新型コロナウイルス・ショックが世界の株式市場を襲ってからはやくも5カ月が経過しました。

この間、アメリカは感染者数世界一の汚名を着ながら、株式市場は世界に先駆けて回復の歩みを進め、いまやバリュエーション(S&P 500のPBR:株価純資産倍率)ではコロナショック前の高値を超えました(2020年8月7日)。

この間、1株当たり予想利益は下落の一途をたどっているにもかかわらず、です。
投資家の利益持ち分は減っています。

大手ネット証券3社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)の投信週間買付ランキングのうち、米国株式ファンドが7本・米国株式が約半分以上の割合を占めるファンドが8本と、合計で半数を占めています(2020年7月13日~17日)。
日本の個人投資家がアメリカに熱い視線を注いでいるのは明らかです。

どうやらこのあたりで確かめておく必要がありそうです。
利益は下がるが株価は戻り、日本の投資家が大挙詰めかける米国株式は、はたして “バブル” なのでしょうか……?

まだまだ上がる、なぜなら調子よく上がってきたからさ!



コロナショック直前高値の2月20日から現在までのS&P 500(青)・NASDAQ100(えんじ)・日本(オレンジ)・欧州(黄)に連動する投信・ETFのチャートです。

S&P 500は-0.27%まで戻し、NASDAQは16%を超える上昇を見せています。
日本株もドル建てで-1.2%と健闘しています。


アメリカと日本の株価指標を比較しています。
産業構造が異なるためあくまで参考程度ですが、PBRで2倍以上、その他いずれの指標も米国株は日本株との比較で大幅な割高を示しています。

上がっている株はまだまだ上がり続けると考える向きには頼もしい指標です。
一方、長期的には“平均に回帰する”と信じる方にとっては、米国株はそろそろ危なっかしい水準と感じられるかもしれません。


大手金融機関10社予想の平均で、2020年の米国株は昨年に比べ利益が23%程度減少すると見込まれています。

アメリカ経済が2021年以降、スムーズに成長経路へ復帰すると見込まれてはいない現状では、アメリカの株価はそれを支える基礎的な条件から乖離していると言えそうです。
すなわち、大規模な金融緩和と財政支出に頼り切った上昇ということになります。

“破滅を予言した博士” はふたたび “恐慌に至る10の条件” を告げる

2008年のアメリカ・サブプライムバブルの崩壊を予言し、“破滅を予言した男”として一躍その名を知られるようになった米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授。
彼は新型コロナウイルスの蔓延を踏まえ、世界経済が恐慌に陥る可能性について論じています。

彼によると目下の世界経済には“10の危険要因”が存在します。

①政府債務の高騰
②人口動態の高齢化
③デフレリスクの増大
④デフレ回避策が招来するスタグフレーション
⑤経済のデジタル化による格差拡大
⑥脱グローバル化
⑦ポピュリズムの抬頭
⑧米中対立
⑨ロシア・イラン・北朝鮮との冷戦
⑩環境問題


なかでも
“政府債務の高騰”
“デフレリスクの増大”
“デフレ回避策が招来するスタグフレーション”
“脱グローバル化”
などは大規模な経済ショックにつながる可能性があります。

新型コロナウイルスの動向によって、アメリカ経済が二番底に向かうW型、あるいは当分は底を這うL型の軌跡をたどることになった場合、経済ショックの襲来が現実味を増していきます。
株式市場はこれらをまったく織り込んでいないとルービニ教授は警告しています。

世界中のマネーがアメリカに集まることで支えられている株高が、経済ショックにより高速で巻き戻っていくことがあれば、巨大な評価損が世界にばらまかれていくことになるわけです。

日本の個人投資家も他人事ではいられません。


今回は米国・日本の株式市場の現況を確認し、世界経済には不安要素が多く残っているというルービニ教授の説をご紹介しました。
シートベルトはまだ緩める時ではないということですね。
次回は市場関係者と市場研究で有名な2大経済学者の解釈に迫っていきます。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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