「ディメンショナル・ジャパン」ポートフォリオ・マネージャーと約2時間、こってりお話ししました ③「たかだか10年間、手前どもの運用がグロース株に負けるのも、珍しいことではございません」おいちょっと待て
の続きです。

ディメンショナルの運用にはすでに長期トラックレコードがある。

1994年~2018年の25年間における円建ての運用成績で、ディメンショナルの世界先進国株式運用、すなわち「グローバル・コア戦略-モデル・ポートフォリオ*」は約6.7倍、MSCIワールド・インデックスは約5.4倍。モデル・ポートフォリオのリターン(年率)は、インデックスを約0.9%上回っていた。
注:*モデル・ポートフォリオであり、仮想のパフォーマンスです。実際運用しているポートフォリオのリターンではありません。投資家が実際に得られるリターンではないことにご留意ください。

ITバブル・サブプライムバブルという2度の経済ショックを含む、25年の長期トラックレコードには大きな価値がある……

前回の記事では、ディメンショナルのマルチファクター運用の優位性をこんなふうにまとめました。
しかしながら……

こんなにたしかな優位性がある商品なのに、あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンドはどうして売れていないのだろう?

業務形態の壁を崩せない現状



①ディメンショナルの業務形態は日本では発展途上
ディメンショナルの本社がある米国では、個人投資家がディメンショナルのファンドを購入できる窓口は限られています。

ディメンショナルはIFA(independent financial advisor, 独立系金融アドバイザー)と契約を結び、顧客はIFAの助言を得ながらファンドを購入していきます。

あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンドのように、ネット証券で買えるような気安いファンドではありません。
それでも、米国では個人投資家にもディメンショナル・ファンドはIFAを通じて広く活用されています。

リージョナル・ディレクターの竹山さんがそのあたりの事情を話してくれました。
「ディメンショナルは米欧太平洋アジア地域で投資顧問型IFA向けの業務を展開していますが、日本ではそのための制度やインフラが発展途上なんです。

日本では現状、個人向け投資一任業務を手掛けることができる証券会社の運用ポートフォリオに当社が運用を担当するファンドを組み込んでもらい、証券会社との契約を結んだIFAを通じて販売されています。

それ以外の販売チャネルとなると、IFAの方が投資一任勘定を扱うために、投資運用業の免許を取得していただく必要があります。
これは個人のファイナンシャル・プランナーでは対応できません。

こういったわけで、日本での業務展開はまだまだこれから広げていこう、という段階です」

米国のIFAはファンドの取次を行うだけでなく、不動産などを含めた総合的な資産の管理にも関与することが多いです。

また、米国では基本的にほとんどの人が確定申告をするのでその助言を受けたり、あるいは相続など、総合的な「家族のお金」に関わる専門家として、IFAは非常にポピュラーな存在です。

また、ディメンショナルとしてはIFAを通じた販売という手法に
・プロの資格を持った投資顧問会社が、顧客のニーズに見合った適切なポートフォリオを作るうえでの部品を提供している
・顧客が規律のある投資を行うこと、つまり「下がったら狼狽して売る・上がったら調子に乗って買う」をIFAが戒め、適切なポートフォリオが維持されることを期待している
といいます。

IFAは顧客の「ファイナンシャル・ライフ」を総合的に見据えて、重要なピースである投資にも積極的に関わり、いわば「伴走する」イメージといえます。

それに対して、日本ではお金のアドバイスを専門家に依頼するということになじみがありません。
よくて退職や相続といった大きなイベントの際に、その件のみアドバイスを受けるというくらいです。

自発的に関心を持つきっかけがない限り、「お金の専門家」という存在を知ることもなければ、専門家とのやり取りを通じて投資の必要性に気づくこともありません。

国策として金融庁が動くようなことでもあれば、事情は変わってくるのですが……

②「自分なりに将来に備える」ニーズにこたえるために
ここ数年は、金融庁の音頭取りのもと金融機関やマスコミが積極的に動き、とくに若い層の間で将来に備えた投資の必要性が認識されてきています。

その際、いわば「金融庁お墨付き」で金融機関もマスコミも安心安全に勧誘できるツールとして、これら「三種の神器」があります。

・インデックス投資
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・つみたてNISA


どうにかしてこの中に食い込まないと、個人投資家の長期投資で利用を拡大してもらうことはむずかしいです。
本来、ディメンショナルが運用するファンドにもっともマッチした販売チャネルです。

アクティブ・ファンドである「ひふみプラス」や「コモンズ30ファンド」が参入できているわけですから、低コスト・世界分散・長期投資ファンドであるあおぞら・徹底分散グローバル株式ファンドに参入できないはずがありません。
僕もiDeCoやつみたてNISAでディメンショナルのファンドに投資したいです。

この制度を使って投資する層はまだ若く、ディメンショナルが顧客に期待する「規律のある投資」への親和性が高いと思います。
日本の特殊性にかんがみ、アドバイザーを経由しないチャネルの拡大に重点的に注力していただきたいものです。

健闘を祈ります!

