小型株は大型株より有利。
バリュー株は非バリュー株より有利。
高クオリティ株は低クオリティ株より有利。
低投資企業の株は高投資企業の株より有利。


株式市場研究の成果として、長期的にはこのような傾向があることが確かめられています。
これを利用した「ファクター投資」は機関投資家の運用では標準となっています。

ファクター投資を利用した個人投資家向けのおすすめ商品として、当ブログでは幾度となく「あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンド」を取り上げてきました。
「投資を科学するファンド」が市場平均に「世代交代」を迫る あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンド

ところが、近年ではバリュー株効果が消失してきているといわれることが増えてきました。
10年以上続いている、世界的なバリュー株の沈滞についても少し前の記事でふれています。
20年の長きを勝ち抜いてきた「世界超優良株」ファンドを徹底解析! モルガン・スタンレー グローバルプレミアム株式オープン(ヘッジなし)

加えて、米国では小型株効果も消失しているといいます。

金利がここまで下がっている現状で、少しでもリターンを付け加えられる手段がすり減っているとなれば見過ごすことはできません。
検討していきます。

全世界的に小型株効果を調べたところ……



①小型株効果はほんとうに消失しているのか?
米国の投資情報サイト“Seeking Alpha”に掲載された記事です。
7 Ways To Beat The Market: Size Update For 2020
市場に勝つための7つの方法:小型株効果アップデート2020年版
著者は金融機関に所属する実務家であり、匿名でたびたび当サイトに寄稿しています。


米国株式を時価総額で10等分し、1981年~2019年にかけての年率リターンをプロットした図です。
左の「1」がもっとも小型、右の「10」がもっとも大型の区分となります。

最小の「1」それに次ぐ「2」と、小型株の区分が最悪のリターンを示しています。
米国株の約40年、やはり小型株効果は消失していました。

世界的にはどうでしょうか?


全世界・先進国・米国・日本・欧州・新興国の各区分につき、米ドル建てMSCI指数(市場平均/小型株)の年率リターンを調べました。
期間は2005年~2019年の15年間です。
小型株の超過リターンも併記しました。

米国と新興国では、小型株指数はわずかですが市場平均に負けています。
全世界・先進国・日本では小幅ながら超過リターンを示しています。
欧州では小型株が大勝していました。

小型株指数はボラティリティが大きくなっていることを勘案すると、1%にも満たない超過収益のためにリスクを冒す意味合いは小さいです。

定期リバランスを行う際に利益が出ていれば税金を支払う必要があることも合わせ、わざわざ小型株ファンド・ETFをポートフォリオに追加する意味が希薄になってしまうように思えます。

②ひとくふうで違った世界を作り出す「合わせ技」
元記事には続きがあります。

1996年~2019年にかけ、米国では小型株効果が消失しているものの、「小型+○○」といった「合わせ技」運用は大きなリターンを生み出してきていました。


一番下の白線が小型株指数、水色線が平均(S&P 500)です。
やはりわずかながら小型株指数が負けています。

その上の4本のグラフが「小型+○○」の運用を行う指数です。
黄線:小型低ボラティリティ、赤線:小型増配、橙線:小型クオリティ、緑線:小型バリュー
ひとひねり加えると、小型株効果が再び燦然と輝き始めました。

これはぜひとも、われわれ兼業個人投資家の実運用にも生かしていきたいところです!

小型株効果にひねりを利かせる商品ラインナップ

いずれもスマートベータ指数に連動するファンド・ETFであり、運用経費は0.65%以内の低水準に抑えられています。
長期保有に向いた商品です。

①日本
SMT JPX日経中小型株インデックス・オープン
過去3年間で黒字・高ROEといった特徴を持つ、高クオリティの中小型株からなるJPX日経中小型指数に連動する投資信託です。

ウィズダムツリー 日本小型株配当ファンド(DFJ)
日本の小型株のうち配当を支払う企業に限定し、保有割合を配当利回りを勘案して調整したETFです。
小型株にバリュー効果を加えています。
国内ネット証券で購入できます。

②米国
バンガード・S&Pスモールキャップ600バリューETF(VIOV)
米国株式市場の多種多様な産業を代表する小型株式600銘柄のうち、バリュー株をカバーするS&Pスモールキャップ600バリュー指数に連動します。
国内ネット証券で購入できます。

ウィズダムツリー 米国小型株クオリティ配当成長ファンド(DGRS)
米国の配当を支払う小型株のうち、高ROA・高ROEと収益成長が見込める銘柄を保有するETFです。
小型株にクオリティ効果を加えています。
国内ネット証券で購入できます。

③欧州
ウィズダムツリー 欧州小型株配当ファンド(DFE)

英国を含む欧州の小型株のうち配当を支払う企業に限定し、保有割合を配当利回りを勘案して調整したETFです。
小型株にバリュー効果を加えています。
国内ネット証券で購入できます。

④新興国
ウィズダムツリー 新興国小型株配当型ファンド(DGS)
新興国の小型株のうち配当を支払う企業に限定し、保有割合を配当利回りを勘案して調整したETFです。
増配の可能性が高い企業を抽出し、小型株にバリュー効果を加えています。
国内ネット証券で購入できます。

まとめ

小型株運用は長期的には大型株より有利であるとされていますが、現実には、近年(ここ数十年~十数年)米国と新興国では小型株指数はわずかですが市場平均に負けています。
全世界・先進国・日本では超過リターンはみられるものの小幅にとどまりました。

しかしながら、低ボラティリティ・増配・クオリティ・バリューの各スタイルを加えた「小型+○○」の運用を行う指数をみると、小型株効果はいまだ健在といえます。

国内ネット証券でも「小型+○○」の運用を行う低コスト商品が複数ラインナップされています。

低金利で今後の投資リターンが危ぶまれています。
今回紹介した商品を賢く利用し、投資効率を高めていきましょう!


人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

質問・感想お待ちしています! こちらからお願いします
LINE@に登録をお願いします。ブログの更新をお知らせします。直接ご連絡もしていただけます。
※感想やご質問は、今後の記事でご紹介させていただく場合があります。

★お金のこと、お仕事のこと、投資のこと、気軽にご相談にいらしてください。下の「ご相談メニュー」をご覧ください。
ごあいさつ
プロフィール
ご相談メニュー