数万円で、えらい人にだる絡みできる「もっとえらい人」になれます
毎年初夏、5月から6月にかけてのことです。全国各地で、判で押したようにそっくりな、珍妙な光景が見られます。
小さなセミナールームの場合もあれば、数千人を収容する巨大ホールで目撃されることも。壇上には高級スーツに身を包み、いい感じに仕上がった紳士・淑女がずらり勢ぞろいしています。
普段は人をあごで使っている彼らが、その日ばかりは次々と浴びせられる意味のわからない難癖を、汗をふきながらひたすら聞いて聞いて聞きまくる。人格否定のような暴言にすら感謝の言葉をのべ、深々と頭を下げます。
鉄道会社の社長が、子会社の野球チームがなんでこんなに弱いねん!どうにかせんかい!となじられ謝罪。携帯電話会社の幹部が、CMがライバル社の白い犬に比べてつまらないとのダメ出しにかぼそい言い訳。クッソだるい絡みですよね。
これは株主総会、会社のオーナーが経営者に文句を言う場面です。
自転車店で自転車を買った人は、その自転車のオーナーとなり、自由に乗ることができます。それと同じように、会社の「株」を買った人を「株主」といい、会社のオーナーとなります。まるっきり自由とはいかないものの、経営者に意見を言うことができるようになるわけです。
株主は、お金を渡した人なので、えらいんです。
たとえ、ほんの数万円分の株主だとしても、数万円分はえらいのです。
でも、きっと大企業の社長さんに個人的に数万円渡したところで、難癖をつけ始めたとたん取り巻きにほっぽり出されて終わり。そもそも社長さんにとっては数万円ぽっち、受け取ってすらもらえないでしょう。
株主総会でそれが許されるのは、会社というしくみが激しくお金を必要としている、お金の貴重さがものすごく高い場所だからです。
これはいったい、どういうことなのでしょうか?
株主のえらさたるや……
この記事はこんな人が書いてます。プロフィール
あなたと75億人をつなぐ「お金のマッチング」アプリ
前回の記事で、お金を激しく必要としている人にお金を渡して見返りを得ることは「儲ける」ことで、「働く」こととは違ったお金を得る方法、すなわち「投資」なんですよというお話をしました。
そして、そのためには、「お金の余裕」「時間」「相手の目利き」が必要で、これが投資の本質だとお伝えしました。
ただし、前の2つは自分しだいで何とかできますが、「相手の目利き」がむずかしい。激しくお金を必要としていて、そのうえで情熱と能力がある有望な人を見きわめないといけません。
あなたがお金を儲けたいと思っていて(儲けたいですよね?)、自分の余裕のお金を有望な人に渡したいと考えているとします。
地球には75億人もいるので、そういう人は決して少なくないはずです。が、都合のいい時に、自分のまわりにいてくれるとは限らないですよね。
だから、これはマッチングの問題です。
お金の出し手と使い手をつなぐ、とっても手軽なマッチングアプリが「株式市場」なんです。
ここまでで、実は大事なことを1つ飛ばして進んできました。お気づきでしょうか?
