「セルインメイ」は、株式市場参加者の間で古くから言い慣わされている決まり文句です。

Sell in May and go away.
株は5月に売っぱらって遊びに行ってきな。

株式市場が5月~11月にかけて調子が悪くなることが多いという経験則です。

この時期には毎年話題になりますが、今年はこの決まり文句がまた格別な意味合いを持ってきそうです。

一緒に考えていきましょう。

日米株式市場の現況



①コロナショックを経た現在は再び割高に
米国株式を代表する指標がS&P 500です。
S&P 500に連動するETF“SPY”をみると、実績PERが約21倍、10年平均PRR(CAPE)が約27.5倍という水準で4月を終えました。

過去の平均実績PERは約17倍、平均CAPEは20倍程度です。
3月23日の大底から31%の上昇をみせ、コロナショック前から12.5%下落の水準まで持ち直した現況で、米国株式は再び割高となっています。

ここで米国の大物投資家であるハワード・マークスのコメントを引きます。
「2月19日の史上最高値から15%しか下がっていません。世界は15%以上混乱しています」

②米国株式をスタイル分析
景気後退を伴う株式市場の大幅な下落の際、その回復期には「小型株」「バリュー株」がリードすることが知られています。

これをふまえて、2月19日以降の米国株・日本株の動きを検証してみます。


青:S&P 500 橙:小型株 黄:バリュー株 紫:グロース株

小型株・バリュー株いずれもS&P 500に負けています。
バリュー株の圧敗ぶりは悲しいばかりです。


数値で確認すると、上昇期には一応小型株・バリュー株がリードしていたことはわかります。
ただし下落期に下げすぎている反作用にも見え、しかもそれが弱いわけです。

なぜ小型株・バリュー株が株式市場回復をリードするのかという点ですが……

小型株ポートフォリオに含まれる銘柄は、グローバル展開をしている大企業に比べ財務基盤が弱かったり、事業の幅が狭く経済ショックに弱かったりという面が往々にしてあります。

これが景気後退による業績ダメージを大きくし、株価が大きく下がります。
この反動で、回復期には業績が「赤字から黒字」「大幅減益から増収増益」へと大きく振れ株価も大きく上昇するわけです。
加えて、そもそも時価総額が小さいので比較的少ない資金で株価が上がりやすいです。

バリュー株ポートフォリオについては、おもに金融・エネルギー・一般消費財などの「景気敏感セクター(業種)」が多く含まれます。
株式市場下落の際には大きく下がりますが、回復期には大きなリカバリーを見せます。

通例の株式市場の回復と異なり、小型株・バリュー株がリードしきれてない現況は

まだ本格回復ではなく、このまま上昇気流に乗っていけるとは限らない

ということを意味しているかもしれません。

実状はGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)で40%以上を占めるメガグロース株がショックのダメージコントローラーと目され、資金を集めて市場平均を上回っています。
社会的距離が引き続き懸案となっていくアフターコロナの世界でも、ますます重要性を増すと考えられている企業群です。

③日本株式はどうなっている?


米国同様に小型株・バリュー株の弱さが目立ちます。
バリュー投資家はどこでも本当に報われません。

この時期は意外にもTOPIXが健闘していました。
日経平均はグロース株寄りでこの時期はTOPIXを下回りましたが、長期的にはTOPIXとの差を広げ続けています。

いま日本で生活していて、政府の対応が極めて鈍くこれからさまざまな産業で倒産が続出し失業が爆増することを予感していない人はいまないでしょう。

景気は奈落の底へ墜落し、最低でも2年程度は社会的距離を意識しコロナと共存していかざるを得ない世界で、経済がどのようなペースで回復していくかも見えません。

つまり、いかに株価が先行指標であったとしても、本来、先に待っている景気回復を織り込める状況ではありません。

中央銀行・政府の大規模経済政策がショックで墜落した株価を強引にかつぎ上げましたが、実体経済の帰趨は小型株・バリュー株の不振に示されているように思えます。

セル・イン・メイとの闘い方、私案2案

これまで見てきたように、「小型株・バリュー株の戻りが鈍い以上、株式市場は本格回復の途にまだ立っていない」と考えるのであれば、この先の再下落や低迷ぐだぐだ期間の到来を見据えた戦略を考える必要があります。

①安全策
不確実性に塗り込められた市場に確信なく大金を投入することは、早い話がギャンブルです。

安全策をとるなら、小型株・バリュー株が一定期間市場平均を上回るのを確認してから、景気上昇気流に乗ってグロース株投資に資金を投入するのが得策となります。

おすすめファンドはこの通りです。
日本:スパークス・新・国際優良日本株ファンド
以前当ブログでも詳しく紹介しました。
バフェット・ウェイで勝つ日本株ファンドとは?

先進国:モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)
以前当ブログでも詳しく紹介しました。
20年の長きを勝ち抜いてきた「世界超優良株」ファンドを徹底解析! モルガン・スタンレー グローバルプレミアム株式オープン(ヘッジなし)

新興国:WisdomTree Emerging Markets Quality Dividend Growth Fund(DGRE)

②コツコツ長期投資
短期・中期での下落を気にせず資金投下を続けられるのであれば激弱バリュー株、とくに小型バリュー株を下落のつど、または定期的にコツコツ買い付けていくことが得策です。

おすすめファンドはこの通りです。
日本:スパークス・プレミアム・日本超小型株式ファンド
以前当ブログでも詳しく紹介しました。
超小型株式への投資を考える 市場で最もリスクのある場所に最もリスクが高まったときに投資して、ボロ勝ちをねらう!

先進国:WisdomTree U.S. SmallCap Quality Dividend Growth Fund(DGRS)
WisdomTree Europe SmallCap Dividend Fund(DFE)

新興国:WisdomTree Emerging Markets SmallCap Dividend Fund(DGS)


自分に合った闘い方を見つけて、落ち着いて長丁場をサバイブしていきましょう!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

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