2018年8月、1,200ドルを切ったところで底をつけたゴールドの価格は、同時期に始まった世界的な株式の調整に反発するかのように値を上げてゆき、本年8月には1,500ドルを突破しました。
30%近い上昇です。

株式は昨年末の底から再上昇して値を戻していますが、景気後退の懸念が消えない現状を反映して、ゴールドの価格は今でも1,500ドル付近をうろうろしています。

著名ヘッジファンド・ブリッジウォーターの創始者であるレイ・ダリオがゴールドの保有を勧める記事がたびたび出回り、また彼が公開した「全天候型ポートフォリオ」でもゴールドが含まれていたことから、一般投資家にも投資商品としてのゴールドの価値に注目が集まっています。

この先を考えるにあたり、有益な記事が米国の投資サイト“Seeking Alpha”に掲載されました。
ゴールドの長期投資についてです。
記事から長期投資成績の数値を引用しつつ考えていきます。

ゴールドの長期投資成績をひと言で言えば「圧敗」

Gold Vs. Stocks
ゴールド対株式
1973年から今年まで、46年間のゴールドと米国株式(S&P500)・米国債券(20年以上の長期国債)の投資成績を比較した記事です。

比較の結果は一言、ゴールドの「圧敗」につきます。


1973年~2018年の年率リターンでは、ゴールドは株式を約5%下回っています。
リスクはゴールドがはるかに大きくなっていました。

この数値でシミュレーションすると、ゴールドに46年間投資した結果の中央値は3.2倍、米国株式では62.1倍となりました。
まさに「圧敗」です。
長期国債の28.5倍にも大差をつけられ、単一の運用資産としては話になりません。

この結果だけを見ると、ゴールドに投資する意味など皆無と思わざるを得ないようですが……
実は1年ごとの成績を解剖してみると、違った風景が見えてくるのです。

ゴールドは「カバンに入れっぱなしの折りたたみ傘」のように機能する

投資成績だけを見れば株式・債券に圧倒的な差をつけられているゴールドですが、そうするとなぜレイ・ダリオは「全天候型ポートフォリオ」にゴールドを入れているの?という話になります。

1年ごとの投資成績を仔細に眺めてみるとその訳がわかります。
まず、「株式がマイナスリターンになった時期」をまとめてみました。


1973年~2018年にかけて、S&P500がマイナスになった年は9年ありました。
この9年間の平均リターンでみると、ゴールドは株式を上回っているのはもちろんですが、長期国債の成績をも上回っています。


長期国債がマイナスリターンになった年は12年ありました。
この12年間の平均リターンでみると、ゴールドは長期国債を上回っているのはもちろんですが、株式の成績をも上回っています。

株式の調子が悪くても債券の調子が悪くても、ゴールドはその不調を和らげる働きをします。

カバンが少し重くなっても、雨が降ったときに真価を発揮する折りたたみ傘のように、ゴールドはポートフォリオを雨模様から守ってくれるわけです。
レイ・ダリオが「全天候型ポートフォリオ」にゴールドを入れたのはこういうわけです。

金利がつぶれていく世界でますます輝きを放つ

当ブログではゴールドについては以前から注目し、記事にしてきました。
債券の死がゴールドに輝きを与える? 10年国債の「実質金利」を見てみよう

これまで、ゴールドは「株式のように利益を生まないし、債券のように利息も生まない」といわれ敬遠されてきました。

しかし、世界中で債券の金利がマイナスに沈んでいく現状で、もはや「利息を生まない」という理由でゴールドを忌避することはむずかしくなっています。
なにせ、主要先進国の債券を購入し、満期まで持つと(名目では)「確実に損」するわけですから。


利息を生まない債券は、もはや現金と同等です。
株式と債券に分散したバランスポートフォリオが、小規模な株式ポートフォリオになってしまうのです。
そのうえ、その現金同等物はインフレの再燃、デフォルト・リスク、あるいは信用危機の際には損失を発生させる可能性を持っているのです。

1973年からの長期投資成績を見てきましたが、今後の長期停滞経済においては、ゴールドの価値はこれまで以上に高まる可能性が大きいと思います。

兼業個人投資家がゴールドを活用するには、

①投資信託・ETFをポートフォリオの10~30%程度、長期保有する
②メディアで「完全雇用」「景気サイクルの後半」といった言葉を見かけるようになったらポートフォリオの10~30%程度購入し、相場の下落局面で売って株式に乗り換える

このような手法がおすすめです。

ゴールドの投資方法

①投資信託
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジあり)
経費率が最も安い投資信託です。

②ETF
SPDR®ゴールド・シェア(1326)
東証に上場している、経費率が最も安いETFです。

③商品先物
ゴールドスポット100(金限日)
楽天証券ではゴールドの先物を取引できます。

なかでもゴールドスポット100(金限日)という商品は、先物を乗り換える(ロールオーバー)必要がないので非常に便利です。
40倍までレバレッジを利かせることができます。

僕は現在、レバレッジ2倍でゴールドをポートフォリオの15%程度保有しています。
差金決済なので、レバレッジETFのようにボラティリティによって長期での運用成績が損なわれることがないのも大きな利点です。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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