「会社というものが、激しくお金を必要としていて、情熱と能力のある有望な相手である」ことを、さも当たり前のようにお話ししてきました。ここを押さえないと、あなたの大事なお金を渡せないですよね。きっちりやっていきましょう。
会社=お金と考えてみる
サラリーマンだったとき、僕はあまり鋭いほうではありませんでした。
仕事は並より少々ましくらいの感じでやれていた(と思いたい)のですが、視点を変えて仕事の意味や勤め先のこと、さらには会社というしくみ、社会のなりたちなんかを深く考えるようなことはあんまりなかったです。
当時の僕のようなサラリーマンが日々メシを食うというレベルでは、会社はまず「働き、給料を得る場所」です。その先に、自分にとっての「仕事のやりがい」や「成長」のような「意味」が付け加わったりします。
一方、会社は社長や専務といった役員と従業員が、知恵とからだを使ってモノやサービスを売る、商売をするための器(うつわ)です。この器は、実際には3つの要素でできています。
1つ目が「元手」です。オーナー(株主)が出したお金で、商売道具や売るものの原材料を買ったりできます。買ったものも元手になります。
2つ目が「労働」です。モノを作ったり売ったり、サービスを提供したりするための作業のことですね。役員と従業員のがんばりです。
3つ目が「土地」です。オフィスや工場、畑のような仕事場ですね。
と、この3つですが元をたどれば全部「お金」なんですよね。
「元手」はお金そのものです。そして、お金で従業員をやとって「労働」してもらい、仕事場が手狭になればお金で新しい「土地」に広い仕事場を作ったりできます。
ですから、
器、つまり会社=お金とざっくり考えていいように思います。※1
会社=お金と考えると、株式市場の役割や、株式に「投資」するということがわかりやすくなるんです。
もうちょっとだけ続きます。
会社には、情熱と能力がある
経営者の多くは、器を年々少しずつ大きくし、より多くのモノやサービスを売りたいと考えています。これにはさまざまな理由があります。
・器が大きい方が経営が安定したり、会社の名前が知られて商売しやすくなったりする
・扱っているモノやサービスに自信があり、商売を大きくすることが人々の役に立つと考えている
・器を広げることは競争に勝っているということ、その達成感を会社全体で共有したい
こんな理由が考えられます。器を広げるばかりでなく、器を作り出す、つまり起業をする場合も同じです。人の役に立つことで自己実現したい、多くのお金を得たいということですね。
これが、会社というものが帯びている情熱です。
情熱がほとばしりすぎてサイヤ人化
株式市場でマッチングできる、株が買える会社(上場会社)は、小さな会社に比べると優良である可能性が高いです。
・上場会社になるためのさまざまな基準を満たしているので、経営が安定していて、あくどい商売や法律違反をしている可能性が低い
・上場会社になるということは、株式を発行してお金をもらい、商売の資金にするということ。もっと大きくできるような成長中の商売をやっている、または新しく始めたい商売があるということを意味する
こうした理由から、上場会社はお金をかせぐ能力がある集団であるといえます。
もちろん、全部が全部とは言えませんが……。※2
会社=お金であり、会社には自分を拡大したいという情熱がある。そして、会社にはお金をかせぐ能力がある。
だから会社は激しくお金を必要としていて、お金と、その出し手である株主がとても貴重なものとして扱われているんです。
無理難題でも話を聞くだけは聞いてもらえるし、なにより配当がもらえます。会社が情熱と能力を発揮して、お金をかせいで成長していけば、株価が高くなった時に売って儲けることができます。これが、「会社」というものを信じて投資をした方がいいと、僕が考える理由です。
株式投資=ギャンブル?
会社を信じて投資をすることでお金を儲けることができそうだ、というお話を一緒に見てきました。ただ、これから実際に投資をするには、もう一山超えないといけません。それは何かというと……
日本の働き手の84%が、会社の中で働いています。僕たちの生活を支える基礎になっているしくみです。
なのに、会社に投資をすることはギャンブルだと言われています。
会社で働くのは堅実なことなのに、会社のオーナーになるのは賭け事と。これはどうしてなんでしょう?
こんなふうにならないための、次回です
次回、会社と株式市場について掘り下げていきます。それで株式投資=ギャンブルという思い込みが変わるかどうか……一緒に考えていきましょう。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
Stay tuned!
※1 厳密に言うと、たとえばある会社と同じだけのお金を用意すれば同じ会社が作れるかというと、それはできません。まったく同じ土地、まったく同じ人を用意することはできないからです。企業の価値を「お金で表す」ことができる、というのが正確で、表された金額以上のお金を用意すれば、会社を買うことはできます。
※2 中小企業でもお金をかせぐ能力が高い会社もあれば、上場会社でも能力が衰えてきている会社もあります。投資をするときに「ダメな上場会社」をどう取り扱うかも、今後考えていきます。
(参考文献)
労働力調査(詳細集計)平成29年(2017年)平均(速報)
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