米国の投資情報サイト“Seeking Alpha”に掲載された、「投資家のレバレッジ」に着目して米国株式市場に警鐘を鳴らす記事をご紹介します。
著者は独立系投資顧問会社でマネージャーを務めています。

Irrational Is As Irrational Does
不合理なものは不合理

著者は現在の米国株式市場についてこう述べます。

米国株式は「宝くじ」



現在、株式を購入し保有している投資家は、世界経済が減速し、資金不足が世界中の高債務世帯、企業、政府、投機筋などに広がっているにもかかわらず、宝くじ購入者の供給が続く(いつまでも?)と予想している。

米国株式は宝くじであるとくさしています。
現状の評価水準で米国株式を買うことは「投資」には該当せず、純粋なギャンブルになっているというわけです。

この現象を、著者は米国投資家の「レバレッジ」に着目することで明確にします。
投資家が株を買うための借金が空前の水準まで積み上がっていたというのです。


図内の下方に伸びるバーがレバレッジの大きさを示しています。
この場合のレバレッジとは、株式の買い残高と信用口座に置かれた証拠金(現金)の差額のことをいいます。

青線がS&P500の推移を示します。
青線の動きと、赤いバーの方向・長さが反対方向に動いていることが見てとれます。
投資家が借金して株を買いまくることで、米国株式の上昇が演出されてきました。

レバレッジがピークに達した2018年には、株式の買い残高と信用口座に置かれた証拠金の差額は30兆円を超え過去最高となっていました。
金融緩和がカネ余りを呼び、株式投資がブームとなったことが如実に示されています。

著者は、信用取引で積み上げられた膨大な株式残高が、コロナウイルスをきっかけに巨大な売り圧力となって株式市場を襲うことを危惧しています。

マージンコールの仕組みは基本的なものである。株式が下落すると、ブローカーは顧客に電話をかけ、ポートフォリオの負債比率がルールに違反しないように現金化することを余儀なくされる。それは時に強制的なに売りにつながる。株式はときに、証券会社の顧客にとって最も容易に現金化できるもの(資産)である。市場の痛みが広範に及んだ時が問題だ。皆が同時に出口へと殺到する。

マージン・コールとは、借金して買った資産の価格が下落することにより、下落分が証拠金を侵食してしまい、資金を追加するか資産を売って出血を止めるかの選択を迫られることをいいます。

追加できる現金がなければ、株が売り払われます。
インデックスETFを用いた投資がポピュラーとなっているので、相場の下落が起これば多かれ少なかれ皆が損失を抱え、売りは一方向となり市場全体を売り圧力が襲います。

一時に皆が出口に殺到するというのは、こういうことです。
売らざるを得ない状況なので、買いに回る人が非常に少なく二束三文で売ることになっても関係ありません。

そうなれば、市場は崩壊です。

ということは……どうすればいいのだろう?

信用取引などのレバレッジを使った投資をしていなければ、「意図していないのに売らされる」ことはあり得ません。

一時的に損失を抱えたとしても、投資信託やETFを用いてよく分散されたポートフォリオであれば、じっとホールドしていればいずれは元に戻ります。

先行きの不透明を考えれば、いまからでも株式を売って債券やゴールドに換えておくのもよいと思います。
今後大幅な株式の下落が起こったときに、債券やゴールドを売って株を買えば長期的には大きく資産を成長させることができます。

僕は昨年の前半に株式ファンドやETFをかなり売り、株式ほぼ100%→60%弱まで減らしました。

この1年、世界の株式は調子よく上昇するなかでギギギ……と歯噛みする状況もありましたが、2月末以来のコロナ・ショックで株式は一時10%以上下げ、1年半前の水準まで戻りました。
割安水準に入りつつある今は、主に新興国の株式を購入を進めています。

いまからでも、債券・ゴールドをポートフォリオに取り入れるのは遅くないと思います。
何せ世界株式の半分を占める米国株式の評価はいまだきわめて割高で、投資家はまだ高レバレッジですから……

債券・ゴールドに投資するなら

ゴールド投資については当ブログでもたびたび取り上げています。
直近には1月下旬にも記事をアップしました。
リターンは債券より低くリスクは株式より大きい……こんな低スペックでも分散投資で大きな力を発揮する資産のお話

債券投資については、1ファンドで日本を含む世界の国債に低コストで投資できる「ひとくふう世界国債ファンド(為替ヘッジあり)」をお勧めしています。

以前詳しく記事にしました。
徹底攻略! 株式と組み合わせて相性がいい資産クラスと投資商品/思わぬおすすめ商品も

債券・ゴールド、そして高配当株式やREITといった現金収入が得られる資産をブレンドした投資信託「ファイン・ブレンド(資産成長型)」もおすすめです。

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徹底攻略! 株式と組み合わせて相性がいい資産クラスと投資商品/思わぬおすすめ商品も

具体的なおすすめ商品をご紹介しました。
しっかり計画を立てて、長期投資の航海を冷静に進めていきましょう!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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