米国の投資情報サイト“Seeking Alpha”に掲載された記事です。
Expectations For The Next Decade
次の10年への期待
米国の独立系投資ストラテジストが、これから10年の投資戦略についてまとめています。
米国株式・米国債券・国際株式・貴金属や商品まで幅広く言及されています。
データベースでの明解な分析が非常に参考になります。
核の部分を2枚のグラフを借用してまとめておきます。
米国株式とゴールドと米国債10年金利、そしてこれからの10年
①米国株式とゴールド
ゴールドは株式のヘッジになると言われながらも、実際の値動きは必ずしも株式のカウンターとなってはいません。
青線がS&P 500インデックスファンド、緑線が米国長期国債インデックスETF、橙線がゴールドETFです。
米国長期債券は基本的にS&P 500に対するカウンターの値動きを律儀にこなしつつ、右肩上がりに収益を積み重ねてきました。
一方、ゴールドはカウンターになっている時期と同調する時期が数年単位で入れ替わり、ゴールドは独自の都合で波動を描いているように見えます。
しかしながら、この記事にある1枚のグラフを見ると印象は一変します。
米国株式を代表する指数であるS&P 500の評価・その後の収益とゴールド価格の関連を示したものです。
株式の評価はCAPE(10年平均EPSを分母としたPER)の逆数をとった株式益回りを用いています。
特定の時点での株式益回りと、それから10年間の「S&P 500のゴールド価格に対する超過収益」を併せて1枚のグラフに表示しています。
青の折れ線が株式益回り、橙の棒が10年間の株式超過収益です。
株式益回りが高い時は、それから10年間の株式収益がゴールドを上回ってきました。
1940年代~50年代前半、および1980年代がこの状況にあたります。
一方、株式益回りが低下していくと株式の収益がゴールドを下回っていきます。
1960年代~1970年代、2000年代前半がこの状況にあたります。
ゴールドはゴールドの都合で動く部分がありつつも、割高の時期に株式を購入すればゴールドには負ける。
実は2010年代前半から、ゴールドが勝つ可能性が高い領域に入ってきていた可能性がある……
そんなことを思わせるグラフです。
②米国債10年金利と投資収益
青線が米国10年債の金利の推移、橙の棒がそれから10年間の実質投資収益です。
ボルカーFRBがスタグフレーション退治に政策金利を猛烈に引き上げた1980年代前半以降、金利低下と実質投資収益の減少傾向が見事に同期しています。
リーマンショック以降の10年間は債券の運用収益も非常に順調でしたが、インフレ率を調整した実質ではむしろ収益は低下傾向にあったわけです。
こちらも、この先の投資収益減少を覚悟せざるを得ないグラフです。
2枚のグラフが示唆すること
本来、ゴールドは株式や債券と違い、それ自体が収益を生む資産ではないので長期投資には向かないと言われてきました。
しかしながら、この2枚のグラフを見ると印象が変わってくると思います。
・今後の長期投資においては、米国債券投資の収益には期待できない
・債券投資の収益が利回りと同調するなら、日本を含む米国以外の先進国債券投資も見通しは明るくないだろう
こんな見通しにならざるを得ないでしょう。
全世界インデックス以上に米国株式を減らして分散を強める。
債券は株式へのヘッジ機能はあるが収益は見込みにくいので、一定の割合でゴールドにも振り分けた方が得策。
ここ数カ月、当ブログでたびたび書いてきたことではありますが、あらためて強調したい1年の幕開けです。
人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!
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