イランとの対立やコロナウイルスのパンデミックといった不測の事態をやりこなしつつ、世界の株式市場は再度上昇の機をうかがっているようにみえます。

なかでも、依然として米国株式の強さが目につきます。
市場関係者も早々に利下げのコンセンサスを勝手に固め、上昇気流の種火づくりに余念がないようです。

とはいえ強弱入り混じる経済指標や株式評価の高止まりに、先行き不安を覚える向きも跡を絶ちません。

米国の大手投資情報サイト“Seeking Alpha”に掲載された記事です。
Buffett On Aesop And Cinderella
イソップ童話とシンデレラについて、バフェットは……

米国株式市場の現況について、バフェットの年次書簡から啓発を得る内容です。
非常に興味深いので、簡単にまとめていきます。

20年ぶりに踊る米国株式市場に「労せず得られた大金をがぶ飲みすることほど、人の合理性を損なうものはない



著者によれば、現在の米国株式市場は20年前、ドットコムバブルとよく似ているといいます。

S&P 500の評価は当時ほどではないものの、ITセクターにアマゾン・グーグル・フェイスブックを足すとS&P 500の約32%を占め、ドットコムバブル時の40%に近づいています。

そこで、バブルに沸いていた2000年初頭にバフェットが株主あてにしたためた年次書簡から、教訓を引き出そうというわけです。

当時、S&P 500やナスダック指数が沸きに沸いている一方、バフェット率いるバークシャーは株価沈滞にあえいでいました。
いきおい、書簡の内容はバブル批判に多くを割いています。

さて、資産が何を生み出すかではなく、次の投資家が何を支払うかに焦点を当てる投機は、違法でも不道徳でも非アメリカ的でもありません。
しかし、それはチャーリーと私がプレイしたいゲームではないのです。
パーティーに何も持っていっていないのに、なぜ家に何かを持って帰れると期待できるのですか?
投資と投機を区別する境界線は、決して明瞭ではありませんが、ほとんどの市場参加者が勝利を収めているときには、さらに曖昧になります。
労せず得られた大金をがぶ飲みすることほど、人の合理性を駄目にするものはありません。

景気回復下の低金利環境を得て、株式市場に注ぎ込める資金が極めて手に入りやすくなっています。

そのうえ10年以上、ほぼ一直線の右肩上がりを続けている米国株式市場では“FOMO”(Fear of Missing Out、「取り残されることへの恐れ」)が投資家を強く駆動しているといいます。

コロナウイルスがうまく鎮静化して、投資家の催促通りに利下げが来れば、パーティーの音楽はいよいよ早くなるかもしれません。

そのような経験をした後、分別のある人であれば通常、舞踏会でシンデレラがしたように振る舞います。彼らは、将来生み出す可能性のある現金と比較して、巨大な評価額を持つ企業で投機を続けることは、結局、馬車をカボチャとネズミに戻してしまうことを知っているのです。
しかし、彼らはそれにもかかわらず、強烈なパーティーの1分だって逃したくはないでしょう。浅はかにも参加者たちは全員、時計が12時を回る数秒前に出発するつもりでいます。
しかし問題は、彼らが時計のない部屋で踊っていることです。
(下線を付しました)

うっかり12時を過ぎてもパーティーに居続けてしまった人々を迎えたのは、このようなチャートでした。



1998年6月末~2009年12月末のS&P 500です。

パーティーが終わると米国株式は半値たたき売りとなりました。
元の位置に戻るには10年では足りませんでした。


現状はまだ、ドットコムバブルでいうところの1998~1999年の地点にいるという意見が多く見られます。
いつ2000年真夏のような沸点を迎えるのかは、わかりません。

バフェットの教訓を実践に活かすには?

ドットコムバブルの崩壊では、米国株式にとどまらず先進国株式(MSCI WORLD指数)も50%近い下落に見舞われました。

現状は米国以外の市場の評価は穏当なところに落ち着いていますが、何かあれば連れ安になります。

当ブログでは以前から、米国株式過熱への対処を記事にしてきました。
改めておさらいしていきます。

①米国株式への割り当てを減らす
どこかで非常ベルが鳴っている 米国株式からの逃避手段
投資信託を使って世界株式分散投資を行っているかた向けに、米国株式の割合を減らす方法をまとめました。

②米国REITへの割り当てを減らす
株式についてはよく言われていますが、米国REITもかなりの割高となっています。
世界REITと銘打っている投資信託も、その内実は7割が米国REITだったりします。

米国REITの薄めかたをまとめました。
米国は株だけじゃなくREITも超割高だった! アメリカン・サイコからの逃走論

③米国株式の市場平均インデックス投資をやめてみる
アマゾン・グーグル・フェイスブックを含めたITセクターが成長株代表として、米国株式を持ち上げています。
このセクターを減らすことができれば、バブル崩壊のダメージを少なくできるかもしれません。

S&P500 3,200の地点から米国の成長にベットするなら、インデックスではなく“この銘柄”への投資を考えてほしい
今回の記事で取り上げたバフェット率いるバークシャー・ハサウェイとグーグルへの投資にふれました。
グーグルは成長株投資の代表格ではありますが、その中では比較的高評価ではなく、現金をたっぷり保有しているので下落に強いと目されます。

SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
これらの投資信託を利用すれば、バブルセクターを避けて米国優良株に投資することができます。
以前詳しく紹介しました。
「マンガーの投資術」から考える 「買って安心・永久保有ポートフォリオ」のつくりかた
海外株式インデックスはほぼ常勝、それでも凌駕する方法とは?

④パーティーに参加しつつやけどしないように、ちょっとだけ買う
現金を保有していて、上昇相場に参加したい気持ちはあるが大きな痛手を被るのは怖い……
そんな方には、パーティーの佳境に大きく伸びる商品を少しだけ買って、心を落ち着かせる方法があります。
うまく脱出できれば利益が得られ、負けても少額で済むはずです。

現金が「安く」なるとき、「高く」なるとき いま、証券口座に現金を眠らせることの意義とは?
こちらの記事で詳しく解説しました。
ベータの大きいグロース系・クオリティ系のファンドや、エッジのきいた海外ETFに少額投資して気持ちを収める算段です。

不安がある際に、判断をしかねて漫然と大金を置きっぱなしにしておくのは、勢い余って不測の行動を起こしてしまう火種となり一番よくないです。

理性と感情をうまく折り合わせて、投資を楽しんでいきましょう!

最後に……
腹をくくって世界株式時価総額比例分散投資に一切手を加えず継続していくのも、もちろんすばらしい見識です!

人生を豊かにする「投資」の専門家
日野秀規でした。
ありがとうございました!

質問・感想お待ちしています! こちらからお願いします
LINE@に登録をお願いします。ブログの更新をお知らせします。直接ご連絡もしていただけます。
※感想やご質問は、今後の記事でご紹介させていただく場合があります。

★お金のこと、お仕事のこと、投資のこと、気軽にご相談にいらしてください。下の「ご相談メニュー」をご覧ください。
ごあいさつ
プロフィール
ご相談メニュー