2020年初からの運用成績で、米国株式(S&P 500)・米国除く世界株式・米国総合債券をしり目に好成績を収める、ゴールドへの投資について全2回・計15分で完全理解しよう! の後編です。
前回の記事はこちら
1オンス2,000ドル突破記念 ゴールド投資を全2回・計15分で完全理解しよう! ①ゴールドは「カバンに入れっぱなしの折りたたみ傘」のように機能する

今後、ゴールドの出番は続くか? vs 株式・債券

ゴールドが株式・債券がマイナスの時期に輝きを示すという性質は、株式市場や債券市場との相関性が低いということを意味します。

新型コロナウイルスによる実体経済・金融市場の不透明性は、以下のようなさまざまな不安を投資家の間に呼び起こしています。

①デフレ
②企業・国家債務および住宅ローンの返済懸念
③経済成長が回復してきた際の資産バブル・高インフレ


いずれの局面も、株式・債券市場の動揺を生みかねない一方、ゴールドが脚光を浴びる可能性が高くなります。

ゴールドが株式のカウンターをとる性質がはっきりと表れているのが下のグラフです。


https://seekingalpha.com/article/4315341-expectations-for-next-decade より転載)
米国株式(S&P 500)の評価とゴールド価格の関連を示したものです。

株式の評価はCAPE(10年平均EPSを分母としたPER)の逆数をとった株式益回りを用いています。1株当たり利益の株価に対する割合で、株式益回りが高いほうが株式の収益性が高い状態を示します。
株式益回りの推移(青の折れ線)と、ある年から10年間の“米国株式がゴールド価格を上回った分のリターン”(橙の棒グラフ)を併せて1枚のグラフに表示しています。

株式益回りが高い時は、おおむねその後10年間の株式運用成績はゴールドを上回ってきました。
1940年代~50年代前半、および1980年代がこの状況にあたります。

一方、株式益回りが低下していくと株式の運用成績はゴールドを下回っていきます。
1960年代~1970年代、2000年代前半がこの状況にあたります。

ゴールドはゴールドの都合で動く部分がありつつも、株式を評価が割高の時期に購入してしまえば、その後10年間ではゴールドにあえなく敗れてきたのです。
グラフはすでに2010年代前半から、ゴールドが株式を凌駕する可能性が高いフェーズに入っていた可能性を示しています。

新型コロナウイルスは、大規模金融緩和を呼び “利息を奪う” という形で債券投資の魅力を激しく損ないました。
債券がこの体たらくである以上、「利息を生まない」という理由でゴールドを忌避することはむずかしくなっています。


先進国の10年国債金利はイタリアを除いて1%以下に張り付き、欧州ではマイナスに落ち込んだ国もあります。
利息を極限まで削られた債券はもはや現金と同等です。

これは、株式と債券に分散したバランスポートフォリオが実質的に “小規模な株式ポートフォリオ” となってしまうことを意味します。
そのうえ、その現金同等物はインフレの再燃あるいは信用危機の際には大きな損失を発生させる可能性を持っているのです。

債券との比較で、ゴールドは明らかに魅力を増しています。

ゴールド投資の方法

ゴールドは株式や債券といった資産とは“質の異なる安全性”に基づく価値保存力が資産価値の源泉なので、ゴールド固有のファンダメンタル、つまり割高・割安を判断する手がかりがありません。
割り切ってポートフォリオに入れっぱなしにし、毎年リバランスする程度の扱いが適当です。

兼業個人投資家がゴールドを活用するには、

①投資信託・ETFをポートフォリオの10~20%程度、長期保有する
②メディアで「完全雇用」「景気サイクルの後半」といった言葉を見かけるようになったらポートフォリオの10~20%程度購入し、相場の下落局面で売って株式に乗り換える

といった方法がおすすめです。

個人投資家がゴールドへの投資手段は5種類です。

・投資信託
・ETF
・現物保有(純金積立含む)
・先物
・CFD


①投資信託
一般の証券会社や銀行等の金融機関で、小額から気軽に購入できます。
長期保有の場合はヘッジなしの商品が定石ですが、経済ショックなどで円高に振れやすい時期にゴールドを株式・債券に対するヘッジ力を期待して購入する場合には、コストは上乗せとなりますが為替ヘッジありの商品が適当です。

コスト最安のおすすめ商品は
(ヘッジなし)
ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)

②ETF
ゴールド投資において、保有コストが最も低い形態がETFです。
東京証券取引所上場のETFであれば一般の証券会社で購入できます。
SPDRゴールド・シェア(1326)がおすすめです。

1326は1株の価格が18,000円を超えており、小額投資には不向きです。
国内主要ネット証券で購入できる海外ETF・SPDRゴールド ミニシェアーズ(GLDM)は小額投資向きで、2020年7月24日現在で1株の価格が18.95ドル、2,000円ほどです。

③現物保有
貴金属販売業者から購入するか、積立投資を提供している業者を利用することで現物のゴールドを保有することができます。
投資信託やETFは金現物と交換することはできません。

この先、漫画“北斗の拳”や映画“マッドマックス”のような世界になることがあれば、現物のゴールドを保有していることは大きな力となります。
ただし保有コスト・売買コストがもっとも大きい形態です。

④先物
東京商品取引所に金先物が上場されています。
商品先物取引業者のほか、楽天証券でも取り扱いがあります。

先物は精算される期限(限月)が決まっており、投資を継続するには本来買い替える(ロールオーバー)必要があります。
ゴールド100という商品を使えば、自分でロールオーバーする手間が省けます。
最大で資金の40倍程度の額を保有するレバレッジ取引ができ、筆者はこの商品を利用しています。

⑤CFD
先物と同じくレバレッジ取引ができます。
取引所に上場している先物を売買するのではなく業者との相対取引となるため、信用力や手数料に注意して業者を選ぶ必要があります。


新型コロナウイルスで大きなダメージを抱えた世界経済は今後の長期停滞を避けることはほぼ不可能です。
分散投資におけるゴールドの利用価値はこれまで以上に高まる可能性があります。
不透明な世界を乗り切る力として、ゴールドの輝きを取り入れる一助となれば幸いです。

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

(参考文献)
Why Everybody Should Own Physical Gold
 

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