ニュースサイト「現代ビジネス」でこんな記事を読みました。
もう支えきれません…「高齢者の高齢化」が日本人に襲いかかる
高齢化が年金制度の持続性にどうかかわってくるかを検証した新書が発売されたそうで。

個人的には「団塊ジュニアが死に絶えるまで財政で補填し続ければよい、デフレ脱却にも役立つし一石二鳥」という感じなのですが、それはさておき、記事の中の1枚の図面が目に留まりました。



生産年齢人口が減ってゆく、いわゆる「人口オーナス期」を1990年に迎えた日本では、それが関連してかどうなのか、以来株式の収益が全くさえません。
1989年年末に2884.80ポイントに達したTOPIXは、いまだ4割引きの水準に甘んじています。

世界各国の株式も含め、人口ボーナス・人口オーナスと株式投資収益の関係を調べてみました。
はたして関係ありや、なしや?

先進国はみな人口オーナスに苦しむ、なかでも日本はフロントランナー



人口ボーナス・人口オーナスという用語の意味を確認しておきます。

人口ボーナス期とは、総人口に占める「生産年齢人口 (15歳~64歳の人口) 」が増え続ける、もしくは「従属人口 (14歳以下と65歳以上を合わせた人口) 」に対しての比率が圧倒的に多い状態を指す。安価で豊富な労働力があり、従属人口が少ないため、教育費や社会保障費の負担が少ない状態といえる。そのため、国家予算を経済政策に振り向けやすく、また他国からの投資を呼び込めるので、経済が活性化するのだ。

一方、人口オーナス期は、人口ボーナス期の逆を意味する。一般的に、人口ボーナス期で経済発展に成功した後、医療や年金制度が充実して高齢化が進み人口オーナス期に突入する。オーナスとは、「重荷・負担」という意味だ。「支えられる人」が「支える人」を上回り、社会保障費などが重い負担となるため、消費や貯蓄、投資が停滞する。
人口ボーナス期と人口オーナス期 労働人口増加で成長する新興国とは


総務省自治行政局:自治体戦略2040構想研究会(第1回)事務局提出資料

1990年以降でみると、先進国の多くが人口オーナス期に突入しています。
日本・フランス・ドイツ・イタリアは一直線の急降下です。

特に日本は最悪です。
2055年には半分の人口で国全体を養わなければなりません。

総人口は増え続けていく米国や、イギリス・カナダでも2010年ごろをピークに急激に生産年齢人口は減っていきます。

一方、新興国はばらつきがみられます。
韓国・シンガポール・タイ・中国は日本以上の急角度で下降していく一方、インドネシア・インド・フィリピンは人口ボーナス期がこれから約20年にわたって続きます。
活気に大きな違いが出てくるわけです。

このような条件が、株式市場の成績にどのように関係してきたのでしょうか……?

生産年齢人口が減っていくと、株式の収益は「○○○」



1996年から2019年にかけて、上のグラフから目視で各国の生産年齢人口率の増減を拾いました。
株式の収益は各国のMSCI ETF各国通貨建てトータルリターンを用いました。

生産年齢人口率の増減と株式収益の相関は約0.58です。
相関があると言えばあるという感じでしょうか。
生産年齢人口減➡経済成長停滞➡株式収益の低下という経路は、一般的な通念には合致する感じです。


新興国は各国のMSCI ETFが出そろった2010年以降を調べました。
相関は約0.72と、先進国を上回る相関がみられました。

ごくかんたんな調査ですが、思った以上にはっきりとした相関が出て驚いています。

「人口ボーナス期」に着目して投資するなら!

とはいえ、そもそも調査自体がきわめて雑であるという点は否めません。
本来は生産年齢人口の増減率・株式収益とも長期のデータを見ないと何とも言えないところです。

たとえば、2010年~の新興国の表に先進国も含めて計算すると、相関の数値はマイナスになります。
決して確度の高い指針ではないことは強調しておきます。


そのうえで、今後人口ボーナス期を迎える国を当たってみると……

①中東
2009年以降、人口ボーナス期に突入しているのがトルコだ。総人口約7,800万人、平均年齢は約30歳といわれており、若い世代が充実している。
イラン、サウジアラビアなども本格的な人口ボーナス期に入っており、2040年代まで継続が見込まれる。

②アフリカ
アフリカ諸国は、今後本格的な人口ボーナス期を迎えると見込まれている。南アフリカ共和国は2025年から、エジプトは2033年から、それぞれ人口ボーナス期が最も活発化する期間に入るとみられる。アフリカ全体では人口ボーナス期が2090年頃までゆるやかに続くと見込まれている

③中南米
メキシコは、総人口約1億2,000万人に対し、生産年齢人口は63.6%、平均年齢は約28歳といわれており、2020年代に人口ボーナス期のピークを迎える予定。
中南米地域全体では2033年まで継続する。

④アジア
今後、人口ボーナス期を迎える国で、人口総数が1億人を超える国としては、インドネシア、フィリピン、インド、パキスタン、バングラデシュの5カ国が挙げられる。これらの国は今後本格的な人口ボーナス期を迎え、2040年~2060年頃まで継続すると見込まれる。
(以上人口ボーナス期と人口オーナス期 労働人口増加で成長する新興国とはwikipediaより)

⑤投資に活かすには
単一国に投資するなら
ウィズダムツリー インド株収益ファンド(EPI)
iシェアーズ MSCI メキシコ ETF(EWW)
iシェアーズ MSCI 南アフリカ ETF(EZA)
iシェアーズ MSCI インドネシア ETF(EIDO)
iシェアーズ MSCI フィリピン ETF(EPHE)
iシェアーズ MSCI トルコ ETF(TUR)

人口ボーナス地域に投資するなら
ウィズダムツリー 中東株配当ファンド(GULF)
ヴァンエックベクトル アフリカ インデックス ETF(AFK)
iシェアーズ MSCI フロンティア 100 ETF(FM)

これらの米国ETFが国内ネット証券で購入できます。
トルコは激安たたき売り状態ですが、それ以外でもインドネシア、南アフリカ、フロンティア市場は少しずつ買い進めてよい水準にあると思います。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

(参考文献)

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