前回の記事
あなたの給料はずっと“盗まれ続けている”! 合法的に取り返すたった一つの方法とは? ①私たちには“年収+64万円の世界線”がありえた!(怒)
の続きです。

“バブルの後始末” と “金融ビッグバン” の代償が押し付けられた



前回の記事で参照した、“大企業の株主配当がいかに激増してきたか”を示すグラフです。

日本の大企業は2002年を境に、株主に支払う “配当金” をハイペースで増やしてきました。
毎年3兆円程度から2018年には19兆円程度まで、その差16兆円という激増ぶりです。

この間、同じく資本金10億円以上企業の人件費は総額50兆円前後に抑えられてきました。
仮に配当増のペースを半分くらいに収め、人への投資に回していれば、私たちの給料はこの間に16%ほど伸びていた計算になります。

現在400万円の年収をもらっている方が、実は464万円もらえる世界線がありえたのです。

企業の収益が社員から株主へ移転する流れが2002年近辺に起こった背景には、 “バブルの後始末” と “金融ビッグバン” があります。

昭和末期の不動産バブルで大きな痛手を負った金融機関は、同じく傷んでいる一般事業会社(金融機関以外の会社)から強引に融資した資金(債権)を取り立てる “貸しはがし” と、資金繰りのための融資を渋る “貸し渋り” をせざるを得ませんでした。
自分の身を守るためです。

一般の事業会社は金融機関に愛想をつかし、身を守るため“株式発行による資金調達”を活発に行うようになります。

必要な資金を株式市場から得るためには、投資家から高い評価を受け、“業績がよく、株価が上昇して儲けさせてくれるこの会社の株を買いたい!”と思わせる必要があります。

そのための1つの武器として、配当を増加させる企業が続出しました。
配当の増加は、経営が順調で先行きが明るいことを示すシグナルだからです。

同時に “金融ビッグバン” とよばれる金融制度改革が実行され、それまで習慣として広く行われていた “株式の持ち合い” が禁じられました。

親しい企業同士がお互いの株式を持ち合うことで事実上株式市場から “消えていた” 株式が放出され、その株を保有・売買して儲けたいという意欲のある株主の元へと移っていきました。
その株主には外国人機関投資家も含まれます。

外国人機関投資家は “モノ言う投資家” と称され、日本企業は “経営に注文を付けられる” という厳しいプレッシャーを受けることになりました。
“投資に回さない現金を抱えているのはムダだから、配当として投資家に還元しろ”という要請に応じる必要があったのです。

こうして日本企業は “グローバルスタンダード” の作法を身につけていき、その代償が私たちに押し付けられ給料が抑えられてきたわけです。

何ということだ。

いまのところ、この流れが巻き戻る兆候は世界のどこにもみられません。

あなたの給料はこんなふうに決まっている

経済全体の話をしてきましたが、個別企業の給料の決まり方は当然、その企業の一存です。
ただし、“社会の状況” から逃れることはできないのもまた当然です。

ある企業の給与テーブルや年度ごとの給与の上下は当然、あくまでその企業の業績や利益に基づいて決められます。

とはいえ、さまざまなライバル関係の網の目の中で企業経営が行われている以上、究極的には

“ライバル企業や他業種へ有望な人材が流出せず、かつ当社での業務をサボったり不正をもくろんだりしない水準ギリギリの給与”

として、決まってくるわけです。

経営者だって社員だってよその会社の給料を見ています。
むやみに大盤振る舞いしたりケチったりするようなことは、合理的な経営者が切り盛りする企業では起こりません。

給料が企業の業績と年功序列や成果主義といった企業文化と、ライバルや他業種ひいては世界経済といった “外部環境” との掛け算で決まるということは、ご承知いただけると思います。

一般的には社外の株主に配当を支払わない中小企業でも事情は同じです。

“大企業で勤務する社員の給料を株主への配当に付け替える” という動きが一般的になり、押さえつけられた大企業の給与水準が、人材を獲得するうえでのライバルである中小企業の給与水準をも押さえつけてきたことは明らかです。
まったく他人事ではありません。

しんどい話をしてきましたが、これでようやく下準備は整いました。
あなたの “増えたはずの給料” を補填していく方法をこれからお伝えしていきます。

やられたらやり返す……株主になるんだ!

ひと言で言えば、
“あなたの給料が押さえつけられてきたのは、社員のはたらきが配当という形で株主に付け替えられてきたからだ”
これを逆手に取り、あなたが株主になってしまえばよいのです。

あなたを含む社員が働いて生み出した儲けの一部を、株主という地位を得て配当という形で取り戻すことができます。
この時代のはたらき手すべてを覆っている抑圧を、その一部ではありますが、あなたの手で無力化するのです。


2002年以降、日本企業の配当は国内にとどまらず世界中の投資家の手にわたってきました。
2002年に投資家が購入した日本株式は、2020年7月27日には約1.83倍に成長しています。
ここで売却すれば、年率3.5%のリターンを得る運用ができたという計算になります。

株式会社のしくみは世界共通ですから、あなたは世界中の株式をに投資することで、世界中の企業の儲けからあなたの給料を補填することができます。
いまやスマホで100円から、世界中の株式に投資できる時代です。

2002年に投資家が日本・米国・欧州・新興国(中国・インド・ブラジル・ロシアなど)の株式をそれぞれ同じ金額ずつ購入していれば、その価値は2020年7月27日には約2.75倍に成長しています。
ここで売却すれば、年率6.0%のリターンを得る運用ができていました。

仮に18年間、毎月2万円ずつの積立投資を行っていたとすれば、積立総額420万円が698万9,200円に成長し、278万9,200円の利益が得られた計算です。


ファンドの海 より)

前回 “現在400万円の年収をもらっている方が、実は464万円もらうことができた世界線” がありえたというお話をしましたが、これにあてはめると約4年4カ月分を取り戻せたことになります。

“やられたらやり返す……株主になるんだ!” という感じですね

“投資はギャンブルで怖い” という言葉をよく耳にします。

一時的に大きく減る可能性は常にあり、それを恐れるのは当然です。
しかし、恐れてばかりでは盗まれ続けるだけだということをあなたは知ってしまいました。

大きく減らないような堅実な投資手法もあります。
これから一緒に勉強していっていただけたら、うれしいです。

今回は企業と株主と社員の関係をふまえて、あなたの給料を取り戻す方法についてお伝えしました。
証券会社に口座を開き元金100円から投資信託を購入することで、手軽に気楽に “やられたら、やり返す” にチャレンジしてみませんか?

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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