バンガードも警鐘を鳴らす米国株式の過熱ぶり、適切な対処でやけどを防ぎましょうのお話です。
いつもありがとうございます。

米国の投信・ETF大手バンガードが米国株に警鐘を鳴らす



ETF・投資信託の米国大手で日本でもおなじみのバンガード社は、本国ではファイナンシャル・アドバイザー(IFA)向けの情報提供を盛んに行っています。
個人投資家にも有益な情報がいっぱいです。

2019年5月29日の記事で、「米国以外の株式にも目を向けましょう」という記事が掲載されました。
Embracing a global stock market
(グローバル市場を受け入れる)

中国との貿易摩擦・関税競争が世界経済に景気後退を招くのでは……という疑念がしきりにささやかれています。
さまざまな指標も悪化を示しています。

が、実際にどうなるかを百発百中で当てることはできません。
シナリオを想定して、備えておくだけです。

実体経済の悪化以前に、米国株式が上がりすぎている、過剰評価されている面が多分にあります。
景気後退まで至らなくても、評価が企業利益から見て妥当な水準に巻き戻るだけで株価は大きく下がります。
株価下落が景気後退を誘発することも大いにあり得ます。

米国株式の「過剰評価」って?

当ブログでも、米国株式が割高になっていることは過去の記事でふれてきました。
世界各国CAPE・期待リターンチェック 2019.4.30


ドイツの投資運用会社StarCapitalが、PBRとCAPE(長期収益に基づくPER)を用いて算出する期待リターンの比較で、米国株式のは全世界株式の期待リターンより5割近く低くなっています。
今の株価は上がりすぎていて、未来の収益を先食いした価格であるということが示唆されているわけです。

バンガードの提言とは?

embracing a global stock marketでのバンガード社の提言です。

①米国株がいい時ばかりじゃないですよ
②今後10年の予測では米国株式以外の株式(国際株式)のほうが期待できますよ
③国際株式を併せ持つと値動きがマイルドになりますよ
➡だから、国際株式にも投資しましょう!

ここで、日本で投資をする私たちに得に関係してくるのは
②今後10年の予測では米国株式以外の株式(国際株式)のほうが期待できますよ
です。

左が米国株式、右が国際株式です。
グレーの円が過去30年間の株式年率リターン、青い円が今後10年の株式期待リターンを示しています。
今後10年の米国株式の期待リターンは5.1%にすぎず、8.4%と予測される国際株式の期待リターンより3.3%も少なくなっています。

ただしこれはあくまでも予測なので、あくまでも「国際株式にも分散しておきましょう」という言い方になっているのです。

日本で投資する僕らがどうして米国株式を気にする必要があるのか?

いま流行している「もっとも低コストで正しい株式投資法」を採用すると、米国株が5~6割を占めてしまうからです。
全世界の株式を時価総額に応じて持つことを投資信託を通じて実行すると、米国株式が55%、それ以外の国の株式が45%になります。

55%を占める米国株式がかなりの割高なら、割合を少し下げて有望な国の株式に入れ替えてみてはどうだろう?
こんな筋道で、僕らは米国株式を気にせざるを得ないわけです。

「いやいや、株式市場は全世界の欲望を英知を集めた完全な市場だから、市場の形をそのまままねることが一番正しくて、一切の不利を招く行動を避けられるんだ」
こう考えるなら、それで大丈夫です。

①割高な米国株のウェイトを少し下げれば、将来の期待リターンが少し上がるだろう。
②正しいことは正しい。あがいても長期では正しさが勝つ。

なにぶん未来の話ですから、結局の判断は価値観に属することになります。
①割高な米国株のウェイトを少し下げれば、将来の期待リターンが少し上がるだろう。
と思う方に向けて、話を進めます。

米国株式の割合をムリなく下げる方法を考えた


投資信託やETFを用いて世界分散株式投資を行う場合、商品の組み合わせ方は大きく3パターンに分けられます。

①日本株式+全世界株式(除く日本)
②全世界株式(含む日本)
③日本株式+先進国株式

それぞれのパターンで、米国株式のウェイトを下げる方法をご紹介します。

①日本株式+全世界株式(除く日本)
たとえば日本株式は自分で銘柄を選んで投資している方。
あるいは「日本の企業に勤めているのだから、金融資産は日本景気に左右されない方がいい」「少子高齢化財政破綻でお先真っ暗な日本に投資したくない」という方もいるかもしれません。

eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
たとえばこんな商品が代表的です。

まずこの場合、「先進国株式ファンド」87%、「新興国株式ファンド」13%に分けて投資すると、全世界株式(除く日本)ファンドとほぼ同じ運用成績を得ることができます。
eMAXIS Slim先進国株式インデックス
eMAXIS Slim新興国株式インデックス
たとえばこんな商品が代表的です。

そこで現在、日本や米国を含む先進国より割安になっている「新興国株式ファンド」の割合を上げることで、米国株式の割合を下げることができます。
割安に傾けたい方が新興国株式ファンドの割合を4割まで上げると、米国株式の割合は59%→41%まで下がります。

②全世界株式(含む日本)
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
たとえばこんな商品が代表的です。

①と同様に、日本株式ファンド・先進国株式ファンド・新興国株式ファンドに分割して、割合を調節する方法があります。
日本1割・先進国8割・新興国1割で大まかに近似するので、日本を増やすも新興国を増やすも後はお好みです。

あるいは、このような商品もあります。
eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)
日本・先進国・新興国を同じ割合で保有する投資信託です。
米国株式の割合は20%弱にまで下がっています。

最後に、海外ETFを利用すると非常にやりやすいです。
バンガード トータル ストック マーケット ETF(VTI)
バンガード トータル・インターナショナル・ストックETF(VXUS)
VTIが米国株式、VXUSが米国以外全世界株式のETFです。
米国株式を直接増減させることができます。

③日本株式+先進国株式
新興国株式はリスクが大きいので持ちたくない!という方もおられます。
この場合、先進国株式を米国株・欧州株・太平洋諸国株に分割投資して、米国株式の割合を下げることが可能です。

UBS ETF 米国株 (MSCI米国)(1393)
UBS ETF 欧州株(MSCIヨーロッパ)(1386)
UBS ETF MSCIアジア太平洋株(除く日本)(1390)
東証に上場しているUBS(スイスの銀行・証券大手)のETFです。

まとめ

米国の運用大手バンガード社によれば、今後10年の米国株式の期待リターンは過去30年に比べ5%低下し、米国以外の株式と比べても3.3%のマイナスです。
米国株式は割高になっているため、世界株式分散投資を行うにも割合を下げたほうがよいと思われます。

①日本株式+全世界株式(除く日本)
②全世界株式(含む日本)
③日本株式+先進国株式
世界株式分散投資3パターンでの「米国株式の減らし方」をご紹介しました。

いずれも、広域の株式をカバーする商品を狭域商品に分割することになり、若干の手間はかかります。
しかし長期では年率リターン1%の差が大きく効いてきます。

そして、たとえば50%のマイナスを埋めるにはその後100%のリターンが必要です。
マイナスの芽はつぶしておくことが運用のコツです。
心の安定を得て、一緒に長期投資の旅を続けていきましょう!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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