当研究の実績でノーベル経済学賞を受賞しています。

ユージン・ファマはディメンショナルで要職を務めています。
ディメンショナルはまさに、彼の唱導により「市場ポートフォリオ」に「時価総額」と「割安度」のファクターを反映させるモデルからスタートしたのです。

ディメンショナルにはユージン・ファマのほかにも3人のノーベル経済学者が関わっており、看板ファンドにはさらに、収益性という次元(ディメンション)が追加されました。

最新の株式市場研究を常に反映させ、一般投資家に向けて低コストで提供するディメンショナルは、その取り組みが支持され、現在約63兆円に上る預かり資産額を誇ります。

ディメンショナルのファンドに日本の投資家がアクセスするもっとも低コストな方法が、「あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンド(愛称・てつさん)」なのです。

「てつさん」について会長に聞いてみたら……?

せっかくの来訪にあたり、僕のほうでも質問を用意していました。
真っ先にうかがったのは「てつさん」について。
いじわるな質問をぶつけてみました。

当然、てつさんを有望な商品と考えブログで紹介したのですが、そうはいってもディメンショナルのファンドはバンガードのETFに負けている現状です。

これを個人投資家に飲み込みやすい形で説明するには、割安株(バリュー)が弱かった時期だから……という、なんというか、ある意味責任回避に聞こえるような言い方になってしまうのでしょうか?

やはりそこから来ましたか……とばかりに口の端をゆるめ、薄く笑みを浮かべた柳谷さん。

「そういう面は当然ありますが、それでは『バリューはいつ戻るの?』という話になります。これでは説明したことにならない。ディメンショナルも我々も、そういうレベルの話でとらえてはいないのです……」

クオンツではない。フューチャーバリュー。潮流の変化。アウフヘーベン。
長く、しかし明解な「バリューをめぐる旅」が始まろうとしていました。
次回に続きます。

※今回の来訪に関して、一切の金銭や便宜の供与はありません。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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