I live for my dreams,
And a pocketful of gold
おれは夢をかなえて、金の山を手に入れるために生きてきたんだ。
(Over the Hills and Far Away by Led Zeppelin)
金融経済動乱の機に、ポートフォリオに分散の力を加えるゴールドのお話です。
1973年に通貨とのリンクが切れて以降、富の形成ツールとしては、ゴールド単体では株式や債券に及ばない成績です。
しかし、ポートフォリオの一角を占めさせて定期リバランスを行っていくと、リスク・リターンともに改善させる分散力がゴールドにはありました。
当ブログでも以前詳しく記事にしました。
リターンは債券より低くリスクは株式より大きい……こんな低スペックでも分散投資で大きな力を発揮する資産のお話
今回は、日本生命グループのシンクタンクであるニッセイ基礎研究所の記事をもとに、ゴールドへの具体的な投資手段を比較検討していきます。
長期投資、レバレッジ投資、コスト差……全部まとめて理解しよう
金への各種投資方法と注意点-基本的な仕組みについて
ゴールドへの投資方法が手際よくまとまっていきます。
個人投資家がゴールドへの投資手段は5種類です。
・ETF
・現物保有(純金積立含む)
・先物
・CFD
①投資信託
一般の証券会社や銀行等の金融機関で、小額から気軽に購入できます。
金価格はドル円の為替に左右されますが、為替をヘッジした商品もあります。
為替ヘッジにはコストがかかりますが、経済ショックなどで円高に振れやすい時期にゴールドのヘッジ力を期待して購入する場合には、為替ヘッジありの商品が適当です。
おすすめ商品は
(ヘッジあり)
SMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジあり)
(ヘッジなし)
三菱UFJ 純金ファンド
②ETF
ゴールド投資において、保有コストが最も低い形態がETFです。
東京証券取引所上場のETFであれば、一般の証券会社で購入できます。
SPDRゴールド・シェア(1326)がおすすめです。
1326は1株の価格が15,000円を超えており、小額からの投資はしにくいです。
国内主要ネット証券で購入できる海外ETFのSPDRゴールド ミニシェアーズ(GLDM)であれば小額から投資できます。
2020年3月13日現在で1株の価格が15.19ドル、1,600円ほどです。
③現物保有
貴金属販売の業者から個人的に購入するか、積立投資を提供している業者を利用することで現物の金を保有することができます。
投資信託やETFは金現物と交換することはできません。
この先「北斗の拳」のようなマッドマックスのような世界になることがあれば、金現物を持っていることは大きなパワーとなるかもしれません。
ただし保有コスト・売買コストはもっとも大きい形態です。
④先物
東京商品取引所に金先物が上場されています。
商品先物取引業者のほか、楽天証券でも取り扱いがあります。
先物は精算される期限(限月)が決まっており、投資を継続するには本来買い替える(ロールオーバー)必要があります。
ゴールド100という商品を使えば、自分でロールオーバーする必要がなく取り扱いが楽です。
最大で資金の40倍程度の額を保有するレバレッジ取引ができます。
⑤CFD
先物と同じくレバレッジ取引ができます。
取引所に上場している先物を売買するのではなく業者との相対取引となるため、信用力や手数料に注意して業者を選ぶ必要があります。
投資商品選びの考え方
不測の事態への備えであれば別ですが、資産運用としては売買のしやすさ・税金面を考慮して、まずは投資信託かETFの利用がのぞましいです。
①長期分散投資の場合
コストにそう大きな差はないので、使い方で選びます。
長期でのんびり保有していくなら投資信託、売買の機動力を重視するならETFを選びます。
②レバレッジを使う場合
ゴールドは一時のヘッジ目的と割り切り、資産効率を重視するならレバレッジ取引ができる先物かCFDを検討します。
先物とCFDでは商品の形態が微妙に異なります。
先物は東京商品取引所に上場している商品で、どの業者で売買しても変わりません。
CFDは個々の業者が独自に金価格との連動をうたって提供している商品です。
金価格に連動した値動きを、業者が先物を使って実現しているわけです。
自分で先物を売買した方が業者に払う分が少ないだけ、コストは低くなります。
コスト面では先物取引のほうが有利です。
先物と投資信託・ETFを比較すると、運用成果にわずかな違いが生じます。
先物は将来価格との差を「キャリーコスト」という形で負担する必要があるので、コスト面では若干不利と言われます。
金先物と現物保有の投資信託・ETFを比較した研究などは見つかりませんでしたが、株式・債券についての調査が参考になります。
ベンチマーク連動を狙った先物運用
約20年前のペーパーですが、ニッセイ基礎研究所が株式・債券のインデックスおよびインデックスファンドと、先物を利用した場合の運用成績を比較したものです。
表内の「ミスプライシング要因」という項目が現物と先物の差です。
株は現物投資が有利、債券は先物投資が有利でしたが、いずれもその差は年間で-0.5%~+0.8%と、レバレッジをかけられる利便性を考慮すればそう大きい差ではありません。
ゴールドは株式とも債券とも違う値動きをするので、「ミスプライシング要因」がプラスにふれるかマイナスにふれるかはその時々のトレンドによります。
ゴールドが将来上がっていきそうな情勢ならキャリーコストを払い、下がっていきそうな情勢ならキャリーを受け取ることになります。
投資信託・ETF投資より不利になる場合があるにせよ、年1%程度のコストでレバレッジ運用ができるのは悪くありません。
レバレッジ2倍の運用では大きく見て年2%のコスト増なので、株式の信用取引の金利より安いわけです。
レバレッジ2倍程度なら、リーマンショックを大きく超えるような規模の経済ショックでもない限り、証拠金を追加することにはなりません。
レバレッジを利用することで浮かせた資金を株式や投資信託などで運用でき、資金効率が改善します。
僕も個人の運用では楽天証券でゴールド100を利用して長期ゴールド投資を行っています。
まとめ
世界から金利が消えつつあり、債券投資も長期的にはリターンをほぼ見込めない情勢となってきました。
債券からの利息収入、およびそれに由来する売買差益が見込めなくなったいま、株をヘッジする商品として、債券との比較で利息収入を生まないという金の不利な点が消えています。
過去の歴史ではゴールドは株や債券ほどのリターンを生みませんでしたが、ポートフォリオの一部をさき定期リバランスを行うと、ポートフォリオのリスク・リターンともに改善しました。
経済の先行きが不透明な現在、ゴールドはまだ上がりすぎとは言えない水準にあります。
ポートフォリオの10%~20%程度で保有することが勧められています。
長期投資では、コストの低い投資信託やETFの利用がおすすめです。
資金効率を改善して、より大きな運用成績を追求する方には先物取引が使えます。
債券からのリターンが見込めない時代には、当然株式のリターンも以前に比べ低迷します。
より繊細に、かつ大胆に投資運用をブラッシュアップしていくことで、この難局を乗り切っていきましょう!
ゴールド投資がお役に立てば幸いです。
人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!
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