突然ですが、ぶしつけにおうかがいします。
お給料は、足りていますか?

あなたがの “はたらき” の成果や手応えに見合うくらい、そして望む生活が実現できるくらいの給与が支払われていると “感じて” いますか? という質問です。

答えを胸の中に思い浮かべていただきつつ、世間一般のお給料を数字で見てみましょう。

25歳~29歳男性の平均年収:393万円
30歳~34歳男性の平均年収:457万円
35歳~39歳男性の平均年収:512万円

若手~ミドル層の平均的な年収はこの通りです。
産休・育休による勤続年数の中断が比較的少ないという意味で、男性の年収に着目しています。

お住まいの地域によってどうしても差は出ますので、単純にこの数値より上・下で一喜一憂される必要はありません。
平均値は少ない高所得者に引っ張られるので、実際の “真ん中らへん” の給料はもう少し低くなります。

平均給与の水準で見ていくと、平成初期のバブル崩壊以降長期下落傾向にありましたが、2009年を境に上昇に転じました。
それでも現在、2003年以前の給与水準にはまだ負けており、17年以上年次が上の先輩たちは、相対的に私たちより良い給料をもらってきました。

そして、残念ながら今回のコロナ禍で再び給与停滞がおこるのは明らかです。

17年前より給料が下がっているという日本の実績は、世界の先進国の中でも際立ってお粗末なものです。
こうした悲惨な状況になっていることには当然ながら理由があります。

日本経済は成長していないという話がよく耳に入ってくるかと思います。国の経済を代表する指標が“GDP(国内総生産)”です。

GDPは“国民全員の所得の合計”でもありますから、これが伸びない世界では労働争議をバッキバキにやって取り分を増やさないかぎり、私たちの給料は伸びません。

全体のパイが大きくならないなかで、“パイの切り分け方”が、実は私たちにとって少しずつ不利になっているから給料が停滞しているのです。

現在400万円の年収をもらっている人が“464万円もらえる世界線”がありえた

先ほど、この17年間私たちの給料は上がっていないとお伝えしました。
このことをふまえて、次のグラフを見てください。



資本金10億円の企業というと、“ドトールコーヒー” や “オリコン”、ドレッシングで知られる “ピエトロ”、コロナ禍で脚光を浴びる “出前館”、正露丸の “大幸薬品” などの大手企業が該当します。

企業が得た事業の収益(売上からコストを引いた分)の使い道は、従業員の給与(人への投資)、設備投資(物への投資)、そして“株主への配当”という形に分けられます。

日本の大企業は2002年を境に、株主に支払う “配当金” をハイペースで増やしてきました。
毎年3兆円程度から2018年には19兆円程度まで、その差16兆円という激増ぶりです。

この間、同じく資本金10億円以上企業の人件費は総額50兆円前後に抑えられてきました。
仮に配当増のペースを半分くらいに収め、人への投資に回していれば、私たちの給料はこの間に16%ほど伸びていた計算になります。

現在400万円の年収をもらっている方が、実は464万円もらえる世界線がありえたと考えると……やるせない、という言葉が適当でしょうか。
裏を返せば、私たちが一生懸命働いて稼いだカネが、こんなにも株主様に付け替えられてきたわけです。

ここまで、株主と経営者が別人である大企業についてのお話をしてきました。
が、これは中小企業にお勤めの方にも同様に影響している話です。

次回にそのご説明と、“年収+64万円の世界線”に近づくための方法をお話しします。
ぜひお付き合いください!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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