「グローバル3倍3分法ファンド」が、レバレッジを利用した独創的な商品性で注目と資金を集めています。
日経新聞でも取り上げられていました。
「3倍3分法」で増やす分散投資(話題の投信)

以前、当ブログでも詳しく分析しました。
徹底検証! 話題の投資信託「グローバル3倍3分法ファンド」に死角はないのか?

先日、この記事を読まれた方からご質問を頂戴しました。
改めてこのファンドについて突っ込んで考えるよい機会となりましたので、その回答を共有していきます。

心配は「リーマンショック級の暴風雨が来ても大丈夫!?」

このファンドは、「先進国株式・新興国株式」「日本REIT・先進国REIT」に20%ずつ現物投資を行い、残りの20%を証拠金として「日本株式」「日本国債・米国債・英国債・独国債・豪国債」の先物に分散投資します。

日本株式に20%相当、各国債を40%相当ずつ先物で保有しますので、合計で預かり資産の300%相当の投資ポジションとなります。
「3倍3分法」のゆえんです。

いただいたご質問は3つ。
それぞれ回答していきます。

①グローバル3倍3分法ファンドは、中長期で毎月積み立て投資する場合、1年決算型か、隔月分配型か、どちらが利益を出しやすいでしょうか?

(回答)
理屈としては、将来の値動きによります。

グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型)の値動きをモーニングスターで見ていただくと分かりますが(下の図)、値動きの悪かった昨年11月・今年1月は分配をしていません。
基準価額が上昇した3月~9月は分配をしています。



仮にこのままずっと値動きが悪くなっていくようなことがあれば、含み益があった時期に分配金を受け取れたので、その分は得するということになります。

ただし、一般的に積立投資をする際には、中長期的に基準価額が上昇していくことを期待されているかと存じます。
その場合は、途中で分配金が出てしまい所得税を支払うことになる各月分配型より、おそらくは無分配で行くであろう一年決算型のほうが有利となります。

②リーマンショック級の暴落が起こった場合、基準価格が2割以下になる可能性は有りますか?

(回答)
当ファンドは過去のシミュレーションのチャートを公開しています。
リーマンショック時に該当する「最大ドローダウン率」は-52.8%となっています。

下のURLから見られるPDFの4ページ目内表組にてご確認ください。
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)販売用資料 2019年9月

当時の情勢では「基準価額が2割以下になる」ことはなかったとされる運用方針ですが、経済ショックはその内容が、当然ながら毎回異なります。
現在は先進各国の債券金利がマイナスに沈み、株式や不動産も含めた「everything bubble」であるという指摘も聞かれます。

すべてがバブルなのであれば、次の経済ショックでは、これまでに働いてきた「株式・不動産と債券の逆相関」が働かない可能性もないとはいえません。

当ファンドは債券を保有資産の2倍にあたるボリュームで持っていますので、仮に株式・不動産に債券も併せたトリプル大暴落があるとすれば、その時の下落幅は想定することができません。

個人的には、世界経済の長期停滞による低インフレは打開される気配が見えないので、金利の急上昇➡債券の暴落は当分の間はなさそうとは思っておりますが、あくまでも私見です。

③リーマンショック級の暴落が起こっても、先物取引の証拠金が0円にならない様に、運用されているファンドでしょうか?

(回答)
先物取引の証拠金は保有資産の20%程度となっていますが、仮に証拠金が不足すれば、保有する現物資産(株式・REITのマザーファンド)を売却して証拠金に充てることができます。
基本的にはそこまでの心配はないかと思います。

ご質問については、下のURLから見られるPDFが参考になります。
ファンド拡大鏡 日興アセットの「3倍3分法」 レバレッジに活用する先物投資 分散強化と収益拡大を両立
5~6ページ目の囲み内のコラムをご覧ください。

日興アセットではそこまでの可能性を「想定していない」とし、ファンドの約款でもこうした万一の事態の対応は定めていない、とされています。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

(参考文献)

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