製造業指数の下落やイランとの紛争危機、中国・武漢のコロナウイルスと、立て続けに株式市場を揺さぶる材料が出てきました。

米国株式投資家の心理状態を示す“Fear & Greed Index”も、1か月前の「著しい強欲」つまりカンカンの強気状態から、もっか中立に落ち着いてきました。

その背後で、ゴールドの価格がひたひたと上昇しています。
株式が動乱するときに輝くゴールドです。

ただしゴールドへの投資は、それ単体では株式・債券に比べて投資家が得られたリターンは劣っていました。

ゴールドはそれ自体が株式・債券とは異なり「収益を生む仕組みの権利書」ではない。
長期のリターン履歴も株式・債券に比べ劣っている。


加えて、近年はゴールドに加え他の貴金属や農産物・原油価格なども含めた商品インデックスも低迷が続いていました。

こんな事情から、兼業個人投資家の投資分散先としては世界株式・債券・REITが標準的で、ゴールドが顧みられることはなかったのです。

しかしながら……
ここ数カ月の上昇とは別に、長期的にもゴールドを保有すべき理由があったのです!

ダイバーシティの威力は資産運用でこそ発揮される



米国の投資情報サイト“Seeking Alpha”に掲載された記事です。
著者は機関投資家向けの投資情報リサーチ会社を経営しています。
iShares Gold Trust: When Mediocre Makes Sense
iShares Gold Trust:平凡なことが理にかなっているとき

繰り返しになりますが、ゴールドはそれ単体では株式・債券よりも長期的に富を生成する能力が劣っていました。



ゴールドは米国株式に比べ、年率リターンは低くリスク(標準偏差)は高く下落幅は大きくといいところなしです。
48年間の単体での累積リターンは恐ろしいほどの差がつきました。

ですが、ゴールドの米国株式との相関は「0.01」。
ゴールドの値動きと米国株式の値動きはほぼ関係なく、それぞれが独自に動きます。


このことが、分散投資をすることで強力に活きてきます。



黄色線がゴールド(Portfolio 3)、赤線が米国株式(Portfolio 2)、そして青線が「米国株式:ゴールド=75:25」の割合で分散投資したポートフォリオ(Portfolio 1)の運用成績です。

いいところなしだったゴールドを25%導入することで、米国株式単体よりもリターン・リスクともども改善しました。



75/25ポートフォリオは、米国株式よりも低いリスクで、元本の約15倍にも及ぶ累積リターンの差をつけています。

わずか0.01の相関係数が示す通り、過去48年間の米国株式とゴールドの値動きはほぼ無関係でした。

75/25ポートフォリオではこのことが功を奏し、米国株式が不調の際にはゴールドの上昇が補い、逆もまた然りという働きが得られたわけです。

ゴールドは株式の値動きを平準化する大きな役割を果たしました。
とくにリーマンショックの際(2008~2009年)の株式大幅下落をヘッジできたことで、75/25ポートフォリオは累積リターンでも大きな差をつけました。

ゴールドはそれ自体が株式・債券とは異なり「収益を生む仕組みの権利書」ではない。
長期のリターン履歴も株式・債券に比べ劣っている。

これは確かなことです。
ただ、ゴールドが分散投資に適した資産であるというのも、確かなことなのです。

手軽にゴールドに投資する方法

長期的にポートフォリオの一角を占めるなら
SPDR® ゴールド ミニシェアーズ トラスト(GLDM)
短・中期的なヘッジ機能を期待するなら、為替ヘッジのある
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)
がおすすめです。

元の記事ではiシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)が推奨されていますが、より経費率の低いGLDMがおすすめです。

世界中の株式と債券に投資して資産の分散は万全……とはいかない時代になってきました。
自分の性格や投資期間・目的に合わせた、賢い分散を追求していきましょう!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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