現状を延長してしまう僕らの心の動き、「外挿バイアス」を戒めようのお話です。
いつもありがとうございます。

「割安」が「解消される」理由とは?

当ブログでは一貫して、長期投資で有利な市場や手法、使える投資信託・ETFを追求しています。

そのもっとも重要な指標として、米国の著名投資運用会社Research Affiliatesとドイツの投資顧問会社StarCapitalが公表するCAPEを毎月追いかけています。

CAPEについてはいぜん詳しく記事にしました。
CAPEから考える長期投資
ある株式市場について、CAPEが歴史的に低水準な時期に投資すると長期(10~15年)でのリターンが大きい傾向が観察されています。

割安な市場をコツコツ買っていくということは、割安状態が長い時間をかけて解消されていくという期待がベースになっているわけです。

なぜ、そのような期待を持てるのか?
garbage in, garbage out ではないのか?

このことを別の方向から示した調査報告を2つ紹介します。

「平均への回帰」は現状を否定すること

①StarCapital「盛者必衰は理だぞ」


ドイツの投資顧問会社StarCapitalの調査によると、世界の主要株式市場インデックスを10年ごとの成績で見たときに、1999~2009年と2009年~2019年でその順位が見事に逆転しているということです。

2009~2019年の10年は米国株式が圧倒的に強く、米国を含む先進国株式・全世界株式がそれに続くパフォーマンスを示しました。

米国以外の先進国・アジア新興国(中国・韓国・台湾が大きな割合を占める)が団子状態で控えめに続き、アジア以外の新興国は相対的にはふるいませんでした。

ところが、その前の10年(1999~2009年)のランキングを見ると、上位と下位がきれいに入れ替わっていることがわかります。
最低だった米国がトップに、最高だった南米諸国が最低に落ち込んでしまったのです。

上がりすぎた市場は落ち着き、低迷した市場が盛り上がる。
物事は本来あるべき路線へと収斂していき、イレギュラーは永続せず収束していくという「平均への回帰」現象が見事に表れた結果です。

とすれば、これからの10年は米国が下り坂に、新興国が上り坂に……という絵が浮かびます。

②GMO「新興国バリューが来るぞ」


米国の大手運用会社で、バリュー投資で知られるGMOが毎月発表している、この先7年間の資産クラス別期待リターンです。

創立者のジェレミー・グランサムはバブル研究の第一人者として知られますが、現在の米国株式市場はバブルとはいえないという判断を下しています。
ただし「平均への回帰」は必ず起こるので、長い期間をかけてしぼんでいくだろうと述べています。

GMOもやはり、この10年間最強だった米国株式のマイナスリターン沈没、新興国の好成績を予想しています。
とくに新興国バリュー株式が大幅に勝ち越すだろうという予想です。

これらの調査研究結果を踏まえて、手計算でもう少し補ってみます。

円建てではどうなのか? バリュー・グロースのスタイルは? 大型・小型のサイズは?

StarCapitalの調査はユーロ建て、GMOの予測はドル建ての実質リターンです。
日本を含めて、円建てで考えるために手計算を行ってみました。

①米国株・欧州株・日本株・新興国株の順位は?
米国バンガードとブラックロックのファンド・ETFの成績から、それぞれの資産の成績を円建てで計算しました。


StarCapitalの調査と同様に、1999~2009年で最強だった新興国株は2009~2019年では最下位に沈み、近年は米国が圧倒的な好成績を収めたことがわかります。
1999~2009年で最下位だった日本は変化幅は大きかったものの、盛り返しきれませんでした。

やはり今後の10年は、米国株を軽めにして新興国株を増やすことが望ましいです。

②米国株・日本株をサイズで見ると?


米国株はバンガードのS&P500/小型株ファンドを、日本株は東証一部規模別指数・大型/小型を比較しています。

米国株は1999~2009年は小型、2009年~2019年は大型への入れ替わりがありましたが、日本株はこの20年間、小型株が大型株に大差をつけています。

以前、ひふみ投信を運用する藤野英人氏が「日本の大型株はひどすぎる、大型株を抜くだけで運用成績は上がる」と言っていましたが、そのことが如実に表れています。

米国でも日本でも「小型株が勝つときは大型株に大差をつける」ということは言えそうなので、やはり市場平均よりは小型株をオーバーウェイトにした方が長期の好成績につながりそうです。

③永遠の好敵手、バリュー vs グロースの結果は?


米国株はバンガードのバリュー/グロースETFを、日本株はTOPIXバリュー/グロースを比較しています。

米国・日本ともきれいにスタイルローテーションが決まっていました。
日々資本市場の最前線で戦っている運用プロフェッショナルの方々からは、当節のバリューの弱さに悲鳴が上がっていますが、今後10年という長期では入れ替わりを期待したいところです。

米国・日本ともバリュー投資のほうがボラティリティが小さいです。
マイナスリターンは長期の成績に大きく響いてくる(-50%は+100%でようやくトントン)ので、ボラティリティは小さいに越したことはありません。

超長期なら、バリュー投資一本に賭けてもよいかもしれません。
僕は賭けています。

さて、実際の投資にどう生かす?

「平均への回帰」を活かせる投資商品をまとめました。

①新興国株
新興国株式投資については、いぜん詳しく記事にしました。
徹底攻略・新興国株式の長期投資 インデックス投資を超えて

新興国株式にコスト最小で投資するには、
楽天・新興国株式インデックス・ファンド
がおすすめです。

信託報酬がもっと低い商品もありますが、小型株も含めた指数に投資する当ファンドのほうが望ましいです。

また、新興国株式でも近年ではグロースがバリューを大きく打ち負かしています。
今後、バリューへのスタイルローテーションを見込むなら
iFree新興国株式インデックス
がおすすめです。

当ファンドについては以前詳しく記事にしました。
新興国株式投資のスマートチョイス① iFree新興国株式インデックス
僕も新興国株式はこのファンドを通して投資しています。

②日本株
日本の小型株投資についても、いぜん詳しく記事にしています。
小型株効果が危うい! 「ピュア・小型株ファンド」を避け、プラスαで市場平均を超える方法
徹底解析! NEXT NOTESニッチトップ中小型日本株(ネットリターン)ETNは「優良中小型株の宝石箱やー」

これらの記事で取り上げたファンドはおすすめです。
ウィズダムツリー日本小型株配当ファンド(DFJ)
NEXT NOTES ニッチトップ 中小型日本株(ネットリターン)ETN(2050)
半分ずつ持つと、割安性と成長性がほどよい感じになります。

日本株でバリュー投資を行うなら、
NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)
低コストで簡単にバリュー株投資が行えます。

まとめ

株式市場には「平均への回帰」とよばれる現象があることは広く知られています。
上がりすぎた市場は落ち着き、低迷した市場が盛り上がる。
人の心の移ろいを繰り返し映し出してきました。

ここ20年では、米国株の低迷➡伸長、逆に新興国株の伸長➡低迷が顕著に見られました。
また、米国・日本の調査結果では、大型/小型、バリュー/グロースといった企業規模・スタイル間でもローテーションが見られました。

「平均の回帰」を活かせる投資商品もあわせて紹介しました。
新興国・小型・バリューを合言葉に、ゆったり構えて長期でのんびり資産を作っていきましょう!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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