湾岸タワマンを筆頭に、東京都心の不動産はそろそろ高くなりすぎている……なんて、米国に比べれば屁でもなかったというお話です。
いつもありがとうございます。

米国REITも米国株式と同様、相当な割高になっている!

当ブログでは、米国の大手投資顧問会社・Research Affiliatesが発表するCAPEと期待リターンの数値を毎月追いかけています。
今月もすでに記事にしました。
世界各国CAPEチェック 2019.8.31

これまでは株式の評価・期待リターンだけを取り上げていましたが、債券や商品、ヘッジファンドなどの期待リターンも毎月更新されています。
その中に、米国REITも含まれていることに先日気がつきました。

米国REITも米国株式と同様、相当な割高評価となっていました。


対応を検討していきます。

そもそもREITは兼業個人投資家のポートフォリオに必要なのか?

REITは市場規模は株式に比べると小さいものの、投資家に対しては株式と同等、もしくはそれ以上のリターンをもたらしてきました。

しかもその値動きは株式と同じではないので、株式のリターンを損なわずリスクは下げられる、分散投資先として非常に価値のある資産です。


過去10年のインデックス投資信託の運用成績をまとめました。
J-REIT・先進国REITともどもリターンは株式を上回り、リスクはほぼ同等です。


※QUICK資産運用研究所より引用
2009~2018年にかけての各資産間の相関係数です。
相関係数が低いほうが値動きに差があるので、組み合わせて保有すれば値動きの波と波が打ち消し合ってリスクが下がります。
株式ポートフォリオにREITを加えると、有効にリスクを下げられることがわかります。

問題は、今この時点で、割高な米国REITを組み入れる必要があるのか?ということです。
くわしく見ていきます。

米国REITはいかに割高なのか

①10年間・年率21%成長を経ての過熱状態

リーマンショック時の底から現在までのチャートです。
青:米国株式、黄緑:全世界株式、橙:米国REITを示しています。

この10年強、米国人が全世界株式に投資していれば資産は3.8倍になっていました。
年率約13.6%の運用ですからめったに望めない好成績です。

しかし米国株式に投資していれば5.4倍で年率約17.4%。
米国REITにいたってはなんと約6.9倍、年率約20%という結果でした。

この調子で運用が続けられれば大金持ちになるのも決して夢ではありません。
ただし、そうは問屋が卸してくれないようです。

Research Affiliatesでは現在、今後10年の米国REITの期待リターンを年率1.3%と見込んでいます。
過熱が取りざたされている米国株式とほぼ同等の低水準です。


評価の内訳です。
配当利回り~市場の期待変化を足し合わせたものを期待リターンとしています。

米国REITは、家賃収入をほぼそのまま投資家に支払うため配当利回りは高いものの、物価上昇以上の実質的なキャッシュフローの成長は見込めず、現在が過熱状態のため市場の期待は毎年2.4%ずつ下がっていくという予想です。

Research Affiliatesの予測を信じるなら、米国REITの過熱状態が収まるまで今後の追加投資は行わない方がよいことになります。

ここで問題は、米国REITはいわゆる「先進国リート」「グローバルリート」投資信託にも多く含まれていることです。

②国内投資信託にも米国REITを大量に保有している

「先進国リート」「グローバルリート」インデックスファンドのポートフォリオの一例です。
いずれのファンドも同じ「S&P先進国REITインデックス(除く日本)」に連動しているので、ポートフォリオは大差ありません。

「先進国」「グローバル」といいながら、米国REITが7割以上を占めています。
米国REITが崩壊すれば真っ逆さまです。


「S&Pグローバルリートインデックス(除く日本)」に連動するインデックスファンドのポートフォリオです。
新興国REITもカバーしていますが、それでも米国REITの比率は7割超えです。


運用資産4700億円を超える、毎月分配で人気のアクティブグローバルリートファンドです。
日本を含む分割合が減っていますが、それでも67%が米国REITです。

数兆円におよぶ、国内個人投資家がリートファンドに投入した資金のうち約7割が低成長にあえぐ未来が見えてきます。
事前に手を打っておきたいところです。

米国REITからの逃走論

以前、過熱状態の米国株式からいかに逃げるか?という記事をアップしました。
どこかで非常ベルが鳴っている 米国株式からの逃避手段

基本的には、この記事で紹介した方法と考え方は同じです。
米国以外の国に投資する商品に振り替えて、米国REITを薄めることになります。

①投資信託
保有している「先進国リート」「グローバルリート」ファンドを一部売却して、他国のREITファンドに振り替えます。

eMAXIS 欧州リートインデックス
eMAXIS 豪州リートインデックス
eMAXIS 新興国株式インデックス
欧州・新興国のREITは米国に比べるとはるかに割安です。

②ETF
国内ネット証券で、米国以外先進国のREITにまとめて投資できる海外ETF
iシェアーズ 先進国(除く米国)不動産 ETF(IFGL)
が購入できます。


米国のREIT ETFの代表格であるVNQとIFGLの比較です。
配当利回り以外は、数値が小さいほうが割安です。
※本来REITの評価にはPER, PBRといった指標は使われません(FFO倍率、NAV倍率を使う)が、ここでは米国モーニングスターの評価指標をそのまま使用します。

日本や欧州、豪州といった先進国と米国の間で、不動産収益をベースにする「大家さん専業会社」の評価がここまで乖離するというのも……

配当利回りはIFGLのほうが0.4%高く、収益成長の見込みは米国が0.4%高い(5.9%)という程度で、ここまでの評価の乖離を正当化する根拠に乏しい感があります。

改めて、一目で米国REITが圧倒的に割高になっていることがわかります。
現在割高というだけでなく、将来の収益成長を見込んだPEGレシオでも大きな差がつきました。


これからの米国REIT買いはちょっとないな……とイヤでも思わされます。

まとめ

REITは市場規模は株式に比べると小さいものの、投資家に対しては株式と同等、もしくはそれ以上のリターンをもたらしてきました。

しかもその値動きは株式と同じではないので、株式のリターンを損なわずリスクは下げられる、分散先として非常に価値のある資産です。

しかしながら、現在の米国REITは米国株式と同様に、極度の過熱状態にあることがわかりました。
米国の大手投資顧問会社Research Affliatesの予測によれば、今後10年で米国REITの期待リターンは1.3%にとどまります。



米国REIT ETF(VNQ)と米国以外先進国REIT ETF(IFGL)の評価指標を比較すると、米国REITの割高ぶりは一層際立ちます。



日本国内で販売されている「先進国リート」「グローバルリート」ファンドの総資産のうち、約7割が米国REITに投資されています。
数兆円におよぶ、国内個人投資家がリートファンドに投入した資金のうち約7割が低成長にあえぐ未来が見えています。

・低コストの欧州/豪州/新興国REITファンドに振り替える。
・米国以外先進国のREITにまとめて投資できる海外ETF「iシェアーズ 先進国(除く米国)不動産 ETF(IFGL)」に振り替える。
といった方法で、米国REITを減らすことができます。

リスクを抑えて、心静かに投資を続けていきましょう!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

質問・感想お待ちしています! こちらからお願いします
LINE@に登録をお願いします。ブログの更新をお知らせします。直接ご連絡もしていただけます。
※感想やご質問は、今後の記事でご紹介させていただく場合があります。

★お金のこと、お仕事のこと、投資のこと、気軽にご相談にいらしてください。下の「ご相談メニュー」をご覧ください。
ごあいさつ
プロフィール
ご相談メニュー