11月25日のフジサンケイビジネスアイに、中国のデフレ懸念についてふれた論考が掲載されました。
インフレよりもデフレを懸念

著者の関辰一氏は日本総研所属のエコノミストです。
中国経済を専門とし、著書に「中国経済成長の罠」があります。



世界第二の経済国である中国が、日本も長年苦しんだデフレに陥る可能性があるとは穏やかではありません。
記事の内容を紹介しつつ、兼業個人長期投資家への影響を考えていきます。

インフレよりもデフレを懸念



記事の内容を箇条書きでまとめました。

・GDPデフレーターの伸びは2017年初から低下傾向、マイナスに転じた地域もある
・工業品卸売物価指数も同時期から低下し現状マイナスに突入
・食料品除く消費者物価指数上昇率も低下中
・2016~2017年にかけての公共投資の拡大がなければデフレはさらに進んでいただろう
・国営企業や地方政府の隠れ債務がネックとなり、長期にわたる需要不足に陥り本格的なデフレに突入していく懸念がある
・デフレは債務返済の負担が大きくなる。したがって設備投資・雇用などの調整を招き、製品の値引き競争や賃金抑制の動きも生じてくる。日本がバブル崩壊後に苦しんだのと同じ道だ


高い経済成長率を誇るわりに、中国は以前から物価上昇圧力が低かったといいます。

政府主導で過剰生産能力が温存されたことや、主にテクノロジー方面で性能は向上しても価格は上がってこないことなどが理由として挙げられています。

本来は過剰生産能力を削減しつつ新たな方面に需要を追加し、構造改革を進めていく必要があるわけですが、その部分で政府主導ゆえの非効率がまだ残っているようです。

中国がデフレに陥るとどうなるか

前提として、中国の社会は1990年代以降の日本ほどの安定性がまだありません。

デフレに陥り経済が低成長もしくは景気後退にはまり込んだ場合、政情不安を呼ぶ可能性があります。

内戦とまではいかなくても、暴動が頻発すれば経済成長に影響が出ます。
さらに、政情不安を抑えるために対外強硬策に出る可能性もあります。
周辺国はもちろんですが、当の中国経済は当然大きな悪影響が及びます。

よその国が中国経済に首を突っ込んでどうこうすることはもちろんできませんが、事態の推移を注視しつつ、本格的にデフレに突っ込んでいくことが明らかになったときの行動プランを考えておく必要があるわけです。

いざ中国デフレ襲来、さて投資をどうしよう?

全世界株式に投資するETFのうち最大のバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)において、中国株は3.5%を占めています。
米国55%、日本7.8%、英国5%に次ぐ割合です。

新興国株式に投資するETFのうち最大のバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)では、中国株は35.2%を占めています。

現状では、世界株式分散投資を教科書通りに行う分には中国株はさほど大きなリスクにはなっていません。

ですが現在、上海・深センに上場している中国本土株式(A株)の大手インデックスへの繰り入れが進行中です。
長期的には新興国株式指数の半分近くを中国株が占めることになります。

当然、バンガードや国内投資信託における中国株式の割合も激増していきます。
中国がデフレに陥ることの、兼業個人長期投資家への影響は年を経るごとに大きくなっていくでしょう。

対応策はこんなふうに考えられます。

①高クオリティ優良企業を選別する投資商品の利用
②日本のデフレに学んで投資商品商品選択
③債務負担の大きい国営企業を避ける投資商品の利用


①高クオリティ優良企業に選別して投資するETF “DGRE”
ウィズダムツリー 新興国株クオリティ配当成長ファンド(DGRE)
国内ネット証券で購入できる海外ETFです。
新興国株式のうち、
 ・配当を支払う企業のなかで
 ・企業の収益性を測る指標(ROE/ROA)と、今後の成長性の優位を兼ね備えた企業
このような278社に分散投資するスマートベータETFです。

中国株式は約25%の保有となっています。
経費率は0.32%と低廉です。

長年のデフレに苦しんだといえば日本の持ちネタですが、実は時価総額上位の超大企業がそろって株価収益不振だっただけで、株価指数はそれに引っ張られていたのです。

日本がデフレに落ち込んでいた1998年9月~2019年4月の間の株式収益を表にまとめました。
配当は抜きです。



「時価総額上位の超大企業がそろって株価収益不振」は、「core30」にあたります。
東証1部全体を代表するTOPIXが、超大企業の不振に大いに足を引っ張られたことがわかります。

中国が今後デフレに陥り経済が不振となった場合、時価総額比例でなく、より収益性の高い企業に絞って投資するDGREへの商品が有利となります。

②日本のデフレに学び、小型割安株に投資するETF “DGS”
日本のデフレ期には、小型割安株が市場全体に大差をつける好成績をあげていました。



中国の小型割安株に投資するには、
ウィズダムツリー 新興国小型株配当型ファンド(DGS)
が利用できます。
国内ネット証券で購入できる海外ETFです。

新興国株式のうち、
 ・配当を支払う小型株式
797社に、配当利回りを加味した割合で分散投資するスマートベータETFです。

中国株式は約15%の保有となっています。
経費率は0.63%です。

③国営企業を避けて投資するETF “CXSE”
ウィズダムツリー 中国株ニューエコノミーファンド(CXSE)
国内ネット証券で購入できる海外ETFです。

中国株式のうち、
 ・国が保有する株式が時価総額の20%以内である銘柄
152社に分散投資するETFです。
経費率は0.32%と低廉です。

バックテストでも、中国では国有企業に比べそうでない企業が運用成績で上回っていることが示されています。



2007年~2018年にかけての、青が非国有企業、グレーが国有企業の投資成績です。
非国有企業が130%ほど上回ってきたことがわかります。

今後も着実に存在感を高めていく中国株式から目を離さず、賢く慎重に長期投資を継続していきましょう!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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