金利がつぶれていくこと

このところ、金融関係者に会うたびに必ず尋ねている
「金利がつぶれていく世界で、投資の収益をどのように考えたらいいのか?」

あおぞら投信の柳谷会長にも以前うかがいました。
「あおぞら投信」柳谷会長・大久保部長と1時間半、こってりお話ししました。 ③「金利がつぶれていく世界で、資産運用はどうなるのでしょうか?」
当然、今回もお聞きしました。

世界中の先進国で長期金利までがマイナスに沈み、債券の期待リターンが下がっています。
このことが、米国の経済学者ローレンス・サマーズが唱える「長期停滞」の継続を示しているのだとしたら……?

本来、短期の金利が政策に連動してマイナスになったとしても、期間のリスクを取れば長期金利はプラスにならないとおかしいわけです。
裏を返せば現状、期間のリスクプレミアムが瀕死にあえいでいるといえます。

その一方で……
ジェレミー・シーゲルによれば、米国株式のリスクプレミアムは一貫して6.5%だったといいます。

この数値自体には議論はあります。
しかし、長期停滞下で債券のリスクプレミアムが死んでいくなか、株式のリスクプレミアムがこれまでと同様に、債券とはまったく別個に実現されていくのか?と心配になってしまいます。

心配なんですよ、濱さん!

「(ニコニコ)金利が低いと、金利生活者は大変ですよね。お年寄りとか ……
ただ、金利が低いときはインフレ率も低いときであることがほとんどだと思います 。

株式投資については特に心配していません。
というのも、実質リターンは結局は変わらないですからね。

株式の期待リターンを、ごく基本的な式で表すとこうなります。
 株式リターン=無リスク金利+リスクプレミアム

無リスク金利がマイナスでも、リスクプレミアムが全部なくなってしまうわけではないですからね。

それに、金利が低くなっているのは先進国だけですよね。
新興国ももちろん投資先です。

むしろ、債券のリターンが取れない時こそ株式投資の重要性が増していくと思いますよ~(ニコニコ)」

目先の情勢を心配して右往左往する自分がアホに見えてくるような、ベーシックなお答えです。
いろいろ心配したところで、実際にはこう考えて投資を続けていくしかないわけです。

市場への信頼に基づき、ありのままに市場のふるまいを受け入れ最適なことをする。
貨幣というベールがどう動いたとて、資産価格形成の本質は変わらないという感じでしょうか……

仮に投資家が株式の実質リターンに不服であれば、資金を市場から引き出し現金保有を増やします。
そうなれば資産価格は下がり、期待リターンが上がります。
そうなれば資金は市場に戻り……

こんな市場の長期的な均衡を理解して、資金を最適な形で投下し続けることが、投資家にできる最も合理的な行動なのだろうと思わされます。

問題は、僕らにはライフサイクルというものがあり、命は永遠ではないということなのですが……

こう思ってしまうこと自体が、投資で何でも解決しようとしすぎ! 投資に期待しすぎ! ということかもしれません。

振り返って

あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンドをもともと強く推しており、自分のポートフォリオにも組み込んでいる身にすれば、今回のように運用会社の方に直接お話をうかがえる機会は非常に有意義なものでした。
改めてディメンショナル・ジャパンにお礼を申し上げます。

今後も、自分がよいと思った商品は積極的に推していきたい所存です。

個人的には、いまほどこの商品が求められている時期はないと思っています。

1つは、世界株式の半分を占める米国株式が実力以上に吊り上がっているという現状があります。
ありていに言えばバブルです。

株式を保有する割合を、企業規模・相対価格・収益性というファクターで常時修正をかけることによって、バブルから一定の距離を取れることがこのファンドを長期保有する大きな利点です。

バブルの足元で「バリュー株が10年間、グロース株に負け続けることは予想されたことではないが、特に珍しいことでもない」といういまからの数年が、長期投資の中でもまれに訪れるチャンスなのです。

そしてもう1つは、若年層における資産形成の必要性は高まっていくばかりだからです。

株式投資による資産形成をワンストップで任せることができ、そのうえ、常に最新の学術研究を反映してアップデートされていくという信頼感は、数千ある投資信託の中でも唯一無二のものです。

くりかえしになりますが、iDeCoやつみたてNISAへの参入に期待します。

※今回の来訪に関して、一切の金銭や便宜の供与はありません。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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