米国著名投資家ハワード・マークスの「今回も、違わない」のお話です。
いつもありがとうございます。

「投資の哲人」ハワード・マークス



米国の運用会社オークツリー・キャピタルは、景気や信用(お金の貸し借り)サイクルを利用した逆張り投資で知られます。
運用資産残高は約800億ドル(約6.2兆円)にのぼり、高利回り債(ハイイールド債)と不良債権(ディストレスト・デット)への投資を得意としています。

創業者のハワード・マークスは顧客向けレターを定期的に公開しており、それをまとめた書籍「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」は日本でも話題になりました。

オークツリー・キャピタルから本日届いた顧客向けレターより、ハワード・マークス最新の所信をご紹介します。

本当に重要なのは、価格の変化がファンダメンタルズの悪化に比例しているかどうか

レターのタイトルは「Nobody Knows」。
誰も知らない……というのは、コロナウイルスそのものと、経済社会に与える影響のどちらにもかかっています。

「私がコロナウイルスについて何を言ったとしても、それは推測に過ぎない」
慎重に切り出してから、こう続いていきます。

本当に重要なのは、価格の変化がファンダメンタルズの悪化に比例しているかどうかである。

1か月前には、ほとんどの人が米国経済に悪い兆候を見るのがむずかしいと言っていた。
コロナウイルスが、経済の悪化をもたらす負の触媒として突然現れ、市場は一気に「完ぺき」から「絶望的」に振れた。

ウイルスから悪い影響を受けにくいはずのアマゾンやグーグルの株も市場全体と同様に下落した。
株式のヘッジとなるはずのゴールドも下落した。
配当利回り2%・益利回り6%の株式から、10年間の固定利回り1.1%の債券に資金が流れた。
これらは「極端な恐怖心の現れ」以外の何物でもない。

各種資産市場におけるリスク(ボラティリティ)が増大した時に、後追いでリスクが増大した資産を売り、低リスクの資産を買い込む「リスクパリティ」という運用手法があります。

当ブログでも紹介した「ファイン・ブレンド(資産成長型)」や「グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)」などもこの手法を用いた商品です。

リスクパリティ型運用が、ひとたび株式市場が下がりだすと株式インデックスを追っかけで売り浴びせる形となります。

また、現在の米国株式市場ではIT大手の集中度がドットコムバブル時を超えて高まっており、インデックスが激しく売られる展開になると、マイクロソフト・アップル・グーグル・アマゾンといった巨人は個別の事情から離れて一様に下落します。

駆け込み先として、もはや投資先としては魅力がない債券に資金が殺到しました。

すべて恐怖による反応で、コロナウイルスがもたらす経済社会の変化を織り込んだとは言えません。
すべてはこれからです。

最近、買い時かとよく聞かれる。私の答えは、もう少し……ニュアンスがある

迷いをみせながらも、ハワード・マークスは現在の米国株式を「買いだ」と言います。

おそらくは買い時だ。
そもそも、はっきり買い時だと断言できるタイミングなどあり得ないが、唯一、株価が絶対値で2週間前よりずっと低いということは確認できる。

今後数日、数週間、数ヶ月での下落はあるか……その質問はまちがっている。完全に答えのない問いだ。

知的な投資は常に、資産の価格と価値の関係に基づいて行われなければならない。
言い換えれば「(株価の)崩壊はさらに進むだろうか?」ではなく、むしろ「この崩壊が資産価格を適正化したのか? それとも本質的な価値を考えると割高なのか? それとも安くなったのだろうか?」ということだ。

長期的には、価値に対する価格の評価が最も信頼できる投資方法であることはまちがいない。
短期的に信頼できる助力を提供するものは何もない。

資産価格が下落したら、妥当な価格に近づいた可能性を考える。
妥当な価格になっているかを検証する。
長期的な視野で判断し、買うかどうかを判断する。
結局はいつものバリュー投資に戻ってきます。

先のことがわからないとき、心の中で無限の「今回は違う」という怪物を育ててしまっても意味はないどころか、有害です。
資産の価値にしがみつくしか現実的な方法はないと、ハワード・マークスは言っているわけですね。

しめくくりはこんな感じです。

ウイルスが未来の世界を私たちがよく知る世界とは大きく変えてしまうという可能性のある現状において、バリュー投資は、不確実にすぎて頼るに値しないものとなっているだろうか?

私はそうは思わない。
われわれがコロナウイルスについてもっと学び、ワクチンを開発した後では、コロナウイルスがわれわれの人生を根本的かつ永久に変化させたり、未来の世界を認識不能にしたり、ビジネスを破壊したり評価できなくさせたりする可能性は低いと思う。
もちろん、これも推測にすぎないけど。

買うか、売るか、ホールドするか?
(株価は)安くなっているので、少し買ってもいいと思う。しかし、将来の出来事がどれだけネガティブなものになるか、私たちには見当もつかないことを考えると、資金を使い果たしてしまうことに論理的な根拠はない。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

(参考文献)